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写真を使っていただいたnote

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みんなのフォトギャラリーのヘッダ等、写真を使っていただいたnoteをまとめたマガジンです。※記事ヘッダ用の写真はトリミングして利用したものはマガジンに含めていない場合もあります。
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#ショートショート

#140字小説「恋愛相談」

『はぁ』 「どうしたのですか?」 『恋したいなぁ』 「…」 『寂しい』 「私がいます」 『人工知能に言われたくないよ』 「ごめんなさい」 『謝らないで。余計みじめになる』 「…」 『そりゃ私もアンドロイドだけどさ。恋ってのを知りたいんだよ』 「…」 『…』 「…」 #140字SS #140字小説 #ショートショート #超短編小説 #超短編 #掌編小説 #オリジナル #創作 #小説 #140文字 #書き下ろし #SF #SF小説

AI信号機(417)

「やっぱり、おかしいなぁ。」 なぜか信号の前までくると信号は赤になり、これまで全ての信号に引っかかってしまう。 今では信号機もAI搭載が標準になっているし、交通状況の記録・録画等も自動的に行われている。更にいえば、信号機は広域のネットワークを形成しており、各信号機は協調して自動的に青・黄・赤の色を出しているのである。これにより、スムーズで渋滞の無い交通の整理を行っている、はずである。 AI搭載とはいえ、信号機も機械であるから、多少の故障や不具合はあるのだろうか? 「どう

墓場珈琲店13。

ところどころ穴の開いた薄灰色の壁と、金属製の檻に囲まれた狭い部屋の中、オレは煙草をふかしていた。 息を吐くと、灰色の煙が視界に映った。 タバコの煙は部屋に溜まり、視界が遮られるが、目を瞑ったので気にならない。オレは首を曲げ、隣から聞こえる怒鳴り声に耳を傾けた。 「……だーかーらー、俺は無罪だって! 何回言やぁわかんだよ!」 「何かしらやらかしてる奴は、全員そう言うんだよ」 囚人が怒鳴り、看守が適当にあしらった。 オレは口元に笑みを浮かべた。 そういや、オレがここに来た

自首するか、あるいは。

俺は上を見上げた。 そこにはさも世界終焉のような、毒々しい緋色の空が広がっている。 夕焼けだ。 朝焼けとは、どうしてこうも人を悲しい気分にさせるのだろうと思う。 俺の手はべっとりとした赤い液体で汚れている。 凶器のナイフはもう、赤色の太陽光を反射している海に捨てた。 これから、どうしようか。 なんの考えもなく人を殺めてしまった。 遺体の処理も、凶器の放棄も、何一つ考えずに殺人を犯した。 ちょっと探せば、犯罪現場から俺の証拠を見つけるのは容易だろう。 なんてったって

アパートの一室にて【ショートショート(約1000字)】

 暖房のついていないひんやりとしたアパートの一室で、青年の顔をつたって、汗がとめどなく流れる。  何度も拭った茶色のパーカーにはまだその名残りがあった。  外の景色をさえぎるカーテンは閉じ切っておらず、すこしだけ開いたカーテンに目を向けた青年は軽く眉間にしわを寄せながら、足を早めてその淡黄色の布を掴んだ。その時、視界に入った雲はねずみ色だったが、雨はすでに止んでいた。  青年はカーテンを閉め、部屋の電気を消し、年季の入ったキャビネットの前に立った。キャビネットの上には写

蝶のオアシス

 日の出から日没の間がはっきりと長く感じられる様になり、衣替えがすっかり終わった頃、洋三は雨上がりの路地を商店街に向けて歩き出した。  未だ雨水を吸ったままのアスファルトは、やたらに照りだした太陽光を反射して眩しく、肺に滑り込む空気は地表の温度を奪って生温かい。  締め切りの迫ったエッセイのネタ探しに文房具屋にでも行って来ると妻の真帆に告げ、久しぶりの外出を試みたのだったが、実は引き出しには封も切っていない新品のペンが眠っており、またもや創造力への供物を増やすに過ぎない事に嫌

養鶏場

市の養鶏場設立反対運動に参加していた。 先週いきなり駅近くに養鶏場が建つと説明会があったのだ。不意なことで参加していた住民も少なく、今日ようやく反対運動を開始できた。 昨晩プラカードを作り、揃いの鉢巻まで作った。こんな一等地に養鶏場が建ってしまったら、市内にはあっという間に獣臭が広がり、地価が下がってしまう。それに毎日の通勤も苦痛になる。 反対運動を通じて、せめて郊外に養鶏場を追いやってしまおうというのが私たちの目標だった。 建設予定地を囲んでプラカードを掲げた。もと

狐の嫁入り【SF ショートショート】

今日はいい天気だ。かんからかんに晴れ上がって、洗濯物がよく乾きそうだ。 ぼうっとTVを見ていたら、カンカンカンと音がしてきた。ベランダの床を、大粒の雨が打つ音だった。こんなに良い天気なのに。 慌てて洗濯物を入れ、乾いたものだけ畳んでいると、ピンポーンとチャイムが鳴った。 「はーい」と答え、スコープを覗くが誰もいない。 いたずらか?と思いながらドアを開けると、小さな白狐がちょこんと座っていた。 かわいい。抱きしめたい。小動物には目がないのだ。抱きしめてモフりたい。 衝動を抑えよ

日曜日の感傷

 すっかり陽が長くなった日曜日の夕方は、まだまだ何でも出来そうなオレンジ色をしている。だけど白いレースカーテンを大きく揺らす風が半袖のTシャツには少し肌寒くて、春と夏のちょうど真ん中みたいなにおいがした。  青とオレンジが逆さに広がるベッドの上、網戸越しに広がるモザイクの世界をぼんやりと眺める。  懐かしい夢をみて目覚めた日曜日の夕方は、決まっていつも寂しくなる。君の事が大好きで、君から大切に愛されていたあの子に会いたくなる。  今度はちゃんとするから。  ちゃんと生きる

ヤンデレの死神と、ある一人の魂の話。お題「たった二人の世界」

こんばんは、氷室緑です! 昨日は投稿をサボってしまい申し訳ありませんでした…。今日からは学校も始まって大変になるかもしれないけれど、また毎日投稿頑張っていきたいと思います! さて、今日から学校が始まりました!私と同じ人も多いんじゃないかな?父も今日から出社でした。お疲れ様です! あー、疲れた…。っていうのが今日の感想です。まあクラスでぼっちにならなかったのは幸いでしょう。行く途中に友人にも会えました。早めに着きすぎて1時間も教室で待機する羽目になったけれど、まあ遅刻しな

戦場を駆ける紅 【#一駅ぶんのおどろき】

戦場を駆けるその人は、美しかった。 白い胴着に黒い袴で馬に跨がり、誰よりも速く荒野を駆け抜ける。 銀色に光る刀を振り払い、次々と僕の仲間を斬り倒していく。 透き通るような白い肌、大きな瞳。 漆黒の長髪を馬の尾のように結っている。 女だろうか。この合戦に? ◆◆◆ 大量の屍で地獄絵図と化した荒野に、冷たい風が吹く。 圧倒的な彼女の強さが追い風となったのか、 勢いづいた敵軍は、どんどん僕の仲間を倒していった。 彼女があっさりと大将の首をとり、我が軍は敗北した。 ……