思い出せば、帰り道。

自分の長所や強みってなんなのだろう。
自信のない、自己肯定感の低いわたしは大人になってもこの問いに頭を抱えている。
どうにか縁を切りたい問いなのだが、就職活動で聞かれる定番質問であるためだいぶ厄介な悩みとなっている。
この悩みは波線グラフのように一定のリズムを保ちながらわたしの脳を支配しにやってくる。
忘れかけた時にふと顔を出し、存在を思い出させてくる元カレ(例えのクセ)のような存在だ。

そんな元カレ(いやクセなんよ)を過去に置いていくために、わたしは頭の片隅に大切にしまっている言葉をいつも引っ張り出す。

よく覚えている。
あれは高校2年の夏の学校の帰り道。

帰り道が同じ友人が私に悩み事を相談してきた。
はっきりとした内容は覚えていない。
ただ、当時彼女は他の友人たちにも同じ相談をしていたことだけは記憶にある。

2人自転車で並行しながら、ずっと話していた。
キャッキャッはしゃぎながら帰る道はわたしの学校へ行く理由ともなっていた。

やはり、楽しい時間というのは経つのがあっという間だ。
気づけば彼女の家の前に着いていた。
わたしは彼女の家の先に住んでいた。
だから、彼女を玄関でお見送りをする。
これがいつもだった。
そのいつもをその日もする。
…のだだったが、その日は違った。
彼女が玄関に入る前に言われたのだ。

「この相談をしてこんなに笑ったの初めてだった」

この言葉を聞いた瞬間、なんだか今までにない何か熱いものを胸の奥に感じた。
他の人の相談がどんなものだったかは分からない。
ただこの言葉から想像できたのは、わたし以外の人との相談では笑う方向性ではなかったということ。
笑わせてしまったことがいいことなのかは分からない。
悩みについて笑かすってなかなかないよなとも今更ながら思う。いや何年も思ってるかも。

けれども、少し理解したことがある。
それは、わたしにしかできない、わたしだからこそできる役割がこの世にはあるかもしれない。
大袈裟ながらそう解釈できた瞬間だったのだ。

「いつも目にする景色」も見る角度を変えるだけで「別世界」になることがある。
わたしならその「別世界」を見つけることができる。そんな気がする。

この思い出を、言葉を持っててよかった。
これで元カレ(まだ言う)とはおサラバだ!

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