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【美術展2024#65】TOPコレクション 見ることの重奏@東京都写真美術館

会期:2024年7月18日(木)〜10月6日(日)

東京都写真美術館では約37,000 点を超える収蔵作品のなかから、テーマに沿って選び抜かれた名品を定期的に紹介しています。本展覧会では、当館の所蔵する写真作品を中心に、「見ることの重奏」をテーマとして、見るということを問い直す試みを行います。
ひとつの作品に内在する、作者や批評家、鑑賞者など、さまざまなまなざし。たとえば、写真家は制作のプロセスにおいて、ある対象を独自の方法で見つめ、それをフレーム化します。また批評家は、自身の作品の見方を言語化することで、作品を評価し、価値づけます。そして鑑賞者はそこに写されている事象と自身の個人的な経験や記憶を結びつけ、その関係性のなかで作品を見ることができます。
このように、イメージの作り手、語り手、受け手など、その立ち位置によって、写真を見るという行為は多様なものとなります。そして見る経験は、イメージの表面上には見えない、歴史的な視点と豊かな想像力、自身の思考が重なり合い、それらを共鳴させる行為とも言えるのではないでしょうか。
本展では、これまで語られてきた作品をめぐる言葉とともに、時代も地域も異なるコレクションが一堂に展示されます。出品作品を通して、写真を見るということについて思考をめぐらせる場となれば幸いです。

東京都写真美術館


本当に久しぶりの写真美術館。
以前来た時は何の展覧会だったかすら定かではない。
気になる企画はいくつもあったがその都度タイミングが合わずに訪れることはなかった。

学生の頃からちょいちょい来ていたはずなのだが、久々すぎてこんな内装だったかなあなんて思ったりして初めて訪れた美術館のように新鮮だった。

そういえば学生時代は毎日肌身離さずどこへ行くにもフィルムカメラを持ち歩いていた。
一人暮らしのボロいアパートの台所に暗幕を張って暗室代わりにし、引き伸ばし機一式を設置して夜な夜なモノクロ写真を現像&プリントしたりしたものだ。
某出版社でカメラマンアシスタントのバイトをやっていたこともあった。
あの頃の記憶が蘇る。懐かしい。


さて、今回は特に見たい企画というわけでもなかったのだが用事の合間に何となく時間ができたのと地理的にちょうどいい場所だったので行ってみることにした。

いくつか企画をやっていたが今回は時間の都合でコレクション展のみを見てきた。


・奈良原 一高

瀧口修造の依頼でマルセル・デュシャンの「大ガラス」を撮った写真。

デュシャンの「作品」としてではなく、ただ「そこにあるガラス」として撮ったというその写真はガラス本来の透明感や反射が美しく捉えられているが、やはり見る人が見ればすぐにわかる「大ガラス」の存在感をかえって際立たせているようにも見えるのが面白い。

「作品を作品として撮った写真」ではなく「作品をモチーフとして撮った写真」。
こういう写真は大好きだ。


・寺田 真由美

一見ただの部屋を撮った写真のようだが、実は自身が制作したミニチュアの部屋を撮っている。
誰かいそうで、だが誰もいない。
不思議な違和感を漂わせる写真は形而上絵画のようでもある。


・山崎 博

生まれ年が1年違いの杉本博司の《海景》と同じような写真群だが、始めたのは山崎博の方が早いようだ。
杉本作品がシンプルを追求しているのに対し、山崎作品はその他の要素も含まれていたりする。
コンセプトは違うのに表面的にはかなり似ているのが興味深い。

インスタグラムのサムネ画面のようにも見える。
フィルムはこういう独自の表現もできるのが面白い。


・杉浦 邦恵

今回の企画ではマン・レイも展示されていたが撮影不可だった。
そのマン・レイが生み出した、カメラを用いずに印画紙の上に直接物を置いて感光させる技法「フォトグラム」。
マン・レイに絡めてだろうか、杉浦邦恵のフォトグラム作品も展示されていたが、私はフォトキャンバスシリーズの方に目が行った。
私も学生の頃、キャンバスに感光乳剤を塗って自宅暗室(台所)でせっせとフォトキャンバス作品を作っていた時期があった。懐かしい。

そうそう、時間が経つとこんな感じに劣化してしまうんだよね。



1990年代後半の学生時代、カメラは何台か持っていたが当時一番の愛機はCONTAX RTSとCONTAX T2だった。
あの頃、CONTAXは私の周りで写真をかじっている者には絶大な人気があった。
何せ名レンズのカールツァイスが装着できるという他メーカーにはないアドバンテージが大きかった。
そしてCanonやNikonとは違うドイツの香り漂うデザイン(実際はヤシカ→京セラの日本製だが)がとにかくカッコよかったのだ。

私の愛機RTSは当時でもすでにクラシックカメラの域に達する、マニュアルモデルだったがフィルム時代の写真の出来栄えはボディ性能よりもレンズによって大きく左右されていたのでボディが旧型であっても大した問題ではなかった。
初代RTSのボディデザインは、かのポルシェデザインによるものだ(Ⅱ以降は違うのだ)というウンチクが私のオタク心に刺さり、機能的にはⅡ以降に劣るのだがあえて初代モデルにこだわって使用していた。


そしてコンパクトカメラのT2。
このカメラは本当に良かった。
高級コンパクトカメラの先駆者ともされるT2は、今でも銘機と謳われ人気があるようだ。

今となっては全然コンパクトでは無いのだが、チタンボディに当時の最先端技術を余すことなくブチ込み、セラミックやサファイアガラスなどの高級素材をふんだんに用いた結果、単焦点のコンパクトカメラなのに発売当時の定価なんと12万円。
まさにバブル期真っ只中に誕生した高級コンパクトカメラだった。

私の旅【アジア横断&中東縦断の旅 2004】に持っていったカメラはこのRTSとT2の2台だが、カラー写真はほとんどがこのT2で撮った写真だ。
80リットルのバックパックに常時フィルム数十本入れていてめちゃくちゃかさばって大変だったがそれも今となっては良き思い出だ。

その他、趣味カメラとしてローライフレックスやライカなども持っていたが、その後加速度的にデジタルカメラの性能が上がっていき、あっという間にフィルムカメラを駆逐し、いよいよ私もフィルムをやめてデジタルに移行する際に、ライカ1台残してフィルムカメラは全て処分してしまった。

その後、デジタルはCanonで揃えてみたが今となってはかさばる一眼レフを取り出す機会もほとんどなくクローゼットの肥やしになっている。

Canon一式 ライカと共に

ここ10年くらいはもっぱらiPhoneカメラのみだが年々画質も機能も上がっているので十分事足りている。
薄くて小型なのにこれ一台で広角から望遠までカバーし動画や画像編集までできてしまうなんて、90年代当時からしたら本当に夢の機械だ。


写真美術館に刺激され、久しぶりにライカで撮影してみようと思いフィルムを買いに行ったら、一番安いタイプでもなんと1本2000円近くもした…。

た、高ぇ…((((;゚Д゚)))))))

ア、iPhoneでいいや…

最近若い子達の間でフィルムカメラ流行っているっていうけどこんなの買ってるのか?
昔はフィルム一本300円くらいだったと思うが…。



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