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#詩
『月下の一群』つれづれ
若い頃、堀口大学の『月下の一群』で読んだラディゲの四行詩には影響を受けた。露骨でない、洒落っ気のある、どこか陰影を感じるその言い回しには時に心を揺すぶられた。「屏風」はこんな詩である。
この詩は、もう何と言っていいか、本当に心に刺さった。爾来、何とかラディゲの作風をものにしようと何度ラディゲ風の詩を書いたことか。因みに堀口大学の『月下の一群』は若き私のバイブルであって、「大学はどちら?」と聞かれ
わすれもの 百田宗治
塀越しに掌(てのひら)ほどの日のひかりが落ちる、
太陽だつて気がつかないにちがひない
この遺物(わすれもの)を私は珍重してゐる
洒落た短詩である。ふと見ると塀のところに日の光が差している。この日の光は太陽から落ちたものである。しかしあんまり小さい日の光だもんで、きっと太陽だって気がついていないに違いない。
空想を逞しゅうすれば、時期はきっと冬である。よほど寒い日なのである。しかも夕暮れですぐに