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「副産物」(「脊柱管狭窄症との闘い」その2)【エッセイ】二〇〇〇字

―不整脈、高血圧で悩む方、予備軍の方へ―

画像:株式会社APPYサイトから

 近所の整形外科をよく利用する。きっかけは、右腕の肉離れ。ゴルフでダフって痛めてしまったとき。

ダフる:ボールではなく手前の地面を強く叩いてしまうこと。下手っぴなプレーヤーが、よくしでかす。

 院長は、ムロツヨシ似の50歳前後の男で、傷の話よりもダフった原因の話に終始するほどに、ゴルフ好き。先代から続いている老舗(?)のようで、建物は古い。入院施設はあるが、医師は、彼、一人。父親を継いだ二代目のようだ。
 最近は、脊柱管狭窄症でお世話になっている。左下肢の痛みを緩和する湿布を処方してもらう。薬屋で買うよりも10分の1と安い。なので、ジジババが目立ち、みな湿布だけが目的。医療費を圧迫する原因となるので、好ましい事ではないが・・・ホイホイと出していただける。それと、近所の年寄りしか来ないようで、空いているのがいい。ムロツヨシが話し好きなのもいい。30分位話すこともある。夕方出かけるのだが、誰もいないことが多く、すぐに診てもらえる。しかし、空いているといってもそれなりには患者は来るわけで、いつも話が長くなり診察室を出ると、待っているジジババに睨まれることになる(ゴルフの話が聞こえるのかもしれない)。
 そんな、ムロツヨシとの会話である。
「先生のアドバイスでジムに通って良かったですよ。6000歩は歩けるようになりました。やはり太腿の筋肉強化は効果ありますね」
「あ、それは良かった。やはり血のめぐりが良くなったのでしょう」
「それと、想定外のことが。血圧も安定してきたのです」
「あ、それは良かった。やはり血のめぐりが良くなったのでしょう」
「それだけでなく、画期的なことが。(持病の)不整脈が止まっているのですよ。この3か月くらい」
「やはり、血のめぐりが良くなったのでしょうね」
「で、その結果を循環器の担当医に、話をしたのですよ。『そんなことあり得ますか?』と。すると、『あり得ます』ですよ。だったら、『早く言ってよ~』ですよねぇ。すぐに、ジムに通っていましたよ」
「体質とか、ひとによってその効果が異なるのでしょうね」
「しかも、毎朝つけている血圧計のデータも見せたんですよ。受け取ろうともしない」
「だいたい大学病院の外来の医者なんて、データを追究しようとしないんですよ」
「そうなんですかぁ~? 医者ならもっと勉強して欲しいですよ~」
「あ、痛!・・・いまのお言葉、ぐさっと刺さりましたぁ」
 というような、とぼけた医者なのである。が、それはさておき、不整脈が止まっているのである。
 還暦前から15年以上、8000歩ウォーキングを続けてきた。しかし半年前、脊柱管狭窄症を患い、左下肢に強い痛みが発生。スーパーまでの700歩でさえも歩くのもやっとの事態。かかりつけ医(ムロツヨシ)は、太腿、背中、腹の筋肉をつけることが、痛みの緩和に効果がある(かも)、と宣う。
 さっそく自宅で毎日のストレッチ、ジムにも通い始める。5月22日から週4,5回ペースで約3か月、トレーニングを続けてきた。結果として下肢の痛みの緩和につながっている(ような、気がしている)。左下肢の動きがまだ不自然で以前のような速足ではないが、この1か月、6000歩ぐらいは歩けるようになってきた(大変気を強くしている)。
 ところが、ところが、驚きの事実を発見する。不整脈が、この3か月くらい発生していないのだ(その前まで、週に2回ほど血圧計に表示されていたのだが)。

(血圧と脈拍の数値を毎朝記録したデータ)
 不整脈があれば血圧計にマークが表示されるので、その日は赤字で印をつけている。

2023年2月5日から8月5日までの半年間の表

 表では、5月31日以前は、週に1回~4回の表示がある。が、6月1日以降は、マークが、まったくない。

スポーツジムに通い始めた5月22日からのデータ

 ブルー字のマークは、ジムに通い始めた5月22日。翌週までは赤字マークが計3回あるが、それ以降、全くなくなっている。しかも、血圧も安定している(120台/70台)。
いま不整脈で悩まれているひと、その予備軍の方、さらに血圧で悩まれている方に、(単にひとつの事例ではあるが)筋肉(特に下肢の)強化が、改善につながるかもしれない、と申し上げたい。
 大学病院の担当医の話によれば、
「下肢は、第二の心臓と言われるように、筋肉強化による血流の改善が、自律神経機能の安定に良い効果を示しているのではないか。しかし、全てのひとにあてはまるかは、不明です」ということらしい。
「それ、早く言ってよ〜」である。

(私のケース)
 私の不整脈は、「心房細動」から起因する。約20年前に診断を受け、3か月ごとの通院と薬で大事(血栓が脳に飛ぶことによる突然死)には至らなかった。が、カテーテルアブレーション(太腿の付け根から管を通し、心臓の患部を電流で焼く)という手術で、不整脈の頻度が改善。ちなみに、カテーテルアブレーションは、二回受けている。第一回:2014年12月26日 第二回:2022年2月8日 
(最新式カテーテルアブレーション施術報告記)

(おまけ)
おいおい横尾さん。やりすぎでしょ。読む気になります? その気になったひと向けの本ということ?

朝日新聞朝刊(8月25日)書評欄から


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