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接客の心地よさは何で生まれるのか

接客トレーナーという仕事柄、自分がされた接客はもちろんだが、他の販売員とお客さんのやりとりを無意識に観察していることがよくある。

そんな中で、この人の接客はとても感じがいいな、お客さんもとても喜んでいるな、と思うのはどういう時なのか、私なりに分析してみた。

するといくつかパターンがみつかった。


・お客様のスピード感に合わせている

ゆっくり商品を見たいお客様にゆったり接客をするのは普通の光景だ。販売員側もゆっくりの接客なら商品の良さを十分に伝える時間やお客様の要望を聞き取れる時間がある。
しかし、急いでいるお客様に対して販売員が自らの動きをサッと変えて端的に商品の説明をし、お客様の不安を解消し、テキパキとお会計を済ますことも必要なスキルだ。
お客様から「急いでいます」と言われなくても、動向を見てそのスピード感を感じ取り対応できるスキルはお客様の快適なお買い物に必須だ。


・過不足のない会話をしている

お客様がどんな情報を欲しているのか、これを見極めるのは簡単ではない。

接客をはじめて間もない頃は、販売員が察して情報を伝えなくては!と必死になっていた。
しかし、そのやり方は当たり外れがある。

大事なのはお客様とコミュニケーションをとり情報を得ることだ。
今の私はよくお客様に質問をする。

例えばデパ地下で接客の際に、サラダの分量で悩んでおられたとする。そうすれば「何人でお召し上がりなんですか?」などと訊くし、差し入れるお弁当をどれにするかで悩んでおられたらどんな方に差し入れるか訊いたりする。

全部こちらから察せずとも、お客様から聞いたことをヒントに考えると上手く噛み合いお買い上げに繋がりやすい。


・本心でおもてなしをしている

これは意外と難しい。
本心か本心でないのか、思っていても伝わっているかはまた別問題であるし、思っている以上に伝えるのは苦戦するところだろう。

数をこなさなければならないチェーン店などは、接客中スピーカーのように同じ会話を延々と繰り返す。これは合理的にする為半分は仕方ない事だと思う。
「ありがとうございました」の言い方も形式的で、お客様もそれを聞いて買い物の終わりを迎えたなと思っている合図のようだ。

チェーン店はさておいて、できる事なら「数ある中から自店を選んでもらって有難い」「たくさん買ってもらってありがたい」「遠くから買いに来てもらってありがたい」そんな一人一人のお客様に気持ちを込めた言葉を伝えられると、この店で買って良かったなと思ってもらえるきっかけになるだろう。


・自分の店だけでなくお客様の心に寄り添う

時々そこのお店にないものを探されているお客様が販売員に声をかけているところを見る。そんな時「あぁ、うちにはないですね」ではなく「うちでは取り扱いがないのですが、〇〇では取り扱いしておられます」と促しているのを見ると、お客様のことをよく考えて動けている人だなと嬉しくなる。

お客様にとっても「あそこのお店は親切だ」という印象はいつかいい方に働くだろう。
かく言う私も、そこのお店に買い物に行きたくなってしまう。


観察眼に優れ、臨機応変な対応ができ、心の機微を感じとって、利益でなくお客様の為を優先できる販売員が、接客の心地よさを生んでいると私は思う。

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