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プログレの基本を教えてくれる。King Crimson「In The Court Of The Crimson King」
プログレッシブ・ロックの名盤として語られることの多い「In The Court Of The Crimson King」(邦題:クリムゾン・キングの宮殿)。
(画・緑色三号)
あまりにも有名なジャケット画だから、「キングクリムゾン」というバンドのことを知らない人でもこの絵を見たことがある人は多いかもしれない。
「キングクリムゾン」という名前だけ知っている、という人も多いだろう。それはたぶん、荒木飛呂彦先生のせい……(「ジョジョの奇妙な冒険」には洋楽由来の名前がたくさん登場する)。
この作品のすごいところは、そのどぎついジャケットに負けることのない、強烈な音楽たちが収録されているところだろう。
やはり特筆すべきは1曲目の「21st Century Schizoid Man」。
冒頭の30秒間、ノイズのような小さめの音が流れる。
「ん?」と思った聞き手にボリュームを上げさせたところで、突然サックスによる「バーン!バララッバーラー!」という派手なイントロ。
ある意味、有名ビックリ系フラッシュ「ウォーリーを探さないで」並みに悪質な仕掛けだが、演出としては秀逸だ。
そこからテンポが速くなり、怒涛の展開。
特に曲の中間部、ギター、ドラム、ベース、サックスによる高速アンサンブルは必聴である。
2曲目の「I Talk To The Wind」(邦題:風に語りて)。1曲目の騒々しさはどこへやらといった感じで、非常に落ち着いた曲。この曲順もよく考えられている。
「風に語りて」と訳す邦題のセンスが個人的にお気に入り!
3、5曲はともに長めの曲だが、とてもかっこいい。どちらも民族的な雰囲気があり、渋いかっこよさ。
上に貼ったのは3曲目の「Epitaph」。日本語だと「碑銘」っていう意味らしい。かっこいいね……
問題は4曲目「Moon Child」。これは完全に実験音楽の類だ。
捨て曲っちゃあ捨て曲だが、歴史的観点からみればその実験性は評価されるべきだろう。
……まあ、普段は飛ばしちゃう私。3年に1回ぐらいしか聴かない。
全体を通して、1969年の作品だというのに50年以上経った現在でもあまり古さを感じない。
これが現代に至るまで「名盤」と評価されている要因の一つだと私は思う。
約10年前にこの作品を聴いた私も、その点にひどく驚いた覚えがある。
そういえば、キングクリムゾンと同時期のバンドである「YES」の作品群もまったく古く感じないんだよな……。この時代、すごい。
あ、そういえばYESの曲ってジョジョのアニメに使われてましたね。伏線回収!?!?
◇
音楽における「プログレ」というジャンルがどういう音楽を指すのかわからない人は、とりあえずこのアルバムを聴けばなんとなく理解できると思う(やや古典的かもしれないが)。
無駄に曲が長い、超絶技巧、難解な曲……プログレの基本的な要素はこの作品にすべて詰まっている。
「キングクリムゾン」という名前だけ聴いたことのあるという人や、ジャケットの顔だけ知っているという人には、ぜひこの機会に楽曲も聴いてみてほしい。基本的にどの配信サービスでも聴くことができると思われるので。
50年もの時を経た「キングクリムゾンの宮殿」。
きっと貴方に刺激的な音楽体験を与えてくれるに違いない。
機会があったら聴いてみてネ!
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