真由子

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最近の記事

さみしい夜にはペンを持て/初任者におすすめする一冊として

新卒で入社した会社で使っていたA5のノート、20冊くらいが捨てられない。それ以上に、小学校で働いていたときのB5のノート段ボール2箱分が捨てられない。 小学校の職員室では、なぜか、A4のノートを使う先生が多かった。教育学部でもなかった私は、A4サイズのノートを使う場面にそれまでであったことがなかったのだが、そういうものなのだと思い、A4のノートを新たに買い、教科ごとに分けたりなんかしながら使い始めた。 そのノートはたしかに、学校で配られるB5のプリントを見開きそのまま貼れる

    • 山の桜

      晴れていると、窓から山が見える。おとといは黄砂で白くかすみ、昨日は曇りで薄暗かったが、今日はきれいに晴れていた。山の中にはところどころ白っぽいような部分があり、あまり人目に晒されない桜も、その場所で咲いていることに気づく。 3月には、元勤務校で初めて担任した子どもたちが卒業していった。卒業式の日、昇降口の周りに保護者や先生たちが花道を作り、卒業生を見送った。2年ぶりに会った子どもたちは、いつもより気取った格好で、胸元にお花のコサージュをつけていて、背もめちゃくちゃ伸びていて

      • 羽化

        小学生ぐらいのころ、夜ご飯を食べながら見ていたテレビで「セミはさなぎのなかでどうなっているか?」というクイズが出て、その答えが「一度ドロドロになって、成虫の形になっていく」だったとき、あまりの気持ち悪さに、ご飯の続きが食べられなくなったのを覚えている。 クイズの答えが正確なのかは正直わからないし、軽いトラウマなので調べたくもない。知っている人がいても、一旦教えないでほしい。心の準備ができていない。 ChatGPTに衝撃を受けて1年ちょっと、PerplexityのアプリをiP

        • しおり

          私を本好きにしたのは、小学校の同級生だ。 5年生のとき、彼女が「大どろぼうホッツェンプロッツ」がおもしろいよ、と教えてくれた数日後に、袋に入った本を1冊貸してくれた。家に帰って、大どろぼうの話を楽しみにその袋を開けたら、その本は「ダレン・シャン」だった。知らない本だ。思ってたんとちがう。 ダレン・シャンには大どろぼうは出てこないし、当時ちょうど流行りだした魔法学校も出てこなかった。 代わりにバンパイヤやタランチュラが出てきて、当時の私が手に取るにしてはダークな世界観の本だ

        さみしい夜にはペンを持て/初任者におすすめする一冊として

          凶と指輪と婚姻届

          初詣をして、おみくじを引いたら凶が出た。初めてだった。今年は前厄だし、お祓いでもしてもらおうかと思っていたら、夫が熱を出して隔離する羽目になった。なんなのよ、本当に凶じゃん。 「夫が」に、まだ違和感がある。昨年の終わりに結婚した。1年半同棲していたので、生活が変わったという印象はない。それでも名字が変わり、マイナンバーカードに「氏名変更」という文字が印字されている。それまでの私とこれからの私がどちらも書いてあるが、この状態は「旧姓併記」とは異なるらしく、また別の手続きが必要

          凶と指輪と婚姻届

          【ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー】

          トカゲとかヤモリとか、あの形の生き物が結構好きだ。 小さいころに遊びに行った国際交流のイベントで、どこかの国のブースで売っていたヤモリの形をしたマスコットを買ってもらったほどだ。蛍光の黄色、オレンジ、黄緑などがマーブルになっている、目がちかちかする色使いだ。でもそれをいたく気に入って、買ってもらった当初から、部屋の棚の一番高いところにおいて、私の部屋を守ってもらっている気になっていた。それから20年近く経つが、そのカラフルなヤモリはまだ私の部屋にいる。 先日、外の雨がひど

          【ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー】

          【居るのはつらいよ】

          コスパに振り回されていると思う。 「□□で買えるコスパ最強グッズ」「絶対買いの○○」「神コスパの△△」「鬼高見えコーデ」「エモ商品」などという言葉が出てきて面食らう。エモ商品って本当に何?エモいって感覚はわかるけど、その感覚に、「エモい」っていう新設された形容詞は、あまりにも合わない。それほどまでに、感覚に名前を付けるのは大事なことなのか?私がわからないだけ? エモいの話は関係ない。コスパの話だ。お高めのお店の商品に似ているけれど低価格で買えるものとか、高いブランドで買っ

          【居るのはつらいよ】

          【舞台】

          「好きな芸能人だれ?」という質問が苦手だ。 好き嫌いが分かれる人を答えると「どこがいいの!?」と言われて会話が続いてしまう。人気すぎる人を答えると「あーね」という雰囲気になるし、マイナーすぎると「それ誰?」となってしまう。特に好きな芸能人はいないと答えるのは、あまりにも盛り上がらない。会話が成立しつつ盛り上げも下げもしないちょうどいい線が誰か考えて答えてしまう。 中学生のころ、そういう質問で想定されている答えは、異性の若い俳優やアーティスト、モデルなどだった。私は「小池徹

          【舞台】

          【明るい夜に出かけて】

          しゃべりが得意な人がうらやましい。 プレゼンテーションが上手な先輩、ファシリテーションに長けた後輩、飲み会の場をまわすのがうまい同期、周りにたくさんいて、みんなうらやましい。 大学時代に入っていたお笑い研究会なんて、すごいなーと思う人たちばかりだった。 大学でお笑い研究会に入ったのは、サークル紹介の場のMCが強烈だったからだ。次のサークルを呼び込む「どうぞ!!」という声が、テレビで聞くトーンと一緒だったから感動した。「あれって普通の人でもできるんだ」と思った。笑研に入った

          【明るい夜に出かけて】