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失われたものたちの本/ジョン・コナリー、田内志文(訳)




積読本📚の中から、ジョン・コナリー氏の長編小説
「失われたものたちの本」を拝読しました📖´-
(2024,5,26 読了)





本書もLINEオープンチャット「読書会すみれ」内で5月に主催した”作家(翻訳家)縛り紹介型読書会”第4回「翻訳家・田内志文」でご紹介するために拝読しました。


偶然ではありますが、結果的にこのタイミングで拝読していて良かった。
本日続編が刊行されます。
感想アップするのを発売日に合わせようと狙ったわけでもなくこれもまた偶然。本当は昨日の日中にアップするつもりだったのだけれど、写真を撮り忘れてて結局今日アップする羽目になったのでした。
前に拝読した「10の奇妙な話」の感想にも書きましたが、偶然が重なるということは必然だったのかもしれません。




前置き長くなりましたが、本書の感想に移ります。
母親を亡くし、新しい家族に馴染めず孤独に苛まれていた少年はある時から本棚にある本たちの囁きが聞こえるようになります。
そしてある日、亡くなったはずの母親の声が聞こえ、その声に導かれるようにして幻の王国に迷い込んでしまいます。そこはおとぎ話の登場人物が蠢(うごめ)く、美しくも残酷な物語の世界。元の世界に戻るため、少年は「失われたものたちの本」を探す旅に出ます。
(背表紙あらすじより要約)



少年の冒険譚だと思い軽い気持ちで拝読したら、かなりえげつない描写のあるダークファンタジーだったので驚きました。
えげつない描写の箇所は少し目を滑らしてしまいましたが、少年の行く末が気になって気になってグングンと物語に惹き込まれていきます。



読み始めて少しして、
{あれ?ジョン・コナリーの作品は初読のはずなのにこの物語のことは知っている気がする。デジャヴ???}
となりました。
そう、昨年観た宮崎駿監督の映画「君たちはどう生きるか」の物語に似ているのです。
本書の帯に宮崎駿氏推薦とは書いてあるけれども。気になって調べてみたら本書から宮崎駿監督がインスパイアされて「君たちはどう生きるか」ができたように言われていましたが原作ということではないようです。
そこら辺の真意は分からないけれど、映画と本の相乗効果でもう少し深く理解が深まったように感じます。


物語は、伝わることで命を持つことができるのです。




とても深い深い物語です。
少年を誘い惑わせるねじくれ男の言葉に何度となく核心を突かれズサっと打ちのめされました。

そしてその間にも人間は奪い合い、傷つけ合い、痛めつけ合い、裏切り合う。それこそ人間がずっと続けてきた所業だからだよ。

元の世界に戻りたがる少年に対して、世界の現実を教えるねじくれ男の言葉


己の内に飼う邪悪に、お前が溺れただけのことさ。人間とは常に、自らの持つ邪悪に溺れるものだからな。

王に対してのねじくれ男の言葉




ね、この一部を引用しただけでもズサーっとなるでしょ。私だけかしら。
こんな感じでねじくれ男の言葉にボロっカスに打ちのめされつつ、旅する少年を見守りつつ、様々な感情を持って楽しめる物語でした。




あぁ、続編も楽しみだ。
大好きな”本屋 月と犬”に同じく田内志文さんが翻訳された「ウォールデン 森の生活/ヘンリー・D・ソロー」も一緒に注文しているので手元に届くまでゆっくり待っていましょう。







読書会すみれ








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