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buku連載エッセイ「出張いまいまさこカフェ」

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2006年9月から4年にわたって池袋シネマ振興会の季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイまとめ。clubhouseでの朗読はお好きなときにどうぞ。
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2021年9月の記事一覧

脚本で食べていく(出張いまいまさこカフェ6杯目)

脚本で食べていく(出張いまいまさこカフェ6杯目)

2006年9月から5年にわたって池袋シネマ振興会の季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の6杯目。特集は神木隆之介さん(表紙も)と吉野紗香さん。

「脚本で食べていく」今井雅子「脚本で食っていけますか」。脚本家をめざしているという見知らぬ相手からの不躾なメールに面食らったことがある。当時まだ会社勤めと二足の草鞋を履いていたわたしの脚本家としての収入は給料の5

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口説いたり口説かれたり(出張いまいまさこカフェ5杯目)

口説いたり口説かれたり(出張いまいまさこカフェ5杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の5杯目。表紙は小栗旬さん。

「口説いたり口説かれたり」今井雅子脚本を書くようになって、口説かれることが増えた。花形職業でモテモテ……なのではなく、「これを書けるのは今井雅子しかいない!」と口八丁のプロデューサーに声をかけられるのである。わたししかいない割には「二週間で初稿を上げてくれ」

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運命のロケ地はピンク色(出張いまいまさこカフェ4杯目)

運命のロケ地はピンク色(出張いまいまさこカフェ4杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の4杯目。表紙は阿部サダヲさん。

「運命のロケ地はピンク色」今井雅子前号に続いてロケハン(ロケーションハンティング)の話。

そのピンクのハイカラな洋風建築に出会ったのは、友人の結婚式ついでに函館の街をうろついていたときのこと。「この辺にタイショウユがあるはずなんだけど」と元気のいいおば

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ロケハンから生まれる場面(出張いまいまさこカフェ3杯目)

ロケハンから生まれる場面(出張いまいまさこカフェ3杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の3杯目。表紙は成海璃子さん。

「ロケハンから生まれる場面」今井雅子
脚本の内容が固まってきたら、ロケハンがはじまる。ロケーションハンティングすなわちロケ地探し。役者さんはオーディションに集まれるけれど、建物や風景は動けないので製作者が乗り込む。脚本らしきものを片手に、「さっきのほうが絵

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クレジットは「私が作りました」のしるし(出張いまいまさこカフェ2杯目)

クレジットは「私が作りました」のしるし(出張いまいまさこカフェ2杯目)

2006年9月から5年にわたって季刊フリーペーパー「buku」に連載していたエッセイ「出張いまいまさこカフェ」の2杯目。

映画の本編が終わったとき、そこで席を立つ派? 最後まで見届ける派?

わたしは今も「見届ける派」。最近観た『ドライブ・マイ・カー』のクレジットも見届けた。

クレジットは「私が作りました」のしるし 今井雅子映画が終わり、クレジットロールがせり上がり、場内が少し明るくなる。あな

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脚本家は「つなげる」のが仕事(出張いまいまさこカフェ1杯目)

脚本家は「つなげる」のが仕事(出張いまいまさこカフェ1杯目)

2006年9月から5年にわたって「buku」という季刊フリーペーパーにエッセイを連載していた。

タイトルは「出張いまいまさこカフェ」。

bukuは池袋にある8つの映画館(当時)で作る「池袋シネマ振興会」が発行していた。毎月29日はbukuを持って行くと映画を1000円で観られる「buku割」があった。

「読みました」と声をかけられることが多く、発行部数に対して愛読者がとても多かったのではと思

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