拝啓、パラレルワールドの私へ

夢を見た…

「ここに居ろ。」

男の人の声が聞こえる。
そして映像が見えた。私はその男の人に抱きしめられている。

「もうどこにも行くな、俺の傍に居ろ。」

男の人がそう私に言った。
私はその男の人の胸の中で突然泣きじゃくってしまう。

ここで夢は終わった。
静かにゆっくり目が覚め、その夢を思い返した。
”その男の人”は誰なんだろう？と疑問に思う。そして、なぜこんなドラマのワンシーンみたいな短い夢をみたのだろう？

夢から覚めてからの数時間、いや、1日中その夢のことを考えてしまった。いつも眠っている最中に見る夢は、どこかチグハグで登場人物もバラバラで、意味があるのかないのかもわからない変なストーリー。そもそもあまり夢の内容を覚えていないし、すぐに忘れてしまう。目覚めたら、「なんか夢見てたよなぁ…」くらいの感覚だったりする。
時々見た夢を必死で思い出そうとする時があるが、どうしても思い出せないってこともある。そういう夢は大抵意味がないのかも。

でも今回の夢は、違う。

なぜかどうしても気になってしまうのだ。

朝食をとっている間も、仕事に取り掛かる時も、「相手は誰なんだ？」「その時私は何をしようとしてたの？」「なんで泣いてるの？」なんて、疑問がポロポロと出てくるから仕事も捗らない。
そのうち推理みたいになってきて、どうしても”その男”の正体を突き止めたくなってきた。（ねぇ仕事しよ、私…）

もう頭の中は夢のことでいっぱい。
もしかして”予知夢”？！じゃあ今後、このような出来事が実際起こるのでは…
じゃあ、そもそも私はなぜ男の人に抱きしめられているのか、なんで泣きじゃくっているのか。今度はそっちの方が気になり始めた。私は一体何をしたのだ？？

予知夢なのか正夢なのか定かではないのに、すでに私はこの夢の出来事が現実に起こるのではないかと不安がり恐れてしまった。もう推理どころではなくなって、今度はもしこの出来事が勃発した場合、どう対処しようかなんてことまで考え始めた。（ご苦労さん…でも夢だよこれ）

では、そんな不安障害ぎみな私の推理は、、、これだ！！

推理①現実から逃げた私を抱きしめる”彼”

”彼”っていうのは、今の旦那と結婚する前に友達以上恋人未満な関係だった人。要するに私の一方通行の片思い。要するに未練たらしい。
もし男の人のところに逃げるんだったら彼かなと。

推理②現実から逃げたが戻ってきた私を抱きしめる夫
（いやいや私さぁ、逃げ切ろうよ…）
自ら戻ったのか、連れ戻されたのかはわからないけど、私と旦那は仲直りしたんだろうな。

意気込んで推理した割に、２つも出してきて結局１つには絞れないのか私？

この推理から見えてくるのは、、、

私は現在の環境にも旦那にも不満がある、現状から逃げ出したいってこと。あともう１つは、”彼”っていう存在がまだ心の中にあって未練があって会いたくて、会ったらもうどうにでもしてってこと。（笑）
妄想に偏り始めているが、夢とはいえ放っては置けない案件です。大問題です！相手が誰とかはともかく、私の行動が問題なんです！
そう、推理①でも推理②でも出てくる”逃げた”というところ。

私は実は前科あり。（犯罪者じゃないよ）
3回ほどやらかした。衝動的なもの、私は未熟だったのだ。大人の皮を被った小学生みたいなものだ。傷つけられたら、泣きながら走って逃げた。意見が通らなくて拗ねて一人になってみたり、恐怖で無我夢中で逃げたりもした。本当に未熟だった。

でも、今現在こんな夢を見るってことは、今も未熟で逃げたい願望でもあるのだろうか？正直こんな夢をみて私自身結構驚いているのだが。

もうとっくに逃げたいなんて諦めていたのに、心の奥深くにはまだ残っているのかな。

って、少女漫画の主人公の女の子みたいに気取ったことを言っている場合ではない。

由々しき事態である。
心の奥深くまでその”逃げたい願望”を掻き出してしまわなければいけない。そうでないと、私はこの先今の環境で生きていけなくなる。
ゲッターズが言っていた”晩年安泰”。晩年をここでやすらかに過ごすのだ。

と言うことで、推理は②が濃厚だな。（だから、夢なんだよこれは…）
まっ、私には前科もあるし、結局そういう件になるだろう。

濃厚とか言っている時点で、起きる事件なのか？怖いぞ私。

話は少し変わって、
この夢を見る直前私は、”誘導瞑想”の動画をイヤホンで聴いていたことを思い出した。
題名は、、、

「パラレルワールド」

これだ！！

パラレルワールドの私を見たんだ。きっとそうだ。（こじつけ？）
いや、パラレルワールドを見られるようなそんな大それた力が私にあるわけないし…でも、合点してしまう。

パラレルワールド、今私が生きている世界とは別にもう１つ２つ、それ以上の世界が同時にあるんだよな。（あってるよね？）

私、やっぱり逃げたんだ。そんなに”今”が嫌なんだ。そんなに”今”から逃げたいんだ。変わりたいんだ。

パラレルワールドの私は行動したんだ。決断したんだ。きっと”今”の私の中にあるモヤモヤはもう持ってないんだろうな。

そっか…

でも、今までにも逃げたり、移動したり行動したり、変えたり変わったりしてきた。嫌だったら「嫌だ！」って言ったり、良かったら喜んだり、もっと良くしようとしてきた。
だから、”今”があるんだよな。だったらなんで私は……

誘導瞑想の最後に、

「今が自分にとって最高のタイムラインにいる」
「私は今ここに居ることに感謝」

と言う文言が流れていたことを思い出した。

感謝………

翌日からはその夢のことはあまり考えなくなった。奇妙な夢も見なくなった。

朝起きて、「おはよう」と挨拶をする。

犬を愛でた。花瓶の水を変えた。犬と花と一緒に日光浴した。

ニコニコしてたら、

「最近良く笑うね、何か良い事あった？」と聞かれて私は、

「おかげさまで」と答える。

雑用が大変だった時は手を借りる、そして相手に

「ありがとう」と言う。

旦那の好きなおかずを作る。ちょっと濃くしたほうが旦那が喜ぶなんて考えて料理を楽しむ自分がいる。

拝啓、パラレルワールドの私へ

お元気ですか？楽しんでますか？
アンタは偉いよ。せいぜい頑張りなよ。

私は”ここ”に居るよ。
だって、自分で決めたから。

アンタに感謝する。大事なことを思い出させてくれたから。

ありがとう！