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成功に役立つ行動経済学のインサイト

本記事は、行動経済学に関する記事です。


行動経済学は人間の意思決定についての理解を深める

行動経済学とは、人間の心理学、意思決定科学、経済学を組み合わせた学問領域です。「心理学と経済学(Psychology and Economics)」とも呼ばれ、Daniel Kahneman、Amos Tverskyという二人の心理学者により創始されました。Kahnemanは行動経済学を唱えた功績でノーベル経済学賞を受賞しています。

既存の、新古典派に代表される経済学モデルでは、人間は常に合理的な意思決定を行い、完全な情報のもとで完全な選択を行うと仮定しています。ですが、実際は、人間は不合理な意思決定を行う、ある種の傾向が存在しています。行動経済学はそのような人間の意思決定についての理科を深めるための、比較的新しい学術におけるアプローチです。

多くのビジネスにおいて、多くのプロジェクトにおいて、一つの間違った意思決定が、一つの間違った行動が、成功と失敗の分かれ目になることがあります。特に今までにないことを達成しようとするチャレンジにおいては、自ら道を切開ていく必要がある分、失敗の可能性はより大きくなります。では、社会の中で、事業の中で、人々とともに挑戦を行い、なんとか生き残るだけでなく、目標に到達して成功する可能性を高めるにはどうすればよいのでしょうか。そこで役立つ指針の一つが行動経済学となるわけです。


顧客とのコミュニケーションにおいて留意する観点

行動経済学は、あらゆる人々に、より良い意思決定を行うためのインサイトを提供します。
まず、以下では、まず顧客との対話において留意すべき行動経済学の考え方を述べます。


社会規範の存在

筆者が好きな海外のTV番組に「Got Talent」があります。プロデューサーのSimon Cowellが2005年にイギリスで制作したパイロットをオリジナルとし、2006年にアメリカでの「America's Got Talent」、2007年にイギリスでの「Britain's Got Talent」を中心に、世界70カ国以上で展開されている、公開オーディション番組です。審査員の評価と視聴者の投票により、アマチュアや世間によく知られていないパフォーマーが世に出る機会となっています。


この動画は2017年のBritain's Got Talentで、参加者の一人である当時15歳のSarahが、その持って生まれた凄まじい歌唱力で、名曲の中でも高い難易度を持つ「I’m telling you.」を豊かに歌いあげるもので、「Got Talent」シリーズの中でも筆者が好きな回の一つです。

Sarahのパフォーマンスに、観客が興奮とともにスタンディングオベーションをします。もしこのような場にいたら、スタンディングオベーションを一度もしたことがない人でも、周りの人と一緒になって若きパフォーマーを讃えたくなるでしょう。気がついたら立ち上がり、拍手をしています。しかし、なぜでしょうか。なぜ、あなたはしたことのないスタンディングオベーションに参加するのでしょうか。

筆者には4歳の息子がいますが、息子が1歳のときに、水族館へイルカのショーを見に行きました。跳びはねるイルカの華麗な演技に観客は拍手喝采をして、見ていた1歳の息子も慌てて手に持ったおもちゃをおいて、スタンディングオベーションを始めました。

以下の写真は、片足で眠っているフラミンゴの群れに迷い込んだアヒルが、周りの空気を読んで自らも片足立ちになるところをとらえた写真です。


1歳の赤ちゃんも、アヒルもこのような行動をとるのだとしたらこれは、集団の中に生きる生物の本能として存在している何かなのかもしれません。

この現象は、行動経済学においては「社会規範的な行動」という概念で説明されています。社会規範とは、行動の基準や期待値のことで、我々の行動に本質的な影響力を持っています。

例えば、あるホテルで、宿泊客へ自分が泊まった部屋の前の住人の大半がタオルを再利用していることを伝えました。 そうしたところ、「この部屋に泊まる人はタオルを再利用するのが当たり前」という社会規範的な期待を知ることとなり、結果的にほとんどの人が再利用して、再利用率は26%も向上したそうです。これにより、経費削減と同時に、サスティナブルな環境への配慮を実現しました。

社会規範的な行動を期待し促す方法は、この例にあるように、サステイナブルな環境に配慮するような、エコロジーやSDGsにつながるような文脈で使われることが自然な用いられ方です。まさに社会規範としての使われ方ですが、使い方には注意が必要です。例えば、このようなやり方で、ある種の価値観の押しつけをしてしまうとかえって強制的な圧を感じさせてしまうこともあります。それゆえに、逆に、「必要のない社会規範」や「個人を尊重していない社会規範」、「無意識の社会規範」を顧客に要求していないか気をつける必要があります。


損失が発生することをよしとしない

人の行動や意思決定にはバイアスが存在していることが判っています。

プロスペクト理論に基づく質問というものがあります。例えば、もし「80%の確率で1万円もらえる」と「確実に7000円もらう」という2つの選択肢があったら、どちらを選びますか?

また、「確実に8000円払う」と「90%の確率で1万円払う」のどちらかを選ぶという状況ですとどうでしょう。どちらを選びますか?

前者のケースでは、確実に7000円をもらえる方を選ぶ人が多くなります。よい結果に関する判断では人はリスクを避ける傾向があることが判っています。

また後者のケースでは、90%の確率で1万円払うが選ばれる傾向にあります。悪い結果に関する判断ではギャンブルに賭けてでもそれをなしにできる方を選びます。黙って8000円差し出すよりはもし10%でそれをなしにできるのであれば、という思考になるわけです。これらはフレーミング効果とも呼ばれるもので、人は自然と、数学的・統計的に合理的な選択ではなく、ある種の偏向性をもった選択をします。

この偏向性に関して、行動経済学者は、人間の行動の最も強力な動機付けの一つは損失に対する恐れであると述べています。期待値の高いものを得るのではなく、何かを失いたくないという気持ちの方がはるかに強くなるというものです。損失が発生することをよしとしないということであり、人は損失回避能力が高いということもできます。例えば、脳は「75%無脂肪」と「25%脂肪」を人は同等とは見なしません。「25%脂肪」という非健康的な損失の発生をよしとしないため、「75%無脂肪」の言い方の方が良いように感じられるのです。

この能力をどのように活用すればいいのでしょうか。まず、達成しなければならない目標があるときは、お金や評判等、何かをリスクにさらします。例えば、今月末までにプロジェクトを終えられなかったら、1万円を友人にあげるとします。そして、その友人に1万円を渡し、目標を達成したときにだけ返すようにお願いします。1万円という損失を発生することをよしとしないため、自然にプロジェクトを頑張るようになる、というような感じです。

極的に人の損失回避能力を意識し、損失の正しい識別を心がけるということも大切な活用でしょう。セールスにおいては、製品やサービスに投資しなければ被る損失を、適切に洗い出して顧客と共有することです。プレゼンテーションでは、メリットや利益ばかりが強調されがちです。製品やサービスがもたらす有益な結果を伝えることは重要ですが、前に進まなかった場合に何を失うのか、どのような損失が発生するのかはきちんと考える必要があります。そして発生しうる損失については、セールスやプレゼンをしている側の人間には考えが及ばないものがあります。また、競争環境が激しい市場においては、競合の動きによって損失がもたらされることもあり、情報収集と考察を要することもあります。そのため、顧客との対話と議論、検討を深めていくことによって明らかにしていくポイントになります。

ところで、損失回避能力と類似したトピックで、人間の認知能力は、優良な状態を検知するより、異常な状態を検知する方に長けているという傾向があります。例えば、以下はキューピーにおけるAIによる原料選別の話です。人手でやっていた「不良品」の発見を深層学習のAIに置き換えたというものですが、その際に、人と同じく「不良品」の発見でやったところ、うまく行かなかったため、「良品」を見つけたというエピソードが言及されています。

このシステムでは、カメラで撮影した原料の映像を見て、不良品を見つけ出す仕組みになっている。
これは、人間が元々、文明以前の原始の昔において生物としてサバイバルをしなければいけないために、死に直結しうる異常な状態に敏感であるということを示している。
機械学習の「学習」(AIに学習させるプロセス、この場合にはどのダイスポテトが正常化を学習させる)のフェーズでは、100万個以上の原料を学習させ、良品をAIが自動で判別できるようにする。それに該当しないモノをAIが不良品として認識して弾くという仕組みだ。


この異常検知能力への偏りは、人間の生存本能に関わっているとも推測されます。人間が元々、文明以前の原始の時代においては、生物としてサバイバルをしなければいけない過酷な環境にあったために、死に直結しうる異常な状態に敏感であったという機能がそのまま現代に残っているという説です。


プライミング効果

人間は、先に得た情報にや小さな手がかりに無意識のうちに方向づけられた意思決定をし、行動をとります。この心理作用を「プライミング効果」と呼びます。例えば、画像がないウェブサイトや当初は社員が四名しかいませんといった情報は、信頼性を失いかねません。画像がない、社員は四名であるという小さいな事実は、製品やサービスのクオリティを実際に表しているわけではありません。ウェブサイトの写真がないからといって、その会社があなたのお金を受け取って製品を送らないということはありません。ですが、人はそこに不審を抱いて、製品やサービスのクオリティまで推し量ってしまいます。

顧客に訴えかけるためには、細部に注意を払い、潜在的なバイアスを引き起こす可能性のある小さな手掛かりの発生を避けることが重要です。無名のスタートアップの場合、パワーポイントのスライドからウェブサイトまで、第一印象が非常に重要です。顧客もハイエンドな品質を期待していないでしょうが、手抜きをしていては勝ち目はありません。


価格ではなく、そもそもの価値を示す

企業は製品やサービスを購入してもらおうとするために、顧客に様々なプロモーションを行います。例えば、それは無料の試用期間だったり、ディスカウントのためのクーポンだったりします。

ですが、どのようにこれらのプロモーションを顧客に提示すれば、最終的に顧客の購入へとつなげていくことができるのでしょうか。

肝心なのは、例えば、「今なら無料で3ヶ月使用できます」「このクーポンを使えば、キャンペーン期間中は半額です」という言い方をしてはいけないとういことです。一時的にそのプロモーションに参加してくれたとしても、価格が元に戻った際に、顧客は前述した損失回避能力を発揮してしまいます。無料や半額の特典が失われて損失が発生してしまうとして、「正規の価格という損失」を回避すべく離脱してしまうことになるのです。

無料やディスカウントの数字にフォーカスをしたアピールをしてはいけません。なぜならそれが顧客の判断根拠になってしまうからです。代わりに、提供する製品やサービスが持つ価値を述べた上でプロモーションをしていきましょう。

例えば、見込み客に自社製品の定期購入を試してもらいたい場合、「5000円相当の2ヶ月分を無料で提供します」と伝えます。ここで顧客は5000円という価値を認識します。前述の社会規範的期待を組み合わせて、「前回のプロモーションでは試された方の90%の方が高評価をつけたこのサービスの、5000円相当の2ヶ月分を無料で提供します」とオファーしてもいいかもしれません。「2ヶ月分のサービスを無料で提供します」とだけ伝えてしまうのであれば、顧客は何の価値も感じることができません。製品やサービスをプロモーションする際には、まずはその価値をこそ示すべきです。


価格そのものが価値を示す

もう少し価格について述べます。価格そのものが顧客に価値を示すこともあるということは留意点です。

顧客へのセールスの場においては、低い価格をアピールしないことです。低い価格は、悪い品質を想起させ、顧客の損失回避の本能を喚起してしまうかもしれません。それでも買ってくれる場合は、その発生しうる損失が許容できると顧客に判断されたためであり、商品の価値を認めてくれたからではないのです。

カリフォルニアで行われたある研究で、様々な赤ワインを試飲した人々に、それぞれ異なった偽の価格情報を与えて、脳波をスキャンし満足している度合いを調べました。結果は、シンプルで、異なったワインであろうが、同じワインであろうが、高い値段の情報が与えられた人はより満足し、試飲したワインを好むようになりました。価格が満足度に直結するファクターであると示されたのです。

この研究結果は重大な示唆があります。それはつまり、原価計算や需給の法則をこえて、価値を示す価格とは何であるかということも考える必要があるということです。それを踏まえて、前述した実際に購入してくれるためのプロモーション戦略を組み合わせ、複合的な戦術を作ることが大切です。


社会的ストーリーというニーズ

人は何のためにその製品を購入し、そのサービスを申し込むのでしょうか。

人は、コーヒーを飲んで喉の渇きを癒すためにスターバックスのコーヒーを買うわけではありません。カフェインを摂取するという最初の目的は、どこのコーヒーショップでも達成できます。違いを生み出し、私たちがいかに非合理的に行動することのファクターとなるのは、人々の持つストーリーです。スターバックスのコーヒーを購入するのは、その店舗の空間を楽しむため、スターバックスのファンコミュニティの一員となるため、スターバックスを楽しむことで自分が持つライフスタイルを示すため等、社会的ストーリーを満たすためなのです。

そのため、顧客が持つストーリーを形成する価値観、エンターテイメント性や感情的な体験、プライオリティや生き方のスタイル、方針、信条について知っておく必要があります。価格や価値が示す客観的な情報だけではなく、社会的ストーリーを満たせて初めて、顧客はあなたの製品やサービスを選んでくれることになります。

新しいアイデアにもストーリーが必要です。単に、機能の精度があがった、品質が向上した、こんな機能が増えたというような合理的な進化だけでは、新しいアイデアを人々は受け入れてくれないでしょう。2007年の初代iPhoneの記者会見を見ると、Steve Jobsがタッチスクリーンを感動的なストーリーに変えました。それによって人々は電話からキーボードを捨てるというスタイルの変容を受け入れたのです。


暗黙な影響の回避について

ここまで行動経済学的な考え方をどう顧客への対話に活かすかということを述べましたが、以下では、どう、その暗黙な影響を回避するかについて述べます。


社会規範による自動操縦の回避

前述した社会規範的な期待の力は強力で、抗いがたいものがあります。意識せずに社会規範に従い、周りの行動をフォローしてしまうことがありますが、果たしてそれはロジカルかつ適切な判断たりえているのでしょうか。自らの意思決定がそのような社会規範からの自動的なものになてしまっていないか常に意識していく必要があります。

自分が属している集団そのものが社会規範に従っているときは注意が必要です。社会規範的な行動は強力と書きましたが、それゆえに、組織を適切な方向へガイドするときの大きな障害になりうることがあります。どうしたら組織を暗黙の社会規範による自動操縦から自由にできるでしょうか。一つには、パーパス(企業の存在意義)の明確化です。企業が持っている本来の究極的な目標に対して、企業が存在していることを自覚し、その実現を確実にするためにビジネスを行っているのだということを経営トップやリーダー陣が認識している必要があります。そして二つ目は、そのためにデータに基づいた意思決定を行うことです。企業のビジネス環境や現場のリアルなデータをタイムリーに収集し、起きていることをきっちり掴み、正しく知ります。データの収集とそれをもった意思決定に対する真摯な態度をもつことで、暗黙の社会規範やバイアスに自動操縦されることから脱して、将来的に価値を生み出す存在としてあり続けることができます。現場においてはデータの民主化が大事なキーワードになります。あらゆる部署、役職の従業員が、実際のデータに基づいて行動することで、企業の目標・存在意義につながった活動をボトムアップ的にも実現することができるようになります。


過信の存在を自覚する

不必要な社会規範がもたらす自動操縦から自由になるには、自分のやっていることに信念を持つことが大切になります。そして、自分や自分の会社・組織を信じることは、社会で成功するための重要な要素です。ですが、時にはその自信が過信となって意思決定に支障をきたすことがあります。言い換えれば、自信を持つことは良いことであり、有能な人には必要な特性ですが、自信過剰になると拙速かつハイリスクな決断をするようになり、物事を破綻させる原因になることもあります。

米国の国勢調査によると、米国における結婚の約半数が離婚に至っています。しかし、ハーバード大学ロースクールの研究者が、なぜ婚前契約を結ぶ人が少ないのかを分析したところ、その理由の一つとして、ほとんどの人が結婚前に「自分は離婚しない」と考えていることが挙げられました。

調査・アドバイザリー企業のGallup社のリサーチによると、起業した企業の50%は5年以内に失敗するという事実がある一方で、スタートアップの起業家の大半は、生存の可能性が70%以上であると回答し、回答者の3分の1は、自分のスタートアップが困難を乗り越えて成功することを100%確信していると答えています。これは必ずしも悪い話ではありません。そもそも成功を確信せずに起業するということは想定しにくいですし、そのような自信が事業を前に進めるための原動力であることも確かです。ただ、スタートアップの世界には、そのような偏向が存在するということは理解しておく必要があります。

では、破綻のリスクを高める過信と、物事を有意義に発展させる自信の違いをどこに見出すべきでしょうか。一つは、その自信が創造性を高めるものなのかどうかをチェックすることです。それは、実現困難な目標や複雑なタスクを目の前にした際に、「これをやります」と闇雲に宣言するか、「これをどうやって達成していこうか」と自らに問うという態度の違いでもあります。それが課題を乗り越える解決策を見つけ、人と共有して実行できるかどうかの分かれ目になることになります。


サンクコストの誤謬

サンクコストは、失敗のダメージをより大きくしてしまうものであることは知られておきながら、いざというときにはその影響から逃れることが難しい厄介な問題です。個人ではなんとかサンクコストからの誘惑を断ち切ることはできても、組織においては関係者誰もがわかっておきながらずるずるとプロジェクトが悪化していくことはよくある話です。

新しい取り組みに多くの時間とリソースを費やしてきたが、データによるとうまくいっていないことがわかっている。データは方針を変更すべきであることを示唆している。そんな状況です。プロジェクトを取りやめるべきだとわかっていても、決断は難しい。既に多くの投資をしているので、リスクを取って、状況を好転させることができるかどうか試してみたいと思うのが自然な傾向です。しかし、時にその傾向がビジネスへ壊滅的な影響を与えることもあります。

正しい行動をとるためには、まず現状を認識することが必要です。プロジェクトを停止できないこのような状況は、「サンクコストの誤謬」と呼ばれる強力なバイアスの存在を示しています。サンクコストの誤謬とは、ここまで投資したリソースが無駄になることを恐れるあまり、その努力を続けようとする傾向のことです。つまり、未来ではなく、後ろ向きに判断することです。このバイアスの影響力の大きさと本質的な危険性に気づくことで、より明確に物事を見ることができるようになり、過去ではなく未来に基づいて意思決定を行うために必要な論理的思考へと切り替えることができます。組織においては、「サンクコストにとらわれるべきではない」「いくら過去に投資したかではなく、どの時点においてもROIはどうなるかで判断をする」という意思決定における共通の認識となる土台を普段より築いておくことが必要でしょう。


終わりに

以上、成功に役立つ行動経済学からのインサイトについて紹介しました。人間は合理的であるように見えて、実際は何らかの傾向を持っています。その本質を理解した上で、適切に顧客ともコミュニケーションをとり、また自らもその傾向の罠に無自覚のうちにはまっていないように気をつけていくことで、自身の取り組みが目標を達成していく確率を高めていくことができるでしょう。本記事が読者の皆様のビジネスやチャレンジにおける手助けに少しでもなれば幸いです。


おまけ:行動経済学とマネーボール

以下は、データサイエンス(セイバーメトリクス)によるHouston Rocketsの劇的な躍進に関する記事ですが、セイバーメトリクスは、行動経済学と関係があります。そもそもセイバーメトリクスが、いわゆるスポーツ界における認知バイアスに基づいた不合理な判断を明らかにしており、行動経済学のインサイトを活かしたアプローチです。そして、小説、映画となった「マネーボール(Money Ball)」のストーリーの最後は、行動経済学創始者のKahnemanの下に2002年のノーベル経済学賞受賞を伝える電話が鳴り響くところで終わっています。行動経済学に想いを馳せながら、こちらの記事もご笑覧いただけますと幸いです。



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