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「見ろよカケル。俺もスタンプ押してもらったんだぜ」 俺の友人であるテツヤが、左腕に押さ…
岩と見間違えるほど、皮膚がザラザラとした巨大な生き物の前で、小さな女の子が不思議そうに…
電車に乗っていると、些細な会話が耳に入ってくることがある。僕の目の前に座る、おそらく親…
四月の風が部屋中を怠けさせる。僕は作業部屋にある机の椅子に座って、先ほどまでモワッとし…
「ねえ、拓人は遊戯についてどう思う?」 夜の公園。その日はクリスマスを過ぎた頃で、露わ…
どうして、人間は性に対して貪欲であり続けるのだろうか。わたしはつくづく疑問に思っている…
若かりしき頃は、誰かを傷つけていないと落ち着かなくて、尖った箇所で相手に切り傷をつけてばかりだった。相手が痛がっているところを見ると、妙にホッとしてしまう自分がいた。人の不幸が蜜の味どころか、極上のパフェくらいのご褒美感があって、わたしはそれで甘さを得ていた。 真っ赤な林檎を貪るように、わたしはいつだって血を欲しがった。目でも、鼻でも、口でも、感覚でも。わたしの全てが人を闇を求め、滅する場面に歓喜し、悲しむ姿を望み続けてきた。 「君は、カラスだ」 ある日、わたしと付き合
僕たちは、触れ合うことができない。こんな流行病が起きてしまったから、今はずっと離れてい…
いつの間にか、僕らは忙しさの渦に巻き込まれていて、悠々と流れているはずの時間に感謝でき…
1 僕は日曜日の午前中になると、決まって近所にあるカフェ、『ブルーノ』へ行くことにして…
【五百円】 かじかんだ手をポケットに突っ込んでみると、中には五百円玉が入っていた。俺は…
「ここが新しくできた猫カフェか」 東京吉祥寺にできた猫カフェ『ikoi no heya』。入り口に…
クルクルと地球儀を回す夢を見た。はっきりとは覚えていないが、きっと目まぐるしく回転する…
ひんやりとした空気が僕らの通る道を覆う。寒さを凌ぐために着ているジャンバーも、首筋が冷えてしまうせいで温かみを忘れてしまう。 「寒いねえ、真」 隣でポケットに手を突っ込んで歩く、唯の白い首筋も露わになっているから、そこをめがけて北風が突き刺していく。 「寒いね。今日はここまで冷え込むとは思っていなかったよ」 「お天道様も気まぐれだから」 今日の朝、テレビに映る天気予報士は「本日晴天なり」と話していたが、空を見上げても陽など出ている気配もなく、絵の具で塗りたくったような灰