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良い子・悪い子

母は子供の頃、いわゆる世間一般で言われているような「良い子」ではありませんでした。幼い子供の私でも、気が付いていました(笑)。

本人も否定しません。「そうなんよ!」なんか、嬉しそうです。

ある日、母方のばあちゃんに確認してみることにしました。

「お母さん、悪い子供やったやろ~?」と私。

すると、意外にも答えは・・・。

「ええ子やったで!」

それを聞いて、混乱する私。「ホンマかいな?」

この結果を父に報告してみたところ、

「お母さんが、良い子やったワケないやろ~」などと、笑っています。

横にいた母が、言います。

「なんや、あの婆さん、ウソついてからに!」

「ほやから、あの人、嫌いやねん!」

なんだか、変な展開になってきました。

仲が良いのか、悪いのか? 全く、変な親子です(笑)。

聞けば、何でも主張しまくる母は、ばあちゃんにとても疎まれていて、ばあちゃんは親戚一同に愚痴をこぼしていたそうです。

「あの子は、扱いにくい・・・」「無理ばかりを言って困る・・・」

ばあちゃんは、「親の言う事をよく聞く従順な子供」が好みなのでした。

一方、母は違います(笑)。

「ええか、親の言うてる事が、いつも正しいと思ったらアカンねんで!」

「とりあえず、アンタの思っていることも口に出してみぃ~!」

「ええ子ちゅうのはな、親にとって都合の良い子のことを指すんやで!」

母は、その願いが叶えられるかどうかは別として、とりあえず、子供に「主張すること」を求めていました。

黙っている事は、無いものとされます。

きっと、子供がこう思っているだろうと忖度して、気を利かせてくれることは、一切ありません。

母に何かをしてもらいたい時は、それを言葉にしなければなりません。

母が首を縦に振らなければ、きちんと説得する必要があります。

ある時、途中で説得を止めたことが、ありました。

(面倒くさいから、もういいや!)

すると、怒り始める母。

「アンタという子は、なんと物足りない子なんか!」

「親を説得できる位でなくて、どうするんか!」

母の「かかって来い!」的な気迫に、押されてしまう私(笑)。

それは、それで、疲れます・・・。

どうしても、母が子供の頃、「良い子だった」と言い張るばあちゃん。

ある日、やけくそ気味に「お父さんが、違うって言うてたで!」と言ってみたとことろ、ばあちゃんは首をかしげながら言いました。

「お父さん、なんで、そんな事、言うんかな~?」

とぼけているのか、記憶が美しいものに変化してしまったのか、なんだかよく分からないのでした(笑)。


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