錬金術師と狂犬症候群(レイビース・ナイト):2
「俺の仕事はメンテだ。検死は専門外なんだが」
安置室に足を踏み入れた錬金術師が、フードの奥で顔をしかめてそう毒づく。先導していた与太がその言葉に振り向くと、面白くなさそうな顔をしているのは彼も同じだった。
「だからお前に頼むのは嫌だって言ったんだ。文句があるなら覚理に言えよ」
「後輩クンかよ。ま、だったら別にいいか」
「いや人を選ぶのかよそこで!」
敢えて与太の反応を弄ぶようなセリフを吐くのはわざとだ。とにかく感情表現が豊かな彼の相手をしていると、その部分だけはいつまでも