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守り、続けるべきものは

五箇条の御誓文が出されたのち、大日本国憲法が発布され、その改正手続きを経て、日本国憲法が発布されて、現在に至っています。日本国の体制は、幕藩体制から、天皇親政、立憲天皇制、立憲民主制へと変わってきました。しかし、日本という国は続いています。卑弥呼の頃から、卑弥呼の前から、ずっと続いています。続けることが生きることの本質だと、資格試験予備校伊藤塾の伊藤真さんは書いています。

(引用はじめ)
最近は、「改革」や「変革」ばかりが声高に叫ばれ、「変えずに継続していく」という、生きることの本質から目がそむけられているように思います。

もちろん、私は、変化や改革の価値を否定しているわけではありません。たとえば企業の活動の本質は、イノベーションにより新たな技術や商品をうみだすことにあります。「変わること」なくして、新たな価値の創造はありません。

しかし、そうであっても、前提になるのは会社そのものの存続です。また、GEのような革新性をアイデンティティとする企業ほど、その根底では、創業者が掲げた理念や創業当時の志をかたくななまでに守り続けています。

会社をとりまく環境や時代がどう変わろうとも、「自分たちは何のために事業をしているのか」という根本的な目的意識は変えない。そして、その理念を守るために、変えるべきところを変えていくことは、企業が存続するための絶対条件ではないでしょうか。
(伊藤真、続ける力)

伊藤真さんは、平穏な日常はある日突然に脅かされると言い、先の大戦を体験した人から聞いた話を紹介しています。

もちろん、それまでもアメリカと戦争していることは分かっていたし、出生する人を日の丸を振って送り出していた。しかし、送り出した兵隊が戦地でどんな目に合っているかは分からないし、大本営発表から連戦連勝していると思っていた。ところが、ある日突然B29 が飛んできて、焼夷弾を雨あられと落とし始めた。その時になって初めて、「ああ、自分たちは戦争していたんだ」と実感したというお話です。

昭和天皇は、終戦の詔書に次のように記して、日本民族の滅亡を認識していることを明らかにし、ポツダム宣言を受諾して、国家体制を変革することを受け入れました。

加之敵ハ新ニ殘虐󠄁ナル爆彈ヲ使󠄁用シテ頻ニ無辜ヲ殺󠄀傷シ慘害󠄂ノ及󠄁フ所󠄁眞ニ測ルヘカラサルニ至ル而モ尙交󠄁戰ヲ繼續セムカ
終󠄁ニ我カ民族ノ滅亡󠄁ヲ招來スルノミナラス延󠄂テ人類ノ文󠄁明󠄁ヲモ破却スヘシ
斯ノ如クムハ朕󠄂何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ

(引用はじめ)
何をもって日本や日本人というのか、その本質は何かというのは難しい問題でもありますが、それが自分たちにとって価値あるものだからこそ、先人がそれを守り、今日まで承継してきたことは確かです。逆に、さまざまな変革や変化は、それらの多くの人が大切だと考えるものを守るための、手段だったのかも知れません。
(伊藤真、続ける力)

変革が必至である状況下で、個人に於いて、家族やビジネスに於いて、社会や国家に於いて、守るべき価値は何でしょうか。

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