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「ミルク喜多の知らない世界」01 見えないなにかの面白さ (雑誌連載コラムアーカイブ)

はじめに、こちらのコラムは2019年に雑誌の連載枠で寄稿していたものです。せっかくなので、noteの手始めとしてバックナンバーを掲載させていただこうと思います。ちなみにこちらの連載コラム、タイトルは「ミルク喜多の知らない世界」でした。笑 持続可能な開発”目標”であるSDGsが、マーケティングやブランディングの“手段”となっていることに”違和感”を持っている人には、少しは役立つnoteになるかもしれません。不定期でアップしていきますので、フォローいただけると嬉しいです。

————————————————「カジカジ」連載コラム 2019.6 No.276 掲載

 近頃、テレビや雑誌でよく目にする「エシカル」「サステナブル」という言葉。流行り好きなファッション業界のトレンドワードで終わり、アンサスティナブルにならない事を祈るばかりだ。
 日本だけで廃棄衣料は推定年間100万トン以上といわれており、点数にすると14億点。供給量のおおよそ半数を占めるのである。つまり、約半分が新品のまま余り燃やされている。実に異常な量だ。
 一方で、大量生産大量消費の市場が生み出した価格競争、ブランド増加、類似デザインの市場バランスをみると供給過多で洋服が余るのは当然だ。きっとアパレル市場は価値の重要性が見直され淘汰されていくのだろう。誤解しないでいただきたいが、私はこれらを否定も肯定もしている訳 ではない。自分も同じような事をしている可能性もある。これが正義だから回れ右という考え方も極端で、そもそも多様性のあるファッションの魅力がなくなり、実につまらない。ただ、大切なのは多様性の見直しと革命なのではないだろうか。

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 最近、繊維研究者や故繊維業者、環境や福祉の専門家とも会う機会が増えた。自分の知らない世界と交わることで、意外とアパレル業界のまだ見ぬ可能性や選択肢が落ちている気がしてならないのだ。供給側がブランド個性・商品価値・生産量を見直すべきは当然ながら、一方でこの飽和した時代に余った服たちを価値に変える表現も悪くはない。これは「いいことしているから買ってください」な妥協的価値ではない。もっと革命的価値だ。古着やリメイクという既存のアウトプット以外にも、大いなる可能性や表現が眠っている気がする。
 このまだ見ぬなにかで革命を起こす面白さは、若いアパレル世代の新たな選択肢・表現方法の一つになるかもしれない。その革命の結果、人や環境にも良い価値が生まれていれば尚良しだろう。
私もアパレル業界のちっぽけな端くれながら、引き続き「見えないなにか」を探してみようかと思っている。

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この時期、自らが興味関心を持って廃棄衣料問題に課題として取り組んでいた最中で、仕事としても大手セレクトショップ運営企業の廃棄衣料問題や障害者就労のイノベーションを託されていました。そのプロジェクトも今や多くのメディアやアワードで注目され拡がりを見せています。コンサルティングの中でも本当に嬉しかった成果は、ゼロイチの困難に賛同してくれ、自分ごとに捉えられて行動してくれる若い芽が育ったこと。ビジネスモデルやマーケティング施策、サステナブル基本方針の策定などはもちろん大事ですが、1番難しいのはここ!自分ごとに捉えてくれて、学び、考えられる人財をどう育てるかなんです。「そんなメンバーをどう巻き込んでいったのか話」などは需要があればまた綴ろうかと思います。

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喜多 泰之 – Yasuyuki Kita

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1987年、大阪府豊中市生まれ。アパレル業界の両親の下、幼い頃よりインポートの洋服や文化に囲まれて育つ。祖父 : 高田誠三(風景写真家)
2007年 大学在学中に大手セレクトショップにショップスタッフとしてアルバイト入社。ファッションの現場で学びながら、大学にてブランド論を学ぶ。
2010年 大手セレクトショップ新卒入社
店長職を経て、ブランドPR・バイヤー・イベント企画・家具企画・CSRなど兼務し、ブランディング、野外キャンプイベントの企画運営を実践。
2018年 「MILKBOTTLE SHAKERS」の屋号でフリーランスブランディングディレクターとして活動開始 
一般社団法人 Green Down Project のソーシャルデザインディレクター就任
2019年 「株式会社MILKBOTTLE SHAKERS」を設立(代表取締役)
2020年 新規事業「Loopach」を発表。
現在は、大手アパレルや異業種、ソーシャル領域までのコンサルやプロジェクトディレクションの中で、アパレル業界の社会・環境へのサステナブルなビジネスモデルの可能性を探り続けている。大学やイベントでの登壇、メディア掲載多数。


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