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いのちの初夜/北條民雄







北條民雄の短編集
「いのちの初夜」を拝読しました📖´-
(2023,3,15 読了)





表題作「いのちの初夜」が「読書会すみれ」内で開催されたオンライン読書会の課題作になっていたため拝読しました。
ハンセン病を患い23歳で夭折した著者が自身の体験を基に描いた作品を収録している短編集。
課題作となっていた表題作だけ拝読するつもりだったのですが、読む手が止まらず結局1冊読了しました。
本書はNHKの番組「100分de名著」で紹介されたのでご存知の方も多いかと思います。
ハンセン病がテーマなので内容は重いのですが、文章が美しいのでどよんとした感じにはなりませんでした。





ハンセン病と診断され、半ば強制的に収容所に隔離されて。
じわじわと壊れていく身体を受け入れつつ死を待つ患者たちを様々な視点から描かれていて、それはもう言葉では言い表せないくらい悲惨な状況なのですが。
図々しくもその人たちの感情に共感している自分もいました。


私は病を抱えている訳でもないし、恵まれた環境で暮らせている方だとは思いますが、それでも何度となく死を意識したことがあります。
「たけくらべ」の感想でも書きましたが”報われない”と感じることが多く生きることが苦しくて辛くて、でもわんズのことや両親のことを考えると生きなければとまた思い直しての繰り返し。
生きるも地獄死ぬも地獄と思い込んでいました。



「今」俺は死ぬのだろうかと思い出した。「今」どうして俺は死なねばならんのだろう、「今」がどうして俺の死ぬ時なんだろう、すると「今」死ななくても良いような気がして来るのだった。



「いのちの初夜」で、主人公がハンセン病と診断され収容所へ向かう前に自らの手で生を終わらせようとした際のこの感情、私もこんな風に自問自答しながらなんとかその場をやりきってここまできたなと辛かった時の記憶がフラッシュバックしました。
病を抱えてないにせよ、いずれ人は死を迎えます。
死を迎えるまでに多くの試練や苦痛を乗り越えていくのでしょうが自分にとっては限界ギリギリのこと。
自分の容量がオーバーてしまわないように自問自答して、なんとか自分を宥めて。




本書を拝読していると、同情のようなものや物語の主人公たちと自分を比べてまだマシだなんて上から目線の思考はスーッと消えていきます。
状況は違えど自分事のように拝読していました。
そして、生きることにもっと真剣に取り組みたくなります。




今回、オンライン読書会の課題作となり初めて北條民雄という人を知り、北條民雄の残した文章に触れることができ、生きるとはこういう素晴らしい出会いがあるということなんだと感じました。
きっと、私はまだまだ様々な物や人に出会わなければいけないし、出会いたい。
だから、今はとりあえず生きることを楽しみたいと思います。







因みに、巻末に収録されている「あとがき/川端康成」「北條民雄の人と生活/光岡良二」「解説/高山文彦」も素晴らしかったです。










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