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#3 組織開発 − ベンチャー起業家の経営学の活かし方 −

ビジョン経営と組織開発

ベンチャー企業の初期の武器は人のみであり、小さなチームに所属する人の熱量を高め、寄せ集め、活かす以外に成長への道がありません。ベンチャー経営においてこそ、「人は城、人は石垣、人は堀」です。

この数年、執行役員・管理部 部長の永畑のリードの元で組織開発に力を入れてきた結果、2022年3月現在、WHITE CROSSの直近1年の入社一年未満離職は1名(4.79%)まで下がっています。

組織開発においては、これまでのNoteで記してきたビジョン経営、そしてコアバリューと行動規範が軸となりました。それらにレバレッジを効かせなければ、組織開発において良い結果は得られないように思います。「どういう人の集団であり、どこに向かっており、どの山を登るか。」が言語化されていない状況下では、個別の人の問題に対応した対症療法を取り続けることになります。そして、このタイプの人の問題は再発します。経営者個人に帰属する小規模ビジネスであれば、ビジョン経営をせずとも対症療法を取り続けることで生き残れます。私は、東北大学歯学部の学生時代に中小企業診断士を取得し、歯科医師として臨床を経験した後に、UCLAのビジネススクールに留学をしました。私が実家の歯科医院を継いでいた場合、あるいは前職の医療法人を引き継いでいた場合はそういう道を歩んでいたのかもしれません。それはそれで良い人生だったと思います。3.2畳風呂なしトイレなしのボロアパートで、隙間風が入ってこないように窓に目張りするような暮らしを経験もすることはなかったでしょう。経営者として、深淵を覗くこともなかったかもしれません。ただ、それらを受け入れても遥かに余りあるワクワク感と充実感の中で生きていられるのは、退路を断った起業家としての人生を歩めているからです。どちらの道が良かったかは分かりませんが、What if は考えるだけ時間の無駄です。

組織開発に話を戻すと、WHITE CROSSはその成長の目標を、東証グロース市場への上場、次に東証プライム市場・時価総額2000億円・1000人企業、次の世代で永続性のある偉大な企業になることに定めています。そこに至るためには、コアバリューと行動規範により「何が正しいか」を規定し、個別のトラブルに対して「誰が正しいかではなく、何が正しいかに焦点を当て、不満には仕組みで対応する」という基本姿勢を維持した上で、トラブルがあろうがなかろうが延々と組織開発を続けていくことが求められます。つまり、会社が存続する限り、組織開発は続きます。長い目で見ると偉大な企業の一社であるゼネラル・エレクトリック社が、時代に合わせてビジョンが進化する度に組織のあり方を大きく変えてきたように、自己否定が必要な時も来るでしょう。長くあって欲しいその旅路において、ビジョンという軸を持たない組織開発をすることは危険であるように思います。

組織が大きくなってくる中で、代表のみが「弊社のビジョンは・・・弊社の企業文化は・・・」という話を熱く語るようになってしまうと、次に起きるのは組織崩壊です。社員一人ひとりが、誇りを持って語ってもらえるように、正攻法で組織を育てていく必要があります。明日のラーメン代を稼ぐのに必死のベンチャー企業にとっては、組織開発は間接業務のように感じられますが、組織開発は開発・営業などと同様に、会社の成長において必要不可欠です。

組織開発の方針とビジネスモデル上必要な組織構造

マネジメントのスパン・オブ・コントロールは、5〜7人と言われています。WHITE CROSSではその枠を意識し、組織の成長に合わせて、中間管理職を設けてきました。結果、どうしても組織は縦長になってきました。基本的に、組織は有機性とシステム性のバランスで成り立ちます。有機性に偏った例をネイビーシールズのような特殊部隊とした時に、システム性に偏った例が銀行や役所の窓口業務です。

ベンチャー企業は、シードステージやアーリーステージにおいては、高い有機性を有しています。というよりヒト・モノ・カネ・情報の全てがないない尽くしの中ではシステム性もへったくれもなく、有機性を活かし1人3役4役で働く以外に成長する手立てはありません。ところが、組織が成長し始めて縦長になることで新たに発生するトラブルに対応するために、どうしてもシステム性が必要になってきます。WHITE CROSSでは、社員数が20人を超えたタイミングから、有機性とシステム性のバランスを取るための仕組み化に注力し始めました。

また、創業後のかなり早い段階から、そもそもWHITE CROSSは普通の会社より組織崩壊する可能性が高いと私は考えていました。その理由は、創業以来の①組織に関わる私の方針、及びWHITE CROSSのビジネスモデル上、②成長するために必要となる組織構造にありました。

① 組織に関わる私の方針は、

(1) 幹部から順に採用して企業の骨格を先に作り上げる
(2) 年齢・学歴・性別・社歴・職歴関係なく成果をあげ、企業文化を尊重する人材を抜擢する
(3) WHITE CROSS、及び各部・室の成長/成長見込みに合わせて各部・室の所属人数を増やし、多層構造化させていく

というものです。

現在のWHITE CROSSには、3名の取締役、部長・室長も兼ねた3名の執行役員、5名の部・室長がいます。UCLA時代から、起業学の定石に従い自分より優秀な人材を探し続けてきた結果、創業期からのメンバーの大半が現在のWHITE CROSSのコアメンバーとして活躍してくれています。その一方で、抜擢もどんどん行ってきました。2022年3月現在、社員の平均年齢は33.5歳ですが、執行役員・営業部 部長の栗本は28歳であり、部下の半数が彼より年上です。栗本は、メンバーとして入社し、真摯に成果を上げてながら階段を登ってきました。もし栗本を執行役員にしない理由があったとすれば「お前にはまだ早い」という、20代の頃の私自身が一番言われたくなかった言葉に行き着きます。それは、ナンセンスです。また、開発部 部長・VPoEの藤永、全社情報戦略室 室長・CIOの大浦は、当初主任として入社しましたがオンボーディングが早く、WHITE CROSSの企業文化を体現し、確たる実力を示したため約半年で、部・室長に昇格しました。

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WHITE CROSSでは、「成長したい」若手の皆様にとってはもちろんのこと、「培ってきた仕事力を活かして、自由度を持って思いっきり活躍してみたい」皆様にとっても、その情熱を重ねてもらえる環境を意識して開発しています。


② 成長に必要な組織構造ですが、WHITE CROSSのビジネスモデルが "1 product, 1 needs" ではなく、デジタル・プラットフォーマーであることに起因しています。

2022年3月現在のWHITE CROSSには、40名前後の企業にも関わらず8つの部・室が存在し、多層構造化しやすくなっています。これは "1 product, 1 needs" のビジネスを展開するベンチャー企業にとっては多すぎるかもしれませんが、デジタル・プラットフォーマーとしてのビジネスを展開する上では、現時点で既に必要な部・室数です。

デジタル・プラットフォーマーとしての成功の鍵は、

(1) ユーザー資産の形成
(2) プラットフォームへの金脈の繋ぎこみ

の2点につきます。

(1)ユーザー資産が一定の水準を超え、成長性のあるビジネスとして成り立っていけると判断できた段階で、(1)ユーザー資産の形成を加速させながら(2)プラットフォームへの金脈の繋ぎ込みに注力する必要があります。そのステージに入ってきた現在のWHITE CROSSには、例えば新規事業の0 to 1に専門特化した経営推進室が必要となります。

WHITE CROSS社内で大学院で経営学を学んできたのは、MBAの私と、執行役員・CTOでMOT(Management of Technology)を修学している後藤です。後藤が室長を務める経営推進室では、様々な部署のメンバーとタスクフォースを組みながら、複数のプロジェクトを同時に走らせています。


いずれにせよ、①組織に関わる私の方針と②成長に必要な組織構造の掛け合わせの結果として、指揮系統が細分化・複雑化し、セクショナリズム・社内政治が発生しやすい土壌となっています。そうならないようにするためにも、組織開発は避けては通れませんでした。

組織開発リーダーの存在と有効だった施策

WHITE CROSSの研修指定図書である「ビジョナリー・カンパニー ZERO」では、「できるだけ早いうちから会社の構造に偉大さの基礎を埋め込んでおくこと」の重要性が説かれています。組織開発はその最たるものの一つです。そして、これほどトップ自らが踏み込まない限り、スタートしないものはありません。ただ、生きるか死ぬかの日々の中で、組織開発は後回しにされがちです。そこにおいては、そもそも組織開発をやりたくて入社してくれた永畑が組織開発のリーダーになり多大な貢献をしてくれています。本来、この項目については、私より永畑が書いた方が面白い内容になると思いますので、いつかアナザー・ストーリーを書いてもらいましょう。

永畑が組織開発に関わる様々な書籍・情報にかたっぱしから目を通し、WHITE CROSSに取り込むべき仕組みを判断した上で、私を"洗脳"してきます。そして、その必要性と私の中の危機感が重なった仕組みについて、社内のキーパーソンを巻き込んだプロジェクトが走ります。先述の後藤や大浦は巻き込まれ組の常連です。

いくつもの仕組みを作り上げてきたのですが、その中でも現時点で特に有効だったと感じているのは、

① Notionの全社導入(大浦発案)
② 採用フローの改善(永畑発案)
③ 企業文化を練り込み、人材を育て、能力を引き出す研修制度(赤司発案)
④ ビジョンと個人をつなげるミッション&ゴール制度や1 on 1 制度(永畑発案)

でした。既に私個人の頭から出てくる枠を超えています。また、人事評価制度、評価面談制度、抜擢・権限移譲制度、新規事業創出制度なども微調整を繰り返しながら作り上げています。

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会社として組織開発に注力してきた結果、現時点では私や副社長の田代が各部・室長の背中に手を当てる以上の干渉をせず、部・室長に基本的な運営を任せる体制となっています。私自身は、企業文化を体現している優秀な社員のおかげさまで、CEO業務に集中することができるようになってきました。

WHITE CROSSにご興味をお持ちの方へ

WHITE CROSSは、京セラ、トヨタ、リクルート、ファーストリテイリングのような永続性のある偉大な企業を目指しています。そして現在、ベンチャーステージの真っ只中にある小さな苗木です。

今回のNoteで記載した組織開発についても、日々、改善が重ねられていきます。未来視点に立って大樹を育てていこうとするWHITE CROSSのあり方に共感してくださる方からのご応募を、心よりお待ちしております。カジュアル面談も大歓迎です。気になられた方は、ぜひ採用ページを覗いてみてください。

WHITE CROSS 執行役員・管理部 部長 永畑のnoteはこちら


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