教科書には載っていない、その先へ、その奥へ。
家に帰ると、息子が自分の部屋で唸っていた。机の上で開いていたのは、理科の教科書。国語の質問だったら、ほぼ答えられる。社会、英語もなんとか。数学は、もうギリギリだ。しかし、よりによって、理科!さらに言えば、その中でも物理!力学の質問が飛んできた!!しかも、かなり本質的な問いかけだった。
困った!答えられない!!こういう問題が出た場合は、この公式を使い、こう解けばいい、ということを記憶するのは、息子にとって簡単らしい。(父は、それさえ覚えるのに苦労したものだが)しかし息子は、どうやら教科書には載っていない、その先、その奥が、知りたいようなのだ。なぜ、その問題のとき、その公式を使うのか?その公式は、どうやって導き出されたのか?なにより、力学における「力」とは、そもそも何なのか?頼もしい限りだが、それでなくても、大の苦手だった物理の分野。父の古くなった脳ミソでは、フルに使っても答えられない。答えられるハズがない。そこで父は提案した。息子の疑問に答えられるか、あるいはヒントが載っているかもしれない本を、書店に探しに行こう!と。息子の目がキラリ!と光った。父にできることは...参考になりそうな本を、あらかじめ探しておくことだけだった。そういうのを見つけるのは、得意だ。
そして、週末。ふたりは、難波のジュンク堂へ。年末に問題集を買いに行った旭屋書店より、さらに大きく、置いてある本も遥かに多い。到着してすぐ、調べておいた良さそうな本、3冊を提示した。息子は検索コーナーで置いてある場所を探し、それぞれの場所へ行き、1冊1冊を読み比べ、どれがいいやろう?どっちがいいやろう?と悩む。悩んで悩んで悩み抜き、息子が選んだのは、『ゼロからよくわかる力学の入門書』というNewtonのムックだった。本をあれこれ調べていた段階で、父も、これが一番いいかな?と思っていた本だった。
買う本も決まったし、あとはレジでお金を払うだけ。「それじゃあ帰ろっか!?」と言った瞬間。「ちょっと待って!」と息子。同じNewtonのコーナーにあった『数学パズル』の表紙に載っていた“5分と8分の砂時計で9分をはかれるか?”という問いが気になり…解けるまでは帰らない!と言い出した。父はお腹が空いていた。早く帰って晩ご飯もつくらなきゃいけない。ページを開き、こっそり答えを知ろうとした父を遮り、その場に座り込んで考え出してしまった。
時間かかるやろうなぁ...という心配は、だが、なんと、わずか5分ほどで解消された。「へぇ〜、なるほどね!」と父を納得させる答えを導き出し、なにもなかったように「じゃ、レジレジ! 母が待ってるし、早く帰ろう」ですって。
しかし、まぁ、こどもの成長ってものは、親が思うより、どれだけ早いことか!追いついていけないよ!と嘆いたり、老け込んでる場合じゃない。父も、まだまだ、もっともっと成長せねば!と、思い知らされた数日間だった。高校受験するつもりで、中学の勉強やり直そっか?とも考えたが、父の場合は......三日坊主かな。
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