見出し画像

友達に。

きみは本当に真面目だ。
仕事とプライベート、公私混同してはいけない。
そんなの最初から分かってたのに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

いつの間にこんな気持ちを持っていたのだろう。
君と話をすると不思議なくらい楽しいし、
笑いすぎてお腹痛いし、体は熱くなるし、
君は『笑いすぎて頬が痛い』って言うの。
それが嬉しくて、いつの間にかもっと笑わせたいって思っていた。

初めは、気になってた煙草のにおいもいつの間にか忘れていた。
仕事だっていうことも、君といると忘れかけてた。
それくらい、君に会いに行くのが楽しみになっていた。
そんな、ある日君から
"今度よかったらご飯に行きませんか?"
と誘われた。

でも、私たちの仕事の関係は、プライベートでは仲良くしちゃいけない。だから私は一線を引いた。

"仕事のルールでプライベートでは会えないんです"
と伝えた。

君は潔く、私に謝罪し、
"今後は距離感を気をつける。
仕事での関係だけで付き合う。"
と言った。とても、悲しい寂しい言い方だった。
その時から、君は別れたカップルのように、心を閉ざし、どこか遠くへ行った気がした。

自分から突き放しておいて、私は心底沈んだ。
もうあんなに楽しくは話せないのか。
一緒に笑い合えないのか。
なんでいつもこうなの。
私は後悔した。
でも。
私が転職もしてまで東京に来た理由、
何をするために東京に来たのか考えた時、
私は、私の幸せのために。その幸せってなにかを探しに来たのだと思った。
それは仕事なの?安定した今のこの生活?
私は、もう少し自分の感覚を、自分を信じて
自分の幸せを、今を選びたいと思った。
後悔先に立たずとは言うけども、まだ君の気持ち
が1mmでも残っていることを祈って…決めた。
私はその時、仕事なんかどうでもいいと思えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次の仕事のアポイントで君に私は、

"◯◯様がよろしければ、友達になりたいです。"

と伝えた。
君は驚いてたが、かつての笑顔で笑ってくれた。

それにつられて、私もまた笑っていた。


この記事が参加している募集

恋愛小説が好き

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?