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「概念化とは何か?」概念化の再定義 抽象化は見た目だが概念化は中身のロジックに切り込む

“正解のない問題を解く力”は、2018年7月から2019年9月にかけて59回に渡って連載した概念化力に関するブログです。このブログの中で、私は「概念化とは何か?」「本質とは何か?」についてさまざまな角度から切り込みました。

あれから2年、私は“計画の技術”というブログにかかりっきりでした。
そんな私が今回は、いったん終了したこのブログに新たな記事をアップします。
その理由は、新しい概念化論にあります。

月日は流れ、改めて概念化という極めて曖昧なテーマと向き合う中で、私の中では以前よりも進化した概念化論が生まれました。
自分の中だけに留めておけなくなった私は、ブログを通じて、刷新された概念化論を皆さまにお披露目することにしたわけです。

今回は、過去の定義を振り返ることはしません。
なぜなら、全く新しい定義としてお伝えした方が、このブログを読んでおられる皆さんには伝わりやすいと考えたからです。
過去に私が展開していた概念化論が気になる方は、以下のバックナンバーをクリックしてください。


では始めましょう。

「概念とは何か?」


疑問を感じた人の多くはネットで「概念化」をキーワード検索することでしょう。
私もそうしました。

“概念とは同類のものから共通部分を抜き出し、それらを組み合わせて普遍的かつ大まかに表現したもの”

これがネット上の答えでした。
しかしこれは“概念”ではなく“抽象”の説明にしかなっていません。
実際、概念化と抽象化は混同して使われることが多く、これが概念にまつわる混乱に拍車をかける結果となっています。
しかし、これを逆手に取れば、概念化と抽象化の違いを明らかにすることは概念化の理解につながります。両者の違いを明らかにすることで、概念化の定義を鮮明に浮き上がらせることができるわけです。

私は次のことに気付きました。

抽象化と概念化の共通点は…
同類とみなされる複雑な物事や状況を俯瞰的に捉え、共通部分を普遍的かつ大雑把に表現するという点にある

抽象化と概念化の相違点は…
抽象化は“外見上の特徴”を普遍的かつ大雑把に表現するだけなのに対し、概念化は“中身のメカニズムや構成要素の関係性”を普遍的かつ大雑把に表現する


これは私にとって大発見でした。
この発見に導かれ、私は“概念”を以下のように定義しました。

概念とは…
同類とみなされる複雑な物事や状況を俯瞰的に捉え、そこにある外見上の特徴のみならず中身のメカニズムや構成要素の関係性に着目することで、共通部分を普遍的かつ大雑把に表現したものである


これが、10年という長い道のりの末に辿り着いた“概念”の定義です。この定義が、概念化とビジネスの関係性をはっきりと浮かび上がらせてくれます。

皆さんの周りにあるビジネスやビジネス環境を振り返ってみてください。
非常に多くの要素が重なり合い、つながり合い、複雑なこと極まりないはずです。外見上は同じように見えても、一歩その中に入ると、顧客やステークホルダー、提供価値と価値特性、コアコンピテンシー、サプライチェーンやチャネル、Make or buy、環境問題、サプライチェーンなどのさまざまな要素が複雑に絡み合っているではないですか。ありのままを受け入れようにも、私たちにはその術がありませんでした。

そんな中で私が手に入れた唯一の手段が概念化です。

複雑な物事を、そのメカニズムから普遍的かつ大雑把に表現できる概念化の技術を使えば、私たちは、捉えどころのないビジネス環境を手の届くところまで引きずり下ろし、その本質を維持したままで、手を触れることのできるカタチにまでシンプル化できるわけです。
つまり概念化は、ビジネス上の“正解のない問題”を解くためのカギとなるのです。
コンサルタントである私が概念化にこだわる理由がここにあります。

次回は、概念化の目的、概念化力を身に付ける目的について整理していきます。ご期待ください。


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