小説:「金・金・愛」#2

第3話:サラリーマンとは?




 そして、日々働いていて思うことがあった。


媚びるタイプじゃない自分は、上司に媚を売る部下の思いが計り知れない。少し尊敬した。その行動の背景には自分の子供や家族を守るということや、会社が上手く回る様にという思いがあったのかもしれない。当然、この人に媚びておけば自分が出世できるかもという気持ちや、自分に得な話が回ってくるかもしれないという思いもあると思う。

 特に、お土産を持って来る人の気持ちが計り知れなかった。自分が旅行したことも知らない上司に「この前〇〇行ってきたんですよ~。」と気持ち悪い作り笑いを浮かべて、右手は紙袋の取っ手を持ち、左手は底に添えて渡してくる。上司は「気が効くね~。」と言いながら、部下よりも上手につくった作り笑いを浮かべ、お礼を告げる。作り笑いの撃ち合いだ。

 上司はこんなことは日々、ザラにある出来事なのに初めてみたいなリアクションが上手だ。部下はやってやったと思うかもしれないが、こんな事で差がついたと思うバカはあなただけではない。多くの部下がやっているのだ。

 上司もその気持ちを知っているので部下の思惑は丸見えだ。むしろ、上司からしたら無理難題を言っても反抗して来ない部下だと思われ、『私は使いやすい駒です。』と自分から名乗っているようなものなのに。



自分は、20年・30年後にどちらの人間にもなりたくはない。


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