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夏になると、あの子は毎年別れを告げる

もう7年前くらいかな。
私はあの子と出会った。

限られた出会いだったけど、
当時の私の相性とピッタリだったし、
すぐに私は彼女を向かい入れた。

一緒にいると心地良くて、
どんな私にも合わせてくれる。

すぐに私は彼女を愛でるようになった。

毎年
何度も
何度も
一緒に歩いた。

そしたら、

3年前辺りから、
違和感を感じるようになった。

1日一緒にいると、
寂しいような、
悲しいような気持ちになってくる。

痛い。

痛い…

寂しい気持ち。

これだけ愛してきたのに、
突然

「あなたと別れたいんです」

と告げられているようだ。

それなのに私は3年間も
その別れを断り続けている。

後生大事に
あの時の出会いを大切にしている。

そして一緒に歩くたび後悔する。

痛い。

痛い…

寂しい気持ち。


帰り道はただ立っているのもしんどい。
しんどいよ…

家に着くと
ほら、やっぱりあの子は言う。


「ねぇ、あたし、
 もうあなたを傷つけることしかできない。」

いや、それでも一緒にいたいんだ。

「だってあたし…
 あなたとはもう合わない」


そうかもしれない。

私ももうあの頃の私ではなく、
彼女と合わなくなってしまったのかもしれない。

それを分かっていながら、
私は彼女と別れられない。

確かに彼女と歩く機会は
昔より大分減った。

他にも一緒に歩いていきたいと感じる、
そんな子に出会ってしまったから。


彼女は私のスタイルや気持ちの変化も
気付いているのかもしれない。


痛い。

痛い…

寂しい気持ち。

それでも私は

彼女からの別れ話と

今年の夏も向き合えない。




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セールで出会ったヒールのサンダル。
もう数年前からサイズが合ってないのかも。

痛い…痛いけど、
毎年どうしても捨てられない。

そんな雨の降りそうな夏の午後の話。










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