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【美術展2024#09】本阿弥光悦の大宇宙@東京国立博物館

会期:2024年1月16日(火)~3月10日(日)

本阿弥光悦(ほんあみこうえつ・1558〜1637)は戦乱の時代に生き、さまざまな造形にかかわり、革新的で傑出した品々を生み出しました。それらは後代の日本文化に大きな影響を与えています。しかし光悦の世界は大宇宙(マクロコスモス)のごとく深淵で、その全体像をたどることは容易ではありません。

そこでこの展覧会では、光悦自身の手による書や作陶にあらわれた内面世界と、同じ信仰のもとに参集した工匠たちがかかわった蒔絵など同時代の社会状況に応答した造形とを結び付ける糸として、本阿弥家の信仰とともに、当時の法華町衆の社会についても注目します。造形の世界の最新研究と信仰のあり様とを照らしあわせることで、総合的に光悦を見通そうとするものです。

「一生涯へつらい候事至てきらひの人」で「異風者」(『本阿弥行状記』)といわれた光悦が、篤い信仰のもと確固とした精神に裏打ちされた美意識によって作り上げた諸芸の優品の数々は、現代において私たちの目にどのように映るのか。本展を通じて紹介いたします。

東京国立博物館

入ってすぐに国宝「舟橋蒔絵硯箱」が鎮座。
いきなりの出オチ感。
もちろん物自体は何回見ても素晴らしいのだが。

写真が撮れなかったので表の看板から

以前から海苔で巻かれた玉子の寿司みたいだなあなんて思っていたが、今回の公式グッズにそんなゆるキャラが描かれていた。


展覧会タイトルにつられてなんだか赤瀬川原平の「宇宙の缶詰」のようにも思えてきた。

会場内写真撮影禁止だった中、唯一撮影可能だった8K映像にしばし見惚れる。
トーハクの高画質映像はいつも素晴らしい。

その後も絵、書、刀、陶、漆などジャンルボーダーレスで国宝・重要文化財が連なる。

書や刀に至っては何が書いてあるとか誰が所有したとかの文脈を取っ払うと、かっこいいなあとか、緊張感がすごいなとか、そんな薄っぺらい感想しか出てこない浅はかな知見の私。
今でいうコラボとかプロデュースとか。
そうか光悦は江戸時代の藤原ヒロシだったんだ、と理解することにした。

そんな中、俵屋宗達の下絵に光悦の書が書かれている巻物「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が。
躍動感、リズム、色、バランス、全て素晴らしい宗達の絵。
ステンシル的なハンコ絵にも見えるが、よく見ると筆の痕跡があり、緊張感を持った一発描きで描かれている。
基本的に大きさや形はほぼ揃っているのだが手作業だからどうしても微妙にずれていたりして、逆にそれが生き生きとした瞬間を切り取った繊細な表現になっているようにも思えた。
素晴らしい。欲しい。

この時点ですでに作品は完成されているようにも思えるが、それを惜しげもなく下絵にして書を書いてしまう光悦のオラオラぶり。
だが書が入ることでお互いの良さを引き立てあってより良い一点物に昇華されているようにも見える。
絵の上に書が書いてあるのか、書の上に絵が描いてあるのか、しばらく見ているうちに交錯してくる。
時にクロスオーバーしながら即興で縦横無尽に音を奏でるジャズセッションのようにも思えた。

ふと2016年にBunkamuraオーチャードホールで行われたJeff Millsと東京フィルハーモニー交響楽団の公演が頭の中で再生された。

テクノとオーケストラの融合。
あの衝撃はすごかった。
チケットは即完売し今では半ば伝説化しているあの公演の場にいれたことは貴重な体験だった。

Jeff Millsがこんなことをやるなんて私の学生時代(1990年代)には考えられなかったなあと感動したことを「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」を見て思い出した。

The Bells は必聴 ↓


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