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弟の黒革の手帳

弟はマイブームが生まれると、その内容を書き記したり、描いたりする傾向がある。裏紙やメモ帳にサラサラっと書いて、すぐに捨ててしまうことも多いが、今いちばんに熱いテーマは、お気に入りの黒革の手帳に記録する。子どもらしくない、モレスキンのように真っ黒な表紙の手帳。以前にノベルティで貰ったものだ。兄弟ともに所持しているが、兄はこの手帳に頓着がないようである。スマホサイズで、実用に足らないのかもしれない。一方、小さな弟の手にはちょうどいい。左手に手帳を持ち、右手に鉛筆を持ち、刑事のように歩き回りながらメモするときは、とても集中している。刑事モードに入ったら、「何してるの?」などと野暮なことは聞かず、声をかけられるまで私もだんまりを決め込むことにしている。

手帳に新たな書き込みが増えた。太陽系の惑星とブラックホール、さらには銀河の絵だ。先日購入した宇宙の図鑑。夫が毎晩読み聞かせてくれるので、このところ、弟の興味は宇宙にまっしぐらである。今日は手帳以外にも、裏紙に自作の名前を付けたロケットを7機も描いていた。興味があるものに対する知識の吸収力は、使い古された言葉しか思い浮かばないが、まさにスポンジのようだ。質問量も増え、一つひとつの回答も新たな知識として蓄えてしまうから変なことは言えない。そして、学んだ知識を手帳や裏紙にアウトプットし、確実なものにしていく。誰が教えたわけでもなく、自然とそういう行動になるのが凄いと思いながら、小さな刑事を見守る日々である。

突然に始まるマイブームは、その分野の知性を高める絶好のとき。母も一緒に学びながら、そのタイミングを逃さないよう、おいそれと知識の提供体制に入ろう。


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