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実は使ってる”比”のお話

みなさんは普段、料理ってしますか?
私は正直料理があまり好きではなく、普段はレシピなんか見ずにテキトーーに、なんとなーーーく作る…という感じだったのですが、この時期家にいる時間が多くなったおかげで自炊に力を入れるようになりました。

そんな訳で最近はきちんとレシピを調べて新しい料理に挑戦したりしてるのですが、しみじみ感じています。「料理ってちゃんと算数使ってるんだな…」と。
(料理にはロジカルな思考力が必要、というのもよく言われますよね。思考力についてはこちらの記事で紹介しています)

※関連記事:算数的思考力を高めるSPI(非言語)試験とは?

例えば先日、私がハンバーグを作ろうとした時のこと。
レシピに書いてある材料は<合いびき肉400g>。
しかし、家にあるのは賞味期限の迫った<合いびき肉600g>。
この時、「使い切っちゃいたいしとりあえずお肉は600gに増やして~、他の材料は…面倒くさいからそのままの量でいいや~」で作ると…ご想像のとおり、失敗の原因になります。(私がよくやるやつ)

レシピどおりの味を再現するには、ひとつの料理に含まれるそれぞれの材料の「」を守らなければいけません!(自戒)

比って?

比というのは「2つ以上の数量の関係を表す割合の表現」の仕方のひとつです。
比では「:」という記号を使ってその数量の関係を表します。

数量の関係、と言うとちょっと堅苦しい感じがしますが、今回のような料理の場面なら「味のバランス」と捉えることもできると思います。

例えば、
牛乳 200ml と コーヒー 300ml でカフェオレを作るとき、
**牛乳とコーヒーの比(味のバランス)は 200m l: 300ml **だと言えます。
(人によっては 100ml : 300ml だったり 50ml : 400ml だったり、それぞれ好きな味のバランスありますよね)

200ml:300ml というだけでも間違いではないですが、算数や数学の世界では「できる限り小さい数字で表す」という工夫が求められます。(※大きい数で表そうとするとキリがないのと、小さい数の方が分かりやすいためです)
そこで、下図のような考え方を用いて200:300をより簡単な数で表すことにしています。

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つまり、それぞれの数を割り切れる共通の数(ここでは100ml)を“1”とすることで
200ml : 300ml = 2(Cup) : 3(Cup)
というふうに、2つの数の関係を「より簡単な比で表す」ことが可能になります。

また、使用する材料の比が同じ=味が同じということなので、「このカフェオレの味を、もっとたくさんの量で作りたい!」という場合も“2:3”というこの味のバランスさえ守れば、必ず同じ味でたくさんの量を作ることができます。
例えば牛乳600ml使って、2:3のカフェオレを作りたい場合
600ml=2(Cup) つまりここでは 1あたりが300mlになることが分かります。
1=300ml なら 3=900ml だから
⇒コーヒーは900ml入れればよい
このような感じで、比と一方の量さえ決まっていれば、もう一方の量をどれくらいにすればよいか?を求めることができます。

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また、これらの結果から
それぞれの数を同じ数で割ったり同じ数を掛けたりしてできる比は、すべて等しい比(同じ味)となることがわかります。

比で作るハンバーグ

さあそれではこの「比」を使って、冒頭でお話しした合いびき肉600gを使ったハンバーグを作ってみましょう!
レシピに書いてある材料はこんな感じですね。

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私は合いびき肉600gを使いたいわけなので、それに合わせてその他の材料も”同じ増え具合”になるよう量を調整しなくてはいけません。

前述のとおり、比のそれぞれに同じ数を掛けても等しい比(同じ味)となるわけですから、ここで考えなくてはいけないのは
「レシピと比べてどのくらい増えたのか?」⇒「レシピの量の何倍の量になるのか?」 ⇒ 「400gになにを掛ければ600gになるのか?」ということです。
この問題に対しては割合を求める計算 ⇒ 600÷400で「合いびき肉は1.5倍の量」ということが分かるので、同じようにその他の材料にも同じ掛け算、1.5倍してあげればよい、ということがわかります。

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おわりに

比を使えば今回のような「レシピどおりの量・人数」じゃなくても「レシピどおりの味」が作れます。
「比や割合、苦手だなぁ」という方、ぜひ今回のように料理で実践しながら学んでみるというのはいかがでしょうか?

私のお気に入りのレシピ本【誰でも1回で味がきまるロジカル調理】では科学的な視点でロジカルにレシピを紹介しています。
もちろん今回お話しした比も出てきますし、「なぜこの工程が必要なのか?」という点や各工程の組み方がわかりやすく紹介されていて、レシピ本としてはもちろん読み物としても面白く、更には思考力も鍛えられます!
興味のある方は是非読んでみてください。(数学の本じゃなくてすみません笑)

<文/池下>

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