ユニ・チャームが使用済み紙パンツをリサイクル!?「RefF(リーフ)」のリサイクル技術について
2024年4月20日、ユニ・チャーム株式会社は使用済み紙パンツをリサイクルしたRefF(リーフ)を九州地区の一部イオン店舗での販売を開始した。
えっ!?使用済みの紙パンツをリサイクル!?うんちやおしっこはどうするの!?と思ったため、どのようにリサイクルするのか調べてみた。
はじめに
紙おむつの構造
紙おむつは大きく分けて不織布と吸収剤という2種類の素材で構成されている。
紙おむつにおしっこやうんちをすると、まず初めに表面材(不織布)と接触する。表面材を通過した排泄物は、次に吸水紙(吸収材)に接触する。吸水紙で捕縛できなかった排泄物は、最後に綿状パルプに包まれた高分子吸水剤(吸収材)で捕縛される。
従来の処分方法
このように表面材〜高分子吸水材まで排泄物が接触するため、使用済み紙パンツはすべて焼却処分されてきた。しかし使用済み紙パンツは多量の水分を含むため、焼却処理に時間がかかる。
しかも高齢化の影響で、家庭ごみの約10%が使用済み紙パンツになる自治体も出てきているという。そのため日本国政府の脱炭素政策の一環として、様々な企業が紙パンツのリサイクルに取り組んでいる
ユニ・チャームの取り組み
使用済み紙パンツの収集
2024年4月現在、日本のごく一部の自治体と企業が組んで使用済み紙パンツを収集し、リサイクルに取り組んでいる。ユニ・チャームは鹿児島県志布志市や大崎市と連携している。
鹿児島県志布志市や大崎市では、使用済み紙パンツを資源ごみの回収品目にしている。
住民によって資源ごみ袋に入れられてゴミ出しされた使用済み紙パンツは、
ごみ収集業者によって収集され、そおリサイクルセンターに収集される。
(参考:https://note.com/unicharm_reff/n/nd0f05cc97305)
★使用済み紙パンツのリサイクル
収集された使用済み紙パンツを1個1個チェックして、排泄物を除外しキレイな部分だけリサイクルする事は難しい。
そのため、使用済み紙パンツは、まずは資源ごみの回収袋ごと破砕装置に投入され、次に洗浄・分離装置に投入される。そしてリサイクル可能な2種類の素材、パルプと高吸水性樹脂(SAP)にそれぞれ分離される。
分離されてすぐのパルプとSAPはうんちやおしっこで黄ばんでいる。おまけに匂いや雑菌も付着しているため、再利用するためには最終処理が必要である。
パルプの最終処理(オゾン処理)
オゾン(O₃)処理は再利用可能なパルプの生成や衣服のクリーニングでも使われる技術である。
(O₃)は3つの酸素原子で構成されている。2つのO原子同士は二重共有結合でつながっており、余った酸素原子は配位結合でつながっている
配位結合は弱く、室温ですぐに切れてしまう。結合が切れた酸素原子(O-)は、酸素分子(O₂)よりも反応性が高い。そのため様々な分子と結合し、もとの分子を破壊したり、別の分子へと変質させてしまう。
例えば匂いや色の原因分子や細菌の細胞膜の分子にO-を結合させることで、脱臭・漂白・殺菌を行うことが可能である。
SAPの最終処理(脱水処理+オゾン処理)
紙おむつに使われるSAPは、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム塩、架橋剤(2つ以上の分子を共有結合で連結させる試薬)で構成されています。これに水分を含ませると、アクリル酸、アクリル酸ナトリウムによってできる分子鎖が、架橋材によって分子間結合され、3次元の網目状構造を形成する。そしてこの網目内に水分を保持することが可能である。
このSAPをリサイクルするためには網目格子内から水分を追い出してあげれば良い。これまでは、カルシウムを使ってSAPから水分を取り除く方法が知られていたが、網目格子内にカルシウムが残ってしまうという問題点があった。そこでユニ・チャームは、北海道大学と共同研究を行い、酸によって水分を取り出す方法を開発したとのこと。
この脱水処理の後、パルプと同じくオゾン処理を施す事で、再利用可能なSAPへと生まれ変わらせる。
ユニ・チャームでは、このように生まれ変わらせたパルプとSAP使用して、新しい紙パンツを製造している。
おわりに
今回は使用済み紙パンツのリサイクルについて、ユニ・チャームの取り組みを解説した。
リサイクル紙パンツ「RefF」はイオン九州株式会社の店舗、およびユニ・チャームダイレクトショップで販売している。
今回仕様した多くの資料は以下のページから拝借した。
https://www.unicharm.co.jp/ja/csr-eco/education.html
また以下のページには他の企業の取り組みについてもまとめてあるので、興味のあるかたは参考にしてほしい。
バナーイラストについて
ろくろでおむつを作っているイメージです。粘土の色を茶色にしてしまいましたが、決してうんちではありませんよ。決して…
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