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「情けは人の為ならず」の新解釈⇒「自己中心的利他」

【結論】この記事で言いたいこと

辞書にある意味とは違うが、「情けは人の為ならず」を掘り下げる。
負担にならない範囲でGiveしよう。
全て「自分のためである」という認識でもOKだと筆者は考える。

【前提】本稿の前提となる書籍

いきなり「Give」と言い出しましたが、アダム・グラントのGIVE&TAKEを前提にしています。

また、「他者貢献」というのもアドラー心理学(岸見流のアドラー心理学)を前提にしています。

読み進めるのに上記二冊を読了する必要はありません。
※著者はGIVE&TAKEは拾い読みしかしていません。

【考察】動機と利得で分析してみた

①ありがちな誤用、②辞書的な意味、③私からの提案を、動機(心情的に誰のためか)利得(物質的には誰がメリットを享受するか)から考察しました。

①ありがちな誤用:下手な親切は他者のためにならない
⇒動機:相手(長期的な相手の成長)
⇒利得:相手?(短期的には相手の損失、長期的には相手の成長)

②辞書的な意味:他者への親切は巡り巡って自分にも返ってくる
⇒動機:自分と相手(利他の側面が言外に含まれる)
⇒利得:短期的には他者、長期的には自分。さらには媒介する第三者。

③私からの提案:親切は結局は自分のためである。副次的に他者への手助けになれば尚よいが、考慮しない。
⇒動機:自分(他者を考慮しない)
⇒利得:自分(副次的に相手や第三者)

【掘り下げ1】3つの解釈における差異

要素で分解すると、①相手、②自他双方、③自分という棲み分けに整理できそうです。

①誤用:相手目線だが、自分が行動しない言い訳ともいえる。

②辞書:相手・自分の双方(+第三者)を見ている。

③私見:自分しか見ない。※原理的に他者貢献は自己満足でしかない。
※端的に書いたので、アドラー心理学の理解を必要とします。

辞書的な意味(この言葉が想定する道徳観)では、利得する人数が多く、自他の二者だけではなく第三者を含みます。以下、辞書的な意味について掘り下げます。

【掘り下げ2】辞書的な意味が想定する世界

理想的には、1つの小さな親切心が無数の人を媒介し(無数の人を幸せにし)自分にも返ってくる。想定が甘い気もしますが、美しい世界です。

厳しい現実の上でも、相手からのリアクションが無くても・望めなくても「まず自分からGive」をしようという激励とも受け取れます。この文脈では、ちょっとアドラー的です。

「巡り巡って自分に返ってくる」ということは、媒介する第三者が前提になっています。親切に対して相手方からリターンがなくても、第三者から「報い」が返ってくるということです。

「報い」というのは、因果応報という意味でもありますから、ひどい仕打ちをすれば、第三者からの加害を受けることも想定しています。この辺は仏教的・東洋思想的だと感じます。

【掘り下げ3】負担にならない親切のススメ

ギブファースト(まず自分から与えよ)などと言いますが、文字通りに無条件にGiveをしていると消耗します。「※成功できないギバー」として説明されますが、搾取されるだけでつぶれていってしまうリスクがあるということです。
※与える者は、成功するギバーと成功できないギバーに分かれます。与える者は大成することもあれば、搾取構造で沈むこともあります。

無条件Giveではなく、条件つきのGiveを主体的に始めようというのが私の提案です。

条件つきとは何か?ざっくり言うと「負担にならない親切」です。

もっといえば、親切な行いをしている自覚なく「自分がしたいからする」のが理想です。

【掘り下げ4】負担にならない親切の行方

親切な行いをしている自覚なく「自分がしたいからする」状態、何かに似ていないでしょうか?

天才と言われる人は、当該分野においてこの境地にいると考えます。

凡人からは、「圧倒的な努力」又は「ある種の苦行」をしているようにみえますが、本人は「楽しいから」または「その状態が快適だから、自然だから」やっているに過ぎない。

話を天才から親切・Giveに戻します。

他者にお礼を言われたいからではなく、自分がしたいから行動する。

恩が自分に返ってくるからではなく、自分がしたいから行動する。

その状態が自分にとって自然だから行動する。あくまで自分視点。

負担にならない親切だけをする・自然にGiveが出来る境地が、「情けは人の為ならず」という私の解釈です。原理的に他者は関係ないのです。

この投稿も究極的には、思考の整理であって自分のためです。

構造的には、アドラー心理学への入り口になるかもしれませんし、ちょうど良い暇つぶしとして他者に貢献するかもしれません。ですが、読んだ人が面白いと感じるかは著者にはコントロール不可なので、原理的に他者は関係ないです。

【結論】まずは自分からGive。ただし、つぶれない範囲・方法で。

私には他人に誇れる才能はありませんので、楽しみながら驚くべき業績を上げる天才ではありません。

ですが、負担にならない親切・苦にならないことを粛々と続けることで、規模は小さいながら擬似天才状態に到達できると考えています。

そういった意味で、負担にならない親切は、凡人に残された天才に近づく道だと言えます。

ついでに身の回り5mを掃除する、挨拶は必ず自分からする、マイボトルを持参する、些細なことからでもいいので、苦にならないことで他者に貢献していくのはいかがでしょうか?





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