藤椿まよね

おはなしと絵を描きます。

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記事一覧

藤椿まよね、お話のキャラ絵6 新しい朝

あたらしい朝 Ver.2

(末尾に、西木野花恋の遺書を書き加えました。これは、私自身が中学生の頃に書いた遺書から手直しして、挿入しました)                    藤椿まよ…

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藤椿まよね、お話のキャラ絵5 新しい朝

風香のののの

                  藤椿まよね  「のののの乗せて、・・・もらえない・・・ででしょうか、そそその後ろのいいいイスに座るとこに・・・わわわたしをを…

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藤椿まよね、お話のキャラ絵4

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どす黒いかたまりを産む

                        藤椿まよね  謎の腹痛。いつもと違う。  菜奈は生理痛をひとと比べたりしなかったが、三日目までをしのげば楽になっ…

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藤椿まよね、お話のキャラ絵3

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藤椿まよね、お話のキャラ絵2

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でぃしら d'ecila'(今から、そのときまで)

                    藤椿まよね  美砂は、薄幸そうな子、とよく言われてきた。中学生になったころからは、人にそんな印象を与えていることを意識す…

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ちゃねず もうひとつのウォームグレー

                        藤椿まよね  絵の具には、灰色、グレーという色がある。このグレーは色味によってとらえる温度感覚が違う。赤い色味に…

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織笠志桜里と

                     藤椿まよね  ある晴れた朝にゴミ出しのために外に出た時だった。ごみ置き場にはゴミ袋をあさっている女性がいた。なんとなく…

何処までもフラットなグレー

                   藤椿まよね  芳尾はいわゆるやりちんだ。そんなことは彼と接していれば誰でもすぐ気づく。流行りの髭や淡い色の髪、ファイテンの…

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藤椿まよね、お話のキャラ絵

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藤椿まよね、お話の扉絵

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はつこい

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藤椿まよね、はがきにボールペン

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あたらしい朝 Ver.2

あたらしい朝 Ver.2

(末尾に、西木野花恋の遺書を書き加えました。これは、私自身が中学生の頃に書いた遺書から手直しして、挿入しました)

                   藤椿まよね

 新しい朝がきた、希望の朝だ、という歌がある。ラジオ体操の歌だ。

 くそくらえ、だ。白波瀬真宵はしらわせまよいと読むが、幸せに迷っている、しあわせまよい、と聞きなす人が多い。

 「なんだって真宵なんて名前にしたんだ」と、何度思っ

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風香のののの

風香のののの

                  藤椿まよね

 「のののの乗せて、・・・もらえない・・・ででしょうか、そそその後ろのいいいイスに座るとこに・・・わわわたしをを」

 そんな勇気をいったいどこから借りてきたのやら、風香はしかし意思を相手に伝えた。断られればそれであきらめてわんわん泣けばいい。もし、いいよと言われてしまった方がえらい騒ぎなのだ。

 ん?わかっている、中三なんだから。小さな子どもの

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どす黒いかたまりを産む

どす黒いかたまりを産む

                        藤椿まよね

 謎の腹痛。いつもと違う。

 菜奈は生理痛をひとと比べたりしなかったが、三日目までをしのげば楽になったし、経血の量も腹痛や貧血と言った不調も自分より重い同級生は多いと感じていたから、生理は楽な方と思っていた。

 だけど。

 なんやねんこれ。

 関西言葉でつぶやいてしまうほど、これは今までと違う何かだ、と感じる。今日は、今までより

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でぃしら d'ecila'(今から、そのときまで)

でぃしら d'ecila'(今から、そのときまで)

                    藤椿まよね

 美砂は、薄幸そうな子、とよく言われてきた。中学生になったころからは、人にそんな印象を与えていることを意識するようになった。自分の何が人にそんな感じを抱かせるのか、それをつかもうと努めてきた。

単純に、それが武器になりうると感じたからだ。

 幼少の頃から、顔立ちは整っていた。

 とはいえ、人目を惹く顔立ちではない。明るく愛くるしい、人に

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ちゃねず もうひとつのウォームグレー

ちゃねず もうひとつのウォームグレー

                        藤椿まよね

 絵の具には、灰色、グレーという色がある。このグレーは色味によってとらえる温度感覚が違う。赤い色味によれば暖色系にとらえられ、青い色味によれば寒色系になるだろう。

 絵の具のミディアムグレーはちょうどどちらでもない色味で、暖かくも冷たくもない、はずだ。けれど、鼠、と日本画風に表記したらどうだろう。ねずみいろ、としたらどう感じるだろうか

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織笠志桜里と

織笠志桜里と

                     藤椿まよね

 ある晴れた朝にゴミ出しのために外に出た時だった。ごみ置き場にはゴミ袋をあさっている女性がいた。なんとなく雰囲気で同じアパートににお住いの女性、と判断して、無言でゴミを置くわけにもいかんだろうと声をかけた。

 「おはようございます」

 女性は大げさに感じるほど驚いてしりもちをつき、手にしていたゴミ袋をひっくり返した。「あれれ」何か後ろめた

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何処までもフラットなグレー

何処までもフラットなグレー

                   藤椿まよね

 芳尾はいわゆるやりちんだ。そんなことは彼と接していれば誰でもすぐ気づく。流行りの髭や淡い色の髪、ファイテンのネックレスが似合う浅黒い細マッチョの肉体。179センチ。

 ほとんど何も見てはいない、そのひとみ、見つめられたものが不安を感じる日本人らしからぬ淡いグレー。しゃべっては内容のない会話。はだけたシャツの胸元から案外濃い胸毛がのぞく。

 

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