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我が子の勉強にお悩みのあなたに/2つの思考のヒント

子どもに勉強をして欲しい。テストでいい点数をとって欲しい。

親御さんの悩みは尽きない。


僕は数千人の子どもたちを見てきたわけだが、それ以上の数の親御さんの悩み相談も受け続けたことになる。母、父、とそれだけでも数は単純に2倍になる。

時代が変わってきたことで、子どもたちの特性はもちろん、親御さんの振る舞いも変わってきた。


そこでまず一つ気づくのは、感情を制御できない親御さんが増えてきたこと。ここ5−7年で一気にその色合いを強めてきた。

そして、2020年あたりからは、親御さんの世代がさらに若返り、その傾向はもう一段、二段、顕著になりつつある。

子どもたちが低年齢化してきた、という指摘は、かなり前からあったが、それが親世代にも同じように見られるということかもしれない。大人になりきれない大人たち、といえばいいだろうか。

また、そもそも世代の違いで、価値観や振る舞い方が違うわけだから、低年齢化というより、もうそれが今の大人の姿と見ることもできるだろう。


今、起っていることは、親御さんと子どもたちで、ほとんど同じ価値観を共有しないまま、そのまま時間が経過していくということだ。

子どもが少しづつ成長していけば、親のことを少しは理解できるかもしれないという、昔ながらの淡い期待は儚くも散る。

起こる不具合に手を打つことがなければ、そのまま、なのである。そんな切ない時代。


今回は、悩みの尽きない親御さんのためのヒントを書いておこう。


その1

「教育は消費ではない」と知る

教育は消費とは異なる。ところが昨今は、個人を取り巻く多くの事象が消費に満たされるようになってしまった。私たちの思考パターンの多くが消費をもとにしたものとなっている。そして多くの場合、無自覚だ。

そうなると子どもたちの勉強を消費と同じように捉えてしまいやすい。

学校の勉強であっても、税金を払っているから○○して欲しい、となる。

それだけではない。

○○円のお金をかければ、□□点取れるはずだ、と思ってしまう。

時間も同じで、〇〇時間かけたのだから、□□点取れないとおかしい、となる。

ところが本質的な教育は、消費ではない。

簡単に言うと、教育で起こることは、「いつもあなたのコストに見合わない」のだ。

ここでは、「教育」を「子ども」と置き換えても良い。

子どもたちは、消費に象徴されるような商品ではない。


つまるところ、「あなたの思い通りにはいかない」のである。

この点は消費との決定的な違いである。


冷蔵庫や電子レンジは、買う前にその効果効用がわかる。あなたの期待を裏切らない。冷蔵庫は必ず物を冷やしてくれるし、電子レンジはかならず物を温めてくれる。それがあなたが普段から馴染んでいること、つまり消費だ。

現代は消費行動が多くの柱になっているために、そうでない場面でも、多くの人が消費者としての振る舞いをしてしまう。無自覚のうちに。


消費者になりきっていることで、子どもたちを許容することができない。

特に、勉強においては、感情的になりやすい方が多い。


だからまずは、教育は消費ではないと知ること。

それが大事だ。


知っているだけで、

「ああそうね。いつもスーパーやコンビニで物を買うように、(子は)思い通りには行かないよね」と許容できるようになるはずだ。


その2

「それでもなお許容できないのは、あなたの『煩悩』だから」と知る


教育は消費ではない。そのことはわかった。でも、どうしても我慢ならないと言う親御さんもおられるでしょう。

ここで典型的に振りかざすのは、「子どもたちのため」という正義でしょう。

「勉強しろって言うのは子どもたちのため、点数取るのもこの子が困らないように。」

その気持ちはわかるんですよ。僕は5万と聞いてきましたからね。

しかし、ほとんどの場合、この正義は、真に正義ではなく、

親の「欲」なんですね。


「子どものため」と言えば何でも正当化されそうなので、この言葉はあまり多用されない方が良いでしょう。

考えてみてください。

そもそも子育て、特に養育という面では、子どものためにあなたは尽力してきた。だから、今更わざわざ強調する必要はないですよね?ところが、なぜか勉強や成績のことになると、言わなくてもいいそれが、正義の印籠のように出てきてしまう。ちょっと不思議ですよね。

だから考えてみるのです。

わざわざ、言わなくても言いことを言わせてしまっている、本当の理由はどこにあるのかを。

それが、あなたの「欲」なのです。

勉強したい、頑張りたい、いい成績をとりたい、いい学校入りたい、それらが子どもの欲であるなら、何も問題はないでしょう。

ところが、あなたが子に言う「勉強しなさい」「いい点とりなさい」「いい学校入りなさい」は、あなたの欲でしかありません。

それを自覚しない限りは、それをいかにも子どものためだと正当化しているあなたの姿は、子どもからすれば、自分の欲を一方的に押し付けてくるだけの都合のいい大人、でしかないのです。


先にこの記事のその1で述べました。子どもたちは商品ではありませんから、そもそもあなたの思うようにはならない。それを思い出しましょう。それだけでも、自分の振る舞いが、相手を思い通りに動かしたいという我欲から生まれていることに気づけるはずです。


子ども自身の人生を考えてみてください。

それはあなたの人生とは別物です。当たり前ですね。いくらあなたが親であっても、子ども自身の人生をあなたが代わりに生きることなどできません。だから、大事なことは、「子ども自身が思う通りに生きること」であるはずです。間違っても、親であるあなたの顔色を伺って、あなた好みの人生を生きようとすることではありません。

あなたが我欲を認識できず、それを押し付けてしまうことは、子に自分の人生を生きることを放棄させる行為です。

子育てという素敵な経験を通じて、あなたの我と向き合いましょう。そうすることであなたの人生はより豊かになるに違いありません。


(おわり)











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