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前回の投稿からだいぶ時間が空いてしまいましたが、今回もおすすめ図書(「仕事のアンラーニング」)の紹介です。私が尊敬する立教大学の中原淳先生、法政大学の石山恒貴先生も推薦されていたので、さっそくポチって、すぐに読了。
読み終わって頭がスッキリした、というのが率直な感想です。

今や「人生100年時代」が一般的なワードとして使われるようになりましたが、そのセットとして「リスキル」や「学び直し」という言葉もよく耳にするようになりました。今回ご紹介する書籍のタイトルにある「アンラーニング」も同じカテゴリに入る考え方で、人材育成に関わっている方には比較的なじみのある言葉ではないでしょうか。

今後ますます、過去の経験や知識が通用しない仕事が増えていくことが予想される中で、今後のキャリアを考えていく上では老若男女問わず、とても重要な考え方だと思います。要は長年の自分の仕事の型、やり方等に固執してしまうことで、新たな学びを阻害しているというもので、優秀な人ほど陥りやすい、というまさに「イノベーターのジレンマ」ですね。

一方で、「じゃあアンラーニングのためには具体的にはどうすればいいの?」という点では、まだまだ理解が難しい概念(少なくとも私にとっては)でもあり、そうした一種のモヤモヤを見事にクリアにしてくれているのが、この本です。なお、この本では「アンラーニング」を「学びほぐし」と訳していて、具体的には「個人の知識やスキルを入れ替える学習のこと」と定義しています。更に言うと、仕事の信念、ルーティンを変える、ということを指しています。
※ちなみに以前のnoteで書いたスペインのサッカークラブ「ビジャレアル」の指導者でJリーグ理事でもいらっしゃる佐伯夕利子さんの著書「教えないスキル」では「学び壊し」と表現されていました。

「共分散構造分析」という手法を用いて、どんな行動をすると、どんなことに繋がるのかを「パス図」という形で示しながら解説してくれています。
私自身、業務で自社の社内アンケートを共分散構造分析で分析していることもあり、純粋にこのパス図分析になじみがあったので、スッと読んでしまいました。(パス図とはこんなのです(内容は実際のものです))

図1

内容自体はさほど難しいものではないのですが、とてもシンプルにかつ具体的な事例も交えながら、どうすればいいのかをいくつかのアンケートの結果をもとにクリアに解説してくれています。

特に重要だと思われるのは以下の点だと理解しました。

・アンラーニングには、内省→批判的内省(深い振り返り)というパスがある
・アンラーニングはワークエンゲージメントを高めることに繋がる 
・自己変革スキルがアンラーニングを促進させる
・アンラーニングには上司(の革新的行動)が影響を与える。

ここでは詳細は割愛しますが、上記3つ目にあげた「自己変革スキル(この本の中では4つ挙げています)」の中に、「意図的行動」というのがあるのですが、要は、チャンスを逃すな!ということで、それに関連してとても興味深い記述がありました。この本の根拠となっている働く人たちへのアンケートの結果の中で、アンラーニングが起きたきっかけは、「状況の変化(昇進、異動等)」「他者の行動(上司、同僚、部下)」「研修・書籍等」で、それぞれ7割、2割、1割という結果だったそうです。これって、人材育成に関わっている方であればピンとくる数字だと思いますが、そうです、「仕事経験」「他者からの指導」「研修」という学びの「70/20/10の法則」と一致しています。うーん、そういうことだったのか。(ちなみに70/20/10の法則については最近、これに代わる考え方も出てきていますがここでは割愛します)

自己変革の必要性を感じている方はたくさんいらっしゃると思いますが、そうした方にとって、何か一つ踏み出せるヒントになる本かなと思いました。私もアンラーニングできる機会を逃さないことをより意識していきたいと思います。

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