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SOSの猿/伊坂幸太郎




伊坂幸太郎さんの著書、
「SOSの猿」を拝読📖しました。
(2022,1,29 読了)








本書は、漫画家・五十嵐大介さんとの競作企画から生まれた1冊。
「私の話」と「猿の話」が交互に語られていく形で物語は進んでゆき、2つの物語は「西遊記」というキーワードで少しずつ繋がっていきます。
死人は出るのですが、殺人事件を解明していくミステリーというよりも、人の心理の奥底にあるものを解明していくミステリーです。




伊坂幸太郎さんといえば、伏線回収が上手で読後スッキリする作品が多いのですが、読者のレビューを読んでいると本作は読後のスッキリ感がなくイマイチという声が結構見られました。
結論から言うと、私は本作も好きでした。
別々のように思えた空想の話から現実の話へとどんどん繋がっていくのが気になって一気に読了。



そして、やっぱり必要な時に必要なものを読めているんだとも感じます。
伊坂幸太郎さんは、私のモヤモヤまでも上手に回収してくれました。

「人間にはメサイアコンプレックスというものがあるらしい。誰かを救ってあげたい、というこだわりで、それは、自分自身の存在価値を証明したい、という弱さから生まれているらしくて」
(私こと二郎の言葉より)



初めて「メサイアコンプレックス」という言葉を知りました。
私の中にも確かにこの「メサイアコンプレックス」があります。
これまで受けてきた愛を今度は誰かに与えるのが私の使命という思いは今でも変わらないけれど。
その奥底にはそうすることで、自分の存在価値を証明したいというものが潜んでいるなと。



人を介して自分の存在価値を証明するのではなく、まずは自分で自分の存在価値を認めないといけない。
それでも人は弱いものです。誰かを助ける資格のある人なんてあまりいないのかもしれない。
でも、自分の弱さを認めつつ自分の出来る範囲で人を助けたいと思うことは決して悪ではないはず。
どんな形にせよ、自分がこれまでに受けてきた愛を誰かに与え、救われる誰かがいるのならば、それはとても幸福なことかもしれません。





本書と対の作品である五十嵐大介さんのコミック「SARU」もいずれ拝読したいものです。








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