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それぞれの思いが複雑に相互作用し世界を変えていく、戦闘叙事詩

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『チェンジ ザ ワールド』という長編小説を配信しております。配信予定日時としては、月, 火, 木, 日曜日にお昼12:00を予定しております。 この小説を描こうと思った動機は、…
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#小説

第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 22

巡回の講師の目を掻い潜りながら、速読したが「ガッカリだよ」、という一言で集約できる感想だ…

新田将貴
2年前
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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 21

初めての試みだったので、見も知らぬ人間の観念的な質問に返事がくるのか疑問だったが、返事が…

新田将貴
2年前
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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 20

僕は、復学した。別に学校へ行かないと将来が大変だという危機感が湧いたわけではない。自分の…

新田将貴
2年前
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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 19

彼はそう繰り返しながら、決してその先を歌わなかった。単に歌詞が浮かばなかっただけかもしれ…

新田将貴
2年前
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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 18

夕食までまだ少し時間があったので、僕も自分の部屋に引っ込んだ。おジィも僕も少し疲れたのか…

新田将貴
2年前
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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 16

「おジィはなんで狙撃兵になったの?」 「周りが下手でな、気がついたら狙撃手になっておった…

新田将貴
2年前

第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 15

「おジィは、生き残ったんだね、その戦いで」 「ああ、お父さんとお母さんがくれたこの身体は、赤痢にもマラリアにも耐えた。数え切れないほど飛び交った銃弾は、なぜかわしを逸れた。不思議なもんじゃな」 とんでもない人生を生きてきたんだ、おジィは。口が悪くて豪快な老人だということはいっしょに住んでいてよく知っていたけど……、今聞いた物語とはとても重ならない。日本にはまだこういう老人がたくさんいるんだろうな。 「結局司令官の男は不起訴処分で釈放じゃ。無罪というわけじゃ。実刑を食らっ

第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 14

「インパールで指揮をとった男にとって、個人的な思い入れのある作戦だったんじゃ、インパール…

新田将貴
2年前
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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 13

おジィがなんで、こんな話をし始めたのか、掴めなかった。でも強烈な物語を聞いてしまった気が…

新田将貴
2年前
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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 12

インパールとは、いったいどこにあるのだ。進めど進めど山岳のジャングルを抜けること適わぬ。…

新田将貴
2年前
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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 11

戦車隊の砲撃はしばらく続いた。わたしと日野上等兵は、比較的大きな木の陰に身を潜めて、頭を…

新田将貴
2年前
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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 10

経の文句の間に、数字を刻む。数え歌のように、数字を刻む。遊底を起こし、装填し、引き金を絞…

新田将貴
2年前
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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 09

待ち伏せをしていた山砲兵連隊が、速射砲で先制攻撃をしかけた。こんな険しい山岳に英国軍は巨…

新田将貴
2年前
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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 07

「三十三師団の至宝、戦車止めの松下曹長を間近で見られ、感激しております」日野上等兵が声を潜めて、緊張した面持ちでわたしに向かっていった。次々に小隊が瓦解して、急増で隊を拵えているために、日野上等兵と言葉を交わすのは初めてだ。 至宝とは、いささか大仰で、又聞きする程度ではよかったが、面と向かってそういわれると、右手の人差し指に妙な力が入りそうになった。ビルマで英国のM3戦車隊の進行を、九九式小銃の連射狙撃で止めてみせた。それ以来、神技だの至宝だのと呼ばれるようになった。 「