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#小説

氷菓18話『連峰は晴れているか』

個人的に一番好きな話。
高校生がちょっとした疑問を解消するための手段として図書館のアーカイブを利用するのが「ちょうどいい」と感じた。

推理だけじゃなくて、人の気持ちに対しても深く想像を巡らすことができる奉太郎の一面が現れている。

『魔球』東野圭吾

最後に神様が魔球を贈った、という高間の想像は、須田武志にとって母への恩返しのための手段でしかなかった野球にそれ以上の意味を持たせてくれてるような気がする。おそらく、プロの道は塞がれていたにせよ、それまでの尋常ならざる努力がある形となって報われてくれたような。

司馬遼太郎作品の、新しい話題への導入、もしくはそれまでの話との橋渡しの役割を果たす段落の冒頭文章が好き。

「三笠が航海しているあいだに、海軍軍楽隊について考えておきたい。」―『坂の上の雲』

海軍軍楽隊について説明調な文章を読みながらも、軍艦三笠が海を走っている姿が想像できる。

『人間失格』で1番共感するのが冒頭部分。

「人間の生活というものが、見当つかない」

「実利的」に作られた停車場のブリッジを「ハイカラ」、「垢抜けのした遊戯」と思ってしまう。

実生活の中にいながら地に足がついていないような。人の営み、自分の人生を自分事として考えられない。