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壮絶な自叙伝小説 『レッドベルベットドレスのお葬式 改稿版』

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パニック障害や複雑性PTSDを乗り越え再生しようとする青年の姿を描いた、自伝的小説です。交通事故やパニック障害・複雑性PTSDの発症、心身の治療描写は事実を描いたノンフィクション…
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#複雑性PTSD

父の帰宅 42

二回目の搬送は午前八時から開始した。車で往復五〇分。三回目くらいから体力的に限界を感じ始…

新田将貴
2年前

父の帰宅 41

そして引っ越しが開始された。業者に頼めば誰かが気づくのでそれは避けたい。マサは自家用車の…

新田将貴
2年前

父の帰宅 37

二度と会うことがないだろうと思っていたので、待ち合わせの時間に現れたリョウコを見て現実的…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 36

マサが高校三年生のときに、失恋をしている。思春期を迎え、まだ自覚的ではないが強烈な自己嫌…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 35

「ほんとにそう思ってる」 「思ってるよ、思ってるよ。マサは死ぬなんてもったいないよ。ほん…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 34

「大丈夫? なんか辛そうだったけど」 「うん、なんかもうどうでもいい」 「何いってんの?…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 33

その後マサはヒサコさんに別れを切り出した。ヒサコさんはマサがあまりにも色々な判断を橋本クリックに頼り過ぎていると反論した。依存や共依存という言葉に浸ってしまっている、自分たちの関係は多少こんがらがってはいるが、普通の男女の関係の範囲内だといった。 マサは彼女の言葉はきちんと聞いたが、それでもこれ以上関係は続けられないと伝えて、マサはヒサコさんと別れた。後にヒサコさんからマサに電話でヒサコさん自身も恋愛感情ではなくマサをコントロールしたがっていたのだと伝えた。 共依存とは、

父の帰宅 32

二〇〇二年二月六日時の不安 ──前回も彼女のことが負担になるとお伝えしました。今はもちろ…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 26

〇歳~五歳頃までの家庭の雰囲気についてですが、先述したように僕が生まれてからほんの少しの…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 25

期間:〇歳~五歳 ──僕は三九〇〇グラムという大きな身体で生まれました。しかし生後一〇日…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 24

これまでノートに手書きでレジュメを書いてきたが、内容がシリアスになるにつれ感情の制御に戸…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 23

橋本先生はトラウマに関するスペシャリストの精神科医だが、トラウマを抱えた患者ばなかりでは…

新田将貴
2年前

父の帰宅 22

「マサ、もう何してんのよ、ちょっとあんた大丈夫なの? 超心配してたんだけど……。なんかい…

新田将貴
2年前
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父の帰宅 21

このときの診察でマサは心理カウンセリングを受ける必要があるのだと危機感を持つようになった。アルバイトを再開しカウンセリング代を捻出する目処が立ってから、自分は傷ついていて治療が必要だと自覚し、過去の心の傷、虐待の記憶を自らえぐり始めた。左記は二〇〇二年一月二五日、橋本先生へ提出したレジュメだ。 ──小学校のときランドセルを自分の部屋に持っていかずリビングにいつも置いているということで母が「お父さんに怒ってもらう」といって父にそのことをいいました。父は鼻血が出て服が血まみれに