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とんこつQ&A/今村夏子


今日は珍しく読書エッセイ2回目の投稿です。
これで2023年12月に読了した本の感想は残すところあと一冊。




今村夏子さんの短編小説集
「とんこつQ&A」を拝読しました📖´-
(2023,12,31 読了)



今村夏子さんの作品は今回で二作目。
前回拝読した「こちらあみ子」では、この方の作風も今流行りの八つ当たり系なのかしらと感じ、私は苦手な部類かもと思ったのですが…


読書会でご紹介されていた本作が気にはなったので、それを拝読してから判断してみようと思ったのでした。


⚠️ここから、少し過激な表現を使います。
そういう表現は見たくないという方はここでお戻りになることをご提案します。




そして読み始めた今回の短編集。
表題作「とんこつQ&A」を始め、「嘘の道」、「良夫婦」、「冷たい大根の煮物」の四作品が収録。
読了後にやっとわかったのです。
今村夏子さんの作品はただの八つ当たり系ではないと。


先程から八つ当たり系八つ当たり系と勝手に言うてますが、八つ当たり系とは世の中の不条理に対する怒りや憤りをぶつけた文章だと私は考えます。
文豪作品にも八つ当たり系はたくさんあると思いますが、書かれてからだいぶ時が経っているので文章が熟成されているように感じます。
しかし、最近の八つ当たり系作品はまだ書き立てホヤホヤで活きがよすぎるので私には刺激が強く消化不良を起こしてしまうのです。だから苦手。



そんな八つ当たり系作品と今村夏子さんの作品の何が違うかと言われたらまた上手く説明できないのですが…
今村夏子さんは私と同じことを感じているのではないかと思えました。勝手に。
全くの見当違いかもしれないけれど。


関東でアンダーグラウンドな世界に潜んでいた私。
アンダーグラウンドな世界の住人は、いわゆるまともではない人たちが多くいました。
その中にいる自分もまともではないと自覚もしていました。
そして、40歳になってそんな世界を抜けてまともな社会へ戻ってきたのですが。
戻ってみて驚いたのはまともな社会の人たちの方が断然まともではなかったこと。
振り返ってみればアンダーグラウンドな世界の住人たちはまともではないかもしれないけれど、純粋な人が多かったように思います。
もちろんまともな社会にも純粋で素敵な人たちはたくさんいるのですが、それよりもまともという仮面を被ってまともではない、純粋ではない人たちが目立つ。そんな方々が創り上げたまともと思われている社会は本当にまともなのだろうかと疑問に感じました。



”まとも”という言葉はとても嫌な言い方だとは思いますが、ここではあえて使わせてもらいます。
今村夏子さんの作品は、まともではない人たちに焦点を当てた物語が多いかなと思います。
でもよくよく見てみるとその周りのまともな仮面を被っている人たちにゾッとするのです。自分の中にもまともの仮面を被ったところがあることも実感しました。
「良夫婦」の夫婦なんかが一番分かりやすいかも。




嫌な言葉をいっぱい並べてしまいましたが…
2023年最後の締めくくりにこの作品が拝読できて本当に良かった。
私の中にあったつっかえがとれました。
「まとも」ってなんだろうと改めて考え直そうと思いましたし、ちゃんと本質を見抜ける方がこの世の中にもちゃんといて、みんなにその本質を教えてくださっている。
それがわかっただけでも今この世に生きてて良かったと思います。





最後にまともだとかまともではないとか、差別的にも感じる言葉を使って申し訳ございません。これは私の表現力のなさ故。不快に感じた方がいらしたら心よりお詫び申し上げます。



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