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第1章 ヨウとおジィ 昔ばなし 21

初めての試みだったので、見も知らぬ人間の観念的な質問に返事がくるのか疑問だったが、返事が五件きていた。僕は講師が巡回してくる間はまじめにシートを作成している振りをして、早く回答がみたいと勇んで、じれながら表計算ソフトとブラウザを閉じたり開いたりして、回答を確認した。

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資本主義が消え、アガペが世界中を満たした状態。

あなたは軍事力や怪しげな説法では世界をいい方向に導けないといいますが、第二次世界大戦の日本は本当に悪いことだけをしたのでしょうか。南方の植民地地帯で、民族自決の気運が高まり、戦後続々と植民地が独立したことは事実です。物ごとには必ず、光と影があります。どんな宗教でも全員がそれを信じ、穏やかに暮らすなら悪いことではないでしょう。ただ第三者から見てそれが納得できなければ、だまされていると判断されるだけです。単純な善ほど危険なものはないと思います。

ヨウさんにとってあなたの「世界」って何ですか? 身の回り? 世界情勢? そして次に今の自分で変えることのできることとできないことがあると考え、そして最後に自分の手で変えられるところから変えていく、ということだと思うのです。自分の力で変えることのできるもっとも根本的なところは自分じゃないでしょうか? 余談ですが、だからといってクーデターや宗教を短絡的と否定することもないと思っています。

こんにちは。難しく考えることはないと思います。世界から飢餓と貧困と抑圧と暴力などがなくなる方向に向かえば、世界はよい方向に動いているといえるでしょう。

日本だけみても年間三万人以上もの尊い命が、自殺という切ない方法で失われているのに、なぜか大きな問題として扱われないし、政府はそのことに関心を示しません。

自分の心の中を平穏に心優しいものにしても、アフガニスタンの子共達の命は救えないしアフリカの飢え死にしていく子共達も救えないのです。その根本にある元凶が何かを突き止め、その上でなんらかの行動をとるしか我々には世界を少しでもよい方向に動かすことはできないのです。すべての生命が苦しまずに、希望を持って生きていける世界が理想なのでしょうか。そして誰にでもわかるように、こんなのは不可能です。それは、何かが生きるためには何かが犠牲にならなければいけないから。たとえば、病原菌を殺して人間は幸せになりますが、病原菌にとってはいい迷惑です。それと同じように、すべての生き物には敵が存在します。今、一番多くの生物から敵として見られているのは人間でしょうね。だから、人間を殺そうとする生物はたくさん出てくる。誰かが得をすれば、誰かが必ず損をする。だから、世界にいいも悪いもないんじゃないかと思います。

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