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一つの花〜アナザーストーリー

小学生の次男が今、国語の授業で「一つの花」という作品を読んでいる。
今日の宿題は、まず全体を読んでくるようにというものだった。

あらすじはこうだ。
戦時中、幼い女の子だったゆみ子はおなかをすかせ、いつも「もっともっと」「ひとつだけ」とせがむのが癖だった。
そんなゆみ子を心配する父もついに徴兵となり、出兵の日、ゆみ子は母とともに駅まで父を見送ることに。
ゆみ子は父が持っていたおにぎりを「ひとつだけ」と欲しがり、父は全てゆみ子に食べさせる。
それでもゆみ子は「ひとつだけ」と泣きやまなかったので、父はホームに咲いていたコスモスを「ひとつだけのお花」としてゆみ子に渡し戦場に向かった。
10年後、ゆみ子は父の顔も父がいたことも知らないが、家には父からもらった「ひとつだけのコスモス」がたくさん咲き誇っていた。

ひととおり音読が終わってから、僕は神妙な面持ちで次男に尋ねた。

「10年後、お父さんの顔が分からず、お父さんがいたことも知らないということは、お父さんはどうなったと思う?」

すると2年前にこの話を習っていた長男が、

「戦争に行ったと見せかけて、実は別のところで幸せに暮らしていた!」

と嬉々として割って入ってきた。
すると次男も嬉しそうに、

「不倫!不倫!」

と騒ぎ出した。
あまりに予想外の答えに、僕はあっけに取られた。
と同時に、「いや、そういう世界線もあるかもしれない」と妙に納得させられてしまった。
そして、このとんでもないアナザーストーリーの続きが気になってしまったが、続きを聞くのは二人がもう少し大人になってからにしよう。

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