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間坂野真理のオンラインゼミ 沖縄編 第3話 沖縄でアメリカは完全な自由を手に入れた

真理:まあまあ、賢人くん落ち着いてちょーだい。そりゃーはじめのうちは無駄な努力ばっかりだけどさ、そのうちに要領よくなるから心配するな。

賢人:先生、やっぱり無駄な努力だったんですか。

真理:あっ、いや、そんなこたあないよ。まったくの無駄ってわけじゃあないから。

賢人:でも、ほとんど無駄だったんですよね。

真理:賢人くん、大事なことだからよく聞いてちょうだい。

賢人:はい。(ゴクリ)

真理:時として、無駄にも意味があるのよ。

賢人:せっ、先生、オレこれからも無駄な人生をどこまでも歩んでいきます。

真理:いや、そーじゃなくてさ。

(中略)

真理:この一見無駄とも思える最初の文にも、じつは深ぁーい意味があるの。

賢人:マジですか。

真理:さあ、気を取り直して最後のところを読んでみてくれるかな。

賢人:…行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。

真理:そうそう、それが実際にアメリカが手に入れたものなわけよ。ただの付けたしで一時的な応急処置みたいに書いてあるけど、そこを見逃しちゃあいけないんだなー。

賢人:先生、だけどどうして信託統治制度とかグダグダと書いてあったんですか。やっぱり最後の肝心なとこだけ書いとけばいいような気がするんですけど。

真理:だって、それじゃあいくらなんでもボッタクリ感まる出しじゃない。何者にも邪魔されない完全な自由を、まんまと手に入れたんだから、アメリカちゃんは。

賢人:完全な自由…

真理:ほーら、グダグダと書いてあるおかげで、なにを盗られたのかにも気づいてないようね。すっかり敵の術中にはまってるわ。

賢人:しっ、しまった。

真理:相手の注意をそらしておいて、こっそりお宝をちょうだいする。こんなのゲームの基本じゃないの。いま読んだ文の意味を、よーく考えてごらんなさい。

つづく


サンフランシスコ平和条約(日本国との平和条約) 第3条

日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。

Japan will concur in any proposal of the United States to the United Nations to place under its trusteeship system, with the United States as the sole administering authority, Nansei Shoto south of 29° north latitude (including the Ryukyu Islands and the Daito Islands), Nanpo Shoto south of Sofu Gan (including the Bonin Islands, Rosario Island and the Volcano Islands) and Parece Vela and Marcus Island. Pending the making of such a proposal and affirmative action thereon, the United States will have the right to exercise all and any powers of administration, legislation and jurisdiction over the territory and inhabitants of these islands, including their territorial waters.

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