合気道化師マツリくん

色んなものが合気道にみえてくる病気を発症したので、どんなものが合気道に見えるかを紹介し…

合気道化師マツリくん

色んなものが合気道にみえてくる病気を発症したので、どんなものが合気道に見えるかを紹介しています。

マガジン

  • 『武産合気』合気道の思想解説記事

    合気道開祖である植芝盛平の思想『武産合気』を解説したり参考にした記事をまとめてるヨ。 合気道修行者にはおススメ。

  • 合気道マニアック本解説集

    合気道マニアック本解説記事のまとめです。

  • 合気道で解説してみたシリーズ

    目についた物事の合気道的なところを解説する記事

  • 合気道と『宗教生活の基本形態』:宗教の探求

    エミール・デュルケーム著『宗教生活の基本形態』から宗教と合気道の関係性を紐解いてみるよ。

  • 合気道と野生の思考

    レヴィ=ストロースの『野生の思考』から合気道を考えてみるシリーズ

最近の記事

戦前の武道書『武道練習』『武道』から合気道を読み解く

そもそものキッカケはこの記事。 戦前の稽古の実態を探ってると、『武道練習(合気柔術伝書)』(1933)と『武道』(1938)からも色んなことが見えてくる。 そんなわけで、先の記事では割愛した部分を解説していく。 メインとなるのは植芝盛平はなぜ技の説明をしないのか?という点だ。ほとんどの弟子が盛平はぜんぜん説明してくれない!技は忘れろとしか言わない。みたいな事を言っている。 その答えらしきものを少し考察してみた。 武道練習とは?『武道練習』は戦前の弟子だった国越孝子が

    • 戦前の合気道の特徴とは何だったのか弟子たちの証言から考えてみる

      合気道はよく戦前・戦後でわけられたりするんだけれど、実際のところ戦前の合気道ってどんななの?というのを調べてみた。 ちなみにあくまで証言ベースであり、実は言えない裏話みたいなのは一切考慮してない。 あと、伝書から読み解ける要素もあるけど、長くなるので今回は割愛する。 興味ある人はコチラからどうぞ⇒戦前の武道書『武道練習』『武道』から合気道を読み解く|合気道化師マツリくん (note.com) 前提植芝盛平は1916年頃から大東流を習いはじめ、1920年頃に大本教に入って

      • 稽古メモ3回分:地道にやっていくしかない

        じじいの世代交代 世代交代の波みたいなのを感じてる。 年齢が上の先生達が引退したり、出てこなくなったりして、もうひとつ下の年代の人たちが多くなってきた。 そうは言ってもみんな元気なじじい達で、そのせいもあってまだまだ力が強い。 これからどうなっていくのかは未知数だ。 おじさんを鍛えるおじさん おれはおっさんではあるけれど、道場の中では若い方になってしまう。 なので年上だけど道場では後輩にあたるおじさん達に色々と教えている。 地道にちょっとずつ色んな人の地力を底

        • 稽古メモ:受けに関する問題

          合気道ではたまに自分の思う通りに受けを取れと指導する人がいる。 いわゆる効いてなくても倒れたりするような受けはこういう教え方から生まれるのかも知れない。 それはそれとして、効いてなきゃ絶対倒れませんというのも違うとは思う。 効いてないなら、どこで失敗しているかを確認して教えてやったり、どうやれば倒せるか導いてやった方がいい。 ちゃんとした技なら色々抵抗してみたりしながら、自分がどんな反応をしているのか確認しながら受けている。 受けは考え方ひとつで自分の成長に関する方

        戦前の武道書『武道練習』『武道』から合気道を読み解く

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        • 『武産合気』合気道の思想解説記事
          18本
        • 合気道マニアック本解説集
          10本
        • 合気道で解説してみたシリーズ
          14本
        • 合気道と『宗教生活の基本形態』:宗教の探求
          4本
        • 合気道と野生の思考
          7本
        • 贈与論と合気道
          4本

        記事

          【考察】合気道側の弟子達から考える大東流合気柔術との違い

          まず合気道と大東流の関係を知らない人に雑に説明すると、大東流というのは高級料理屋みたいなもので、武田惣角という人がごく限られた人にだけ高額で作り方を教えていた。 そこの稼ぎ頭で料理長的な立場だった植芝盛平が惣角の死後、戦後の混乱などの中で独立して看板を変えて出した大衆食堂が合気道という感じ。 合気道について調べているついでに、盛平の弟子達が語っている大東流との違いみたいなものが見えてきたので解説してみる。 歴史全体の分析盛平と惣角の関わりは、出会ってから惣角が死去するま

          【考察】合気道側の弟子達から考える大東流合気柔術との違い

          稽古メモ:獅子はウサギを狩るにも全力を尽くす

          力を使わずに動かす方法を人に教えている時に衝撃の事実に気づいてしまった。 「おれ、これテキトーにやってるわ」 相手よりも下から入る、相手を支える、そういうことはほんの少しの準備で事足りる。 肚を使えばよかったはずなのに小手先になっていた。 そんなことに急に気がついた。 こういっては何だけど、特別何かしなくても勝手に動いてくれる人はわりと多い。 そういう人に対して舐めた態度をとってしまっていたのだろう。 開祖はすべての敵は神からの賜り物であるとさえ言っていたのに、

          稽古メモ:獅子はウサギを狩るにも全力を尽くす

          合気道マニアック本解説『武の真人』著:砂泊兼基

          個人的にはこのくらいの本はマニアックでもなんでもないとは思うが、現実問題としてはそうでもなさそうなので解説する。 万生館合気道の砂泊諴秀の兄、砂泊兼基が開祖の話を聞き取ったものをまとめたのがこの本だ。 もともと砂泊家は大本教にいたらしく、盛平とは親しかったと思われる。そのためか植芝盛平本人による自分の生涯や思想をインタビューできたということらしい。 歴史パートだいたい2/3くらいは生い立ちから合気道を創設するまでのエピソードになっている。 兵隊の神様と呼ばれたとか、熊

          合気道マニアック本解説『武の真人』著:砂泊兼基

          稽古メモ:わかった後が怖いのが合気道

          東京と北九州から遊びに来た人と稽古した。 東京の方は過去に2回くらい一緒に稽古したこともあって、少しだけ理屈がわかってきた様子だったけれど、それによってより深みへと踏みこんでいた。 だいたいの知識というのはわかってくるほど「わからないこと」がわかるようになってくる。 合気道の稽古はわかってくるほど「できないこと」がわかっていく。 蝋燭みたいな灯りで周りを見ていたのが、松明になるとより広い範囲が見えるが、同時に見えていなかった色んなものが目に入ってしまう。 そういう感

          稽古メモ:わかった後が怖いのが合気道

          稽古メモ:触れずに相手を崩すのと触れてから崩すのはどこが同じか?

          合気道が上手い人は触れられる前の準備や誘導を丁寧に行っている。 そんな話をしていたら「でも、触れられる前に動かれたら形稽古の前提が崩れてしまうのでは?」という人がいた。 ガッチリ腕を取らせてから技をかける稽古は、あまり意味を説明したりもしないので、そういう解釈になってしまう人は多いのかも。 うまい人ほど、前もって動いているのをわからないようにやってのけるし、下手したら手品のタネがわからないままずっと仕掛けられてるようなことになっちゃうのかも知れない。 これがより進んで

          稽古メモ:触れずに相手を崩すのと触れてから崩すのはどこが同じか?

          合気道マニアック本解説『近代武道・合気道の形成「合気」の技術と思想』著:工藤龍太

          この本は「合気」とは何なのか?問題へのある時点までの解決を目指した本だと思う。 著者の工藤龍太氏は合気道関連の論文をいくつも発表しており、その集大成的なものがこの本になる。なんといっても他では見られない資料が参照されているのが見どころだ。 特に常人には判別不可能とすら思える竹下勇の稽古ノート『乾・坤』をほぼ解読してまとめあげてあるのは流石としか言いようがない。 ちなみに定価は5000円くらいだったのに今や3倍くらいの値段になってしまっている……。 基本的に「合気」が何

          合気道マニアック本解説『近代武道・合気道の形成「合気」の技術と思想』著:工藤龍太

          ネトゲ戦記から考える暇空茜さんの戦略について【買おう、ネトゲ戦記。やろう合気道】

          元ゲームクリエイターで所属してた会社と訴訟して6億ゲットした暇空茜さん。 その顛末を記したメチャクチャおもろいnote『シン・ネトゲ戦記』を公開していたのだが、出版が決まったという事でnoteの方は削除されてしまっている。 現在は公金の問題追及をXやYoutube、noteといったSNSで追及している彼がどういう発想で戦っているのかは『ネトゲ戦記』を読むと見えてくると思う。 暇空氏は「ゲーム感覚」で問題追及をやっていると批判されがちだけれど、それはある面では正しい。 け

          ネトゲ戦記から考える暇空茜さんの戦略について【買おう、ネトゲ戦記。やろう合気道】

          稽古メモ:圧力についての考察【合気道の攻守】

          どうして相手に対する圧力が必要になるのか?と聞かれたので、自分が考える圧力の必要性についてざっくり解説してみた。 相手に対する圧力がないと相手は自分の動きについてこない。 で、やっぱり相手に対する適切な圧力というのは攻撃だと思う。相手が止めようと思わないことには相手に力を出させることはできないのだ。 たまたま読んでた開祖の直弟子、五月女貢の本にもこんな風に書いてあったりする。 簡単にいえば合気道には相手の攻撃に対して対応する技と、自ら攻める技、裏と表のような関係のやり

          稽古メモ:圧力についての考察【合気道の攻守】

          【気の正体】合気道における「つながり」とは何かをかなり本気で掘り下げてみた

          合気道をそれなりにやってて2023年の最大の課題は「つながる」って何?という問いだった。 なんとなくわかってはいたけれど、うまく言語化できなかったものが、やっとこさそれなりに説明できるようになった気がしてる。 つながるというのは拮抗した状態であり、自分の変化が相手にも伝わるような状態で、別々の物体だったものがひとつになっているような状態のことを言う。 だけど、どれがどうやって成立するのか?というのが今回の話。 合気道は物理現象この世のあらゆるものは物理現象だけど、武道

          【気の正体】合気道における「つながり」とは何かをかなり本気で掘り下げてみた

          2024年度の目標と2023年ふりかえり

          2023年は合気道仲間を集めるがテーマだった。 結果的に色んな人とあって稽古することになったけれど、毎月の稽古会を後半は開けなかったり、難しさも感じた一年になった。 はるばる遠くから来てくれた人が意外にも多かった事には感謝しかない。 個人的には実力はついてきてるけど、まだまだ稽古をしてないと落ち着かないというのがネックになってる気がする。 もう稽古をしなくても自力は落ちないと確信できるような何かが必要なのではないだろうか。 今年でそれが実現できるとは思わないけれど、

          2024年度の目標と2023年ふりかえり

          稽古メモ:余計なことをやめる

          稽古で初段をとったばかりの人に色々教えてると、まだまだ手に力が入ってしまって、腕で技をかけようとしてしまう。 個人的には合気道というのはやめることが大事だと思ってる。 腕でやろうとすることをやめる、押しこもうとすることをやめる、余計なことをどんどんやめていく。 そうして残った根本的なもので合気道をする。 昔の人はそれを気と言ったのかも知れない。 余計なことをやめた先にあるのは、ほとんど何もしていないようなのに効果があるというような現象だ。 それは確かに気だけで技を

          稽古メモ:余計なことをやめる

          稽古メモ:剣を想定することについて

          あんまり一般的ではないけれど、合気道というのは剣が基本であり、剣などの武器を想定して稽古することで実際の動きがわかるようになっている。 基本的には素手で稽古しているのでそのような想定にはなりづらいのだけれど、二代目道主だってこう言っているのだから素手で稽古していようとも剣のことを考えなければならない。 とは言え、普段は素手の稽古をしているわけで、これでは剣を想定することなどできないし、なぜ今のような形の稽古体系になったのかは少し不思議でもある。 戦後に学生など新規の参入

          稽古メモ:剣を想定することについて