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幸運な病のレシピ 2022年4月11日〜30日

生きることと食事を作ること

坂口安吾の名作に「ラムネ氏のこと」という作品がある。「食事」に関しての洞察としてこれほど素晴らしいものはないと感じる。

この作品の背景には、「ヒトの性愛、どうしても止まない他者への愛着、す崇高な憧れと淫靡なセックスの喜び」をクソだと思われていた時代である。
「セックスや金、欲望」は汚いもので芸術・抽象的な哲学に価値があり。「純文学」などという高尚な物に価値があると思われていた。
安吾は、自分の心と体に正直に生き、それを表現した。ヒロポン・酒の依存症となり、セックスに奔放に生きて、自分自身の小ささを嘆いた。歴史上の人物の矮小さ・人間臭さに魅力を感じて庶民の生活を愛した。
安吾は戯作者として蔑まされながら、「自分の感じること」の中にこそ価値があると信じ続けたのだ。


彼は「ラムネ氏のこと」の中で『フグや毒キノコ』を調理する為にどれだけの人の命が失われたのだろうかと論ずる。
そして、自分の命をかけた『「生」の内に見出したもの』を人々に伝える事で「家庭に埋め込まれた調理メソッド」は世界を写してきたのだ。

安吾は言う、押し着せられた「人の振る舞い」は生を歪めるのだと。「愛」と言う言葉を「封建時代の日本語」は持っていなかったと論じる。「道徳的な人の生き方」は決められており、それに従う以外の生き方はご法度だったのである。
しかし、人の内には形式的に決められた生き方ではない「何か」がある。自分自身に正直に生きることこそが本当に生きるということだと彼は言う。

安吾は娼婦と寝ながら崇高な思いを自分自身の憧れの女性に見ていた。しかし、憧れの女性と寝ることで、自分と同じ「人畜生」に貶めることを恐れ絶縁する。身体への渇望(セックスへ=堕落)に生きることと「社会」と言う仕組みのあいだにの間に苦しむのだ。


1960年代の栄養学はDNAが人の設計図だと論じる。設計図通りに作られているものが正しく、崇高なる医学が正しい道へと導くのだという。
検査値の異常が「病」の原因だという。

しかし、医学は『「病因(感染・中毒・欠乏)」がない「身体の不具合」』に対して何も手出しができない。「難病」と名付けあたかも治療があるかのごとく言うが、治すわけではない。破壊するだけである。

「政治的に正しい栄養学」はヒトをパーツの集まりであり、他の生命と隔絶した崇高なものと言う。その考え方こそが傲慢であると思う。

僕の調理メソッドのベースには、『人自身も「畜生」である』と言う信念がある。食事を通じて細胞生命(マイクロバイオーム=蟲)は身体の海に取り込まれる。
「生命の連鎖」こそが重要であり食事は栄養素を食べるだけのものではない。
問題は、社会のあり方にある。生活するに一杯一杯の時給で働かせて、食事を作る時間もない。食のグローバリズムは「家族という食事を維持するシェルター」を破壊した。「政治的に正しい栄養学」のお墨付きの食事が私達を「大地海川空」の生命から切り離しているのだ。
果たして一旦途切れた生命の循環を見つけ出すことが出来るのだろうか?

現代の「医療・食事行政・介護」はあたかも封建時代の身分制度のようにを苦しめる。しかし、その苦しみが同時にキャピタリストを大金持ちにする。


僕は毎日食事を作る。なんて暇なやつだと言われる。健康は金で買えるのに愚かなやつだ、医学という権威を信じない反逆者だとと言われる。
しかし、「政治的な正しさ」が私たちを苦しめているのだ僕は信じている。僕は医者の言うとおりにして、父を苦しめて殺した最低の人間だ。

安吾は「ラムネ氏のこと」の最後で「戯作=権威の言いなりに生きない」事が「人を自由にする」、そしてそれは「一生の仕事」として恥ずかしくないと結ぶ。

この記事が最新です 4月11日〜30日

契約上のトラブルが有り、少しお休み。

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厨房研究に使います。世界の人々の食事の価値を変えたいのです。