若い頃、堀口大学の『月下の一群』で読んだラディゲの四行詩には影響を受けた。露骨でない、洒落っ気のある、どこか陰影を感じるその言い回しには時に心を揺すぶられた。「屏風」はこんな詩である。
この詩は、もう何と言っていいか、本当に心に刺さった。爾来、何とかラディゲの作風をものにしようと何度ラディゲ風の詩を書いたことか。因みに堀口大学の『月下の一群』は若き私のバイブルであって、「大学はどちら?」と聞かれたら「堀口大学です」と答えるようにしている。聞かれたことないけど。
大学の訳詩にはギー・シャルル・クロスという詩人の作も多い。「リュクサンブール公園で」などは特にどういったこともない作だが、詩人の孤独がしみじみと身に染みる。それはそうとこの詩人がエジソンをライバル視していた発明家だと数十年後に知った時にゃ、腰を抜かさんばかりに驚いたよ。え、え、え?発明家??
しみじみ。