Masaya.Mori 森正弥 / CAIO (Chief AI Officer)

博報堂DYホールディングス グループCAIO / 東京大学 IPC顧問、東北大学 特任…

Masaya.Mori 森正弥 / CAIO (Chief AI Officer)

博報堂DYホールディングス グループCAIO / 東京大学 IPC顧問、東北大学 特任教授、日本ディープラーニング協会 顧問 / メルカリR4D・カオナビ 顧問 / 元・楽天 執行役員、元 デロイトトーマツ グループパートナー https://twitter.com/emasha

最近の記事

AIとエンターテイメント、コンテンツ制作の今と近未来について少し

(Les Demoiselles d'Avignon, Pablo Picasso, 1907, oil on canvas, 244 x 234 cm; arguably the first cubist painting) 本記事では、生成AIを中心としたAIとエンターテイメント業界、コンテンツ産業の関係についてちょっとだけジェネラルにですが考えてみたいと思います。 エンターテイメントにおけるAIの活用エンターテイメント業界、あるいはコンテンツ産業において、これまでも

    • LLM(大規模言語モデル)の未来は Federated Learning にあり

      本記事は、連邦型LLMの可能性を扱った論文「The Future of Large Language Model Pre-training is Federated」を解説する記事です。 LLM(大規模言語モデル) の事前学習の未来日々発表される新しい生成AI・LLM関連の技術には目を見張るものがあります。Gemini 1.5 のロングコンテキストのポテンシャルにうならされることもあれば、GPT-4o のデモに衝撃を受けたりと、毎日驚くことつきないのですが、その中で、先日、

      • 「世界モデル(World Models)」とは何か。AIの未来の鍵を握る、その起源とポテンシャルについて

        本記事は、今後のAI技術発展の鍵を握っている「世界モデル(World Models)」について、その由来となった論文を参照しながら、今後の可能性や課題も含めてざっくりと解説します。 「世界モデル(World Models)」について「世界モデル(World Models)」とは何か?という問いに対して、短く答えるならば、「エージェントを取り巻く環境を、観測からの学習によってモデルとして獲得する枠組み」です。「AIに環境の変化や行動の結果を効率的に学習・予測させる技術」の一つ

        • 信頼できるAIの構築につながる「確率的プログラミング (Probabilistic Programming)」への招待

          本記事は、確率的プログラミング (Probabilistic Programming:PP)と確率的モデリング(Prorabilistic Modeling)を数式を使わずに概観する記事です。確率的プログラミングは確率的モデリングを実装する手段であり、統計、機械学習、ディープラーニング、そしてプログラミング言語という分野が重なり合うところに存在し、XAI(説明可能なAI)や Human Centered AI(人間中心のAI)、すなわち信頼できるAIの実現にも資する技術です。

        AIとエンターテイメント、コンテンツ制作の今と近未来について少し

          サード・リアリティ と Polarity Thinking (両極思考)のすゝめ

          この記事は、現代の私たちを取り巻く様々な課題の解決に取り組む際に役立つ、Polarity Thinking (両極思考)という考え方、アプローチを紹介した記事です。 初めに:「サード・リアリティ」昔話の自分語りから入るのですが、楽天グループにて、先端技術開発を担う楽天技術研究所を立ち上げた際、「サード・リアリティ」というビジョンを提唱していました。 90年代の黎明期を経たインターネットビジネス勃興期である2000年代は、現実空間とインターネット(仮想空間)を、「リアル V

          サード・リアリティ と Polarity Thinking (両極思考)のすゝめ

          生成AI、AI/ML関連ニュース・記事5つ - OpenAI インタビューとDALL・E3、モデルマージでLLM性能向上、回答を探索し洗練させるAI、AIoTの勃興、Cの生産性向上とギャップ

          今後の動きを占う上で気になる生成AI、およびAI/ML関連のニュース・記事・ニュース・動画等を5つピックアップして、今回もご紹介します。 これまではこちら。 OpenAI の内からの視点とDALL・E3 リリースBloomberg による、話題の人物や企業の考えに迫る動画シリーズ「The Circuit」。そのうちの OpenAI に関するインタビューエピソードです。 インタビュアーの Emily Chang がOpenAIのオフィスを訪れ、同社の若きCTO Mira M

          生成AI、AI/ML関連ニュース・記事5つ - OpenAI インタビューとDALL・E3、モデルマージでLLM性能向上、回答を探索し洗練させるAI、AIoTの勃興、Cの生産性向上とギャップ

          気になる生成AI/ML関連ニュース 5つ - ノーコードAI、ChatGPTでのビットコイン価格予測、画像処理も半導体も人工知能で進化、AIへの懸念の拡がり、注目される職種「Head of AI」

          前回、今後の動きを占う上で気になる生成AI、およびAI/ML関連の記事を5つピックアップしてご紹介しました。 生成AIのトレンドにより、社会を進化させていくエンジンとしてその真価を見せ始めているAI技術・ソリューション群。どうこの先の流れを読んでいくのか。奔流する情報と人々の中にあって大きなうねりにつながる予兆を見出していくべく、今回も気になるニュース・記事をピックしていきたいと思います。以下、5つです。 ノーコード AI を可能とする4つのツールコードを書かずにAIを作

          気になる生成AI/ML関連ニュース 5つ - ノーコードAI、ChatGPTでのビットコイン価格予測、画像処理も半導体も人工知能で進化、AIへの懸念の拡がり、注目される職種「Head of AI」

          気になる生成AI/ML関連ニュース 5つ - 次世代の画像生成AI、Instagramにおける生成AI活用、独自ポジションを狙うAWS、LLMの脆弱性、医療とAIの未来

          先日、企業における生成AIの活用パターンは4つに集約されます、という記事を書きました。(同時に概要を説明した動画も配信しています。) 記事の中でもユースケースの紹介や 3 Dimensions フレームワークの部分で触れていますが、生成AIはその適用範囲が非常に広く、また業務の生産性を向上させるというところから、新しいバリューチェーン・エコシステムを生みだすというスケールまで、大きなポテンシャルがあります。それゆえに、これまでのAIやML(機械学習)での議論とは次元の異なる

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          100を超える企業ニーズから見出された生成AIの4つの活用:業務生産性の向上から、業界を変える価値創出まで

          本記事は今話題の生成AIに関して、企業のニーズからその活用ケースと可能性を示します。 はじめに 生成AIは、最近の技術進歩の中で最も話題になっているものの一つです。 従前のAI技術は、学習させたデータから法則性を獲得し、それに従った分類や予測、タスクの実行を行うものでした。対して、生成AIは、プロンプトと呼ばれるテキストによる指示に基づき、学習させたデータと同じような新しいデータを作成することで、人間の創造的プロセスを模倣し、文章や画像・動画から製品の設計図にいたるまで

          100を超える企業ニーズから見出された生成AIの4つの活用:業務生産性の向上から、業界を変える価値創出まで

          MMORPGの起源と進化、そしてメタバースと人を支えるプラットフォーム

          これは、MMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game すなわち、大規模多人数オンラインロールプレイングゲーム)に関する記事です。MMORPGの歴史やいくつかの側面を参照しながら、今後のオンラインゲームやメタバースの発展に想いを馳せます。 はじめに 去年、スクウェア・エニックスの三宅 陽一郎さんと対談しました。ゲーム業界における、メタバースに通じる3D空間でのAIの活用が、スマートシティの高度なAI開発に応用され

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          産業用メタバース・デジタルツインのポテンシャルと活用

          本記事は、メタバースの中でも、産業用メタバースと言われるユースケース、特にデジタルツインに関して、そのポテンシャルと、導入にあたってどのような論点があるかなどをまとめた記事です。 メタバースのトレンドと産業領域での適用 「メタバース」は今や様々な分野でその可能性が議論されているコンセプトです。従前のゲームやエンターテイメントの領域から、スマートファクトリーやスマートシティの実現まではb広くその適用が議論されています。 元々、「メタバース」という言葉は、古代ギリシャ語の「

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          データ品質とは何か? 品質の重要性、測定と改善、マネジメント、ガバナンス

          本記事は、データ品質に関する記事です。 最近、業界を問わず、様々な企業のエグゼクティブやDX推進担当の方から、データガバナンス・データマネジメントに関する相談を受けることが多くあります。相談の中で、実際に議論が白熱するのが、ガバナンスやマネジメントのやり方というよりは、ガバナンスやマネジメントを整備した上でのデータ活用を進めていくユースケースをどう生み出していくかという話と、よりよい効果を生み出すためのデータ品質に関する話です。後者については、例えば、データガバナンスやマネジ

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          世界で沼にハマる人を続出させ、深く社会と自分を見つめ直させる「はじめてのおつかい」:癒しと論争と人生の教訓

          本記事は、タイトル通り、「はじめてのおつかい」の海外での反響を通して、コンテンツが持つポテンシャルについて触れてみます。 世界で反響を呼ぶ「はじめてのおつかい」 2歳~5歳の幼児が奮闘・活躍する日本テレビの名物番組「はじめてのおつかい」が、2022年3月31日より Netflix で世界配信されており、すごい反響を呼んでいます。 海外の配信は今回が初というわけではなく、従前、Old Enough! というタイトルで香港や台湾、ベトナム、ハワイ等を中心に吹替版が放送されて

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          ベンダーへ尋ねるべき55の質問:ソフトウェアのプレゼンやデモによる打ち合わせの際に、質問・確認するポイント

          デジタル時代、誰もがソフトウェアの選定に関わる 今、我々はデジタル時代を生きています。クラウド、ビッグデータ、AI、IoT、5G、ブロックチェーン等、各種IT領域における著しい発展とそのコモディティ化により、利便性の高い様々なツールやソフトウエア、ソリューションが溢れています。そのようなデジタルツールやソフトウェアの恩恵を、ビジネスや日常業務の中で享受することが増え、特に企業の情報システム部門のような専任の部署でなくても、ソフトウェアベンダーからツールやソフトウェアの紹介プ

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          信頼されるAIとサービスのための多層的なアプローチ

          AI の発展と懸念 今日、ディープラーニングによる精度の飛躍的向上により、様々な業界で人工知能(AI)の応用が着実に普及しています。広告配信、パーソナライゼーション、不正検知、需要予測、金融資産運用、ドローンデリバリー、ロボティクス、交通の最適化、癌の診断や治療等にAIが活用されています。AIは社会の新たなインフラとして捉えられており、今後も進化を続け、我々の生活を支え、より便利なものへと変えていくことが期待されています。 AIはその華々しい発展の一方、懸念もあります。例え

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          メタバースのビジネス活用 5つのシナリオ: マーケティングから地球環境シミュレーションまで

          注目を浴びるメタバース「メタバース」という言葉が注目されています。「メタバース」という言葉は、古代ギリシャ語の「meta」(超越)と英語の「universe」(世界)というワードの組み合わせから来ています。その語源より、インターネット上の仮想現実空間を使って、ユーザー同士がコミュニケーションをとり、現実と同じようなライフスタイルを送ることができる世界というイメージで使われる事が多いようです。 デジタル空間においてはオブジェクトは単なるデータであり、プログラムです。物理空間の

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