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北浜東1丁目看板の読めないBAR

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#さすらい駅わすれもの室

消えた文字に想いを馳せて─「北浜東1丁目 看板の読めないBAR」

消えた文字に想いを馳せて─「北浜東1丁目 看板の読めないBAR」

実在するBARにあて書き音声SNSのclubhouseで親しくなったナレーターの下間都代子さんが毎週月曜に開いているリアルな飲み屋が大阪の北浜にある。その名は「うっかりBAR」。全国うっかり協会会長を自認する都代子さんらしいネーミング。そのお店で毎年、新年会を兼ねた朗読初めの会を開いている。

「北浜東1丁目にあるBARを舞台にした掌編を15人の読み手が読む」というもので、基本の作品に各自がアレン

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今井雅子作「北浜東1丁目 看板の読めないBAR」やまねたけし作「あずかり」バージョン

今井雅子作「北浜東1丁目 看板の読めないBAR」やまねたけし作「あずかり」バージョン

はじめに こちらは、脚本家・今井雅子先生が書かれた「北浜東1丁目 看板の読めないBAR」のアレンジ作品です。2023年1月8日に行われた下間都代子さん主催の「朗読初め」イベントのために書き下ろされ、17人の読み手によって17通りのBARが開店しました。そして今井先生のご好意により、アレンジおよびclubhouseでの朗読が可能ということなので、甘えることにしました。

本編 今井雅子作「北浜東1丁

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さすらい駅わすれもの室(原作:今井雅子)外伝「想像をかりたてる余白」

さすらい駅の片隅に、ひっそりと佇む、わすれもの室。そこがわたしの仕事場です。 ここでは、ありとあらゆるわすれものが、持ち主が現れるのを待っています。 傘も鞄も百円で買える時代、わすれものを取りに来る人は、減るばかり。 多くの人たちは、どこかに何かをわすれたことさえ、わすれてしまっています。

だから、わたしは思うのです。ここに来る人は幸せだ、と。

駅に舞い戻り、窓口のわたしに説明し、書類に記入す

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