柴田昌治

1986年企業改革をサポートする日本発の組織開発会社である株式会社スコラ・コンサルトを…

柴田昌治

1986年企業改革をサポートする日本発の組織開発会社である株式会社スコラ・コンサルトを設立。 答えの見えない未来に向かって、対話に基づく試行錯誤を繰り返しながら人と組織を進化させていく方法論〈プロセスデザイン〉を初めて世に問う。1979年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。

最近の記事

世界水準から取り残された日本企業の「人への投資」(下)

日本人には、時間や規律をキチンと守り、礼儀正しく、まじめで勤勉な人が多いというイメージが定着しています。 その一方で、経営者の皆さんと話をしていると、共通の悩みとして、「うちの会社には言われたことしかやらない社員が多い」ということをよく聞かされます。 基本的にまじめで勤勉なので、言われたことはきちんとやる日本人。 ただ、会社を伸ばしていきたい経営者の立場からすれば、言われたことをやるだけではなく、新たな価値の創造につながる斬新な提案をしてくれるような社員が欲しいのが本意で

    • 世界水準から取り残された日本企業の「人への投資」(上)

      日本の「人への投資」が他の先進国に比べて非常に少ない、というのは意識しておく必要のある重大な事実です。その事実が何を意味しているのかを考えるとき、それが今に始まったことではないことが重要な意味を持ちます。 とりわけ今までは、他の先進国に比べて人への投資が少ないことが、あまり大きな問題を引き起こしているようには見えてこなかったのはなぜなのか、を考える必要があります。 ■日本のOJTの機能とは? 私たちはなんとなく、頭の中に、日本の「人材育成」とはお金をかけたからできるとい

      • 新刊発売:『日本的「勤勉」のワナ』

        『日本的「勤勉」のワナ ~ まじめに働いてもなぜ報われないのか』 柴田 昌治 著( [朝日新書] 朝日新聞出版) 価格:869円(税込) ■『日本的「勤勉」のワナ』の意味するところ ~ テーマに寄せて 朝日新聞の連載、「沈黙のわけ」の3回目(5月1日)で、『大学で高校で、空気に押され』と題する文章を読みました。それは、札幌大学の教授が企画していたパネル展「疫病とロシア文学」の延期が決まった経緯に関する問題提起から始まっています。 2月24日にロシアによるウクライナ侵攻

        • 日本の競争力を阻害している真の原因とは?

          3月以来、円の急激な独歩安に日本経済が揺れ始めています。 これからの日本をなんとかしたいと本気で考えるなら、今はまさに正念場にあるのだと思います。 ■原因にたどり着くための仮説を考える 4月16日付の日本経済新聞朝刊の一面に大きく取り上げられた『円安再考』という特集記事の見出しに踊っていたのは、「怠った変革 競争力失う」でした。 日本が競争力を失っている、というのはそのとおりです。でも、「怠った」という表現には違和感があります。「怠る」というのは、「(やるべきだと)わかっ

        世界水準から取り残された日本企業の「人への投資」(下)

          近代的なセンスのあるコミュニティをつくりたい!

          しばらく公私ともに多忙を極め、ゆっくりnoteに投稿する余裕をなくしていました。新年を迎え少し時間もできたので、また思っていることを書いていこうと思います。 とはいえ、まとまったテーマを書くのは、まもなく配信予定のスコラ・コンサルトのメールニュース「年頭コラム」に譲るとして、今回は最近思ったこと、楽しみながらやっていることなど、ざっくばらんに書いてみたいと思います。 ▼スコラ・コンサルトのメールニュースは下記よりお申し込みいただけますhttp://info.scholar

          近代的なセンスのあるコミュニティをつくりたい!

          伸びる選手が持っている「コーチを有効に活用する能力」

          テニスの錦織選手を育てたことで有名な、盛田ファンドの創設者である盛田正明さんと元女子テニス世界ランキング4位だった伊達公子さんとの興味深い対談を、少し前ですが新聞の記事で読みました。 タイトルは『「正解」よりも考える力養う』(※)です。 ※日本経済新聞 盛田正明氏×伊達公子さん テニスを語る㊦ ■選手の成長につながるカギとは? 「コートではいろんなことを考えては決断の連続。技術があってボールを強く、うまく打てるだけで活躍できる場所ではない」と伊達さんは言います。特に世界レ

          伸びる選手が持っている「コーチを有効に活用する能力」

          「オープンな問い」と向き合うことから生まれる「考える」という行為

          あまり意識されていないことなのですが、私たち日本人は、向き合っている「問い」、別の言い方をすれば「考える」という姿勢に大きな問題点を抱えているようです。 最近読んだ『今こそ「スポーツとは何か?」を考えてみよう!』(玉木正之著)という本にあったのですが、確かに私も含めて、たいていの日本人は「スポーツとは何か?」などということをまじめに考えたことがない、というか考えようともしていない、とも思います。 高校時代、4人いた体育の先生の顔は今でも鮮明に思い浮かべることができます。し

          「オープンな問い」と向き合うことから生まれる「考える」という行為

          「女性の持ち味を生かす〈後編〉」~ 男性社会の中の女性たち

          私は5人姉弟の末っ子で長男です。つまり、上に4人の姉がいるのです。私がまだ小学生のとき、みんな大学生になっていた11歳離れた長姉を含めた年子である3人の姉たちは、半ば母親のような存在でもあったのです。 子供の頃に戦争を実体験し、戦後民主主義の洗礼を受けた姉たちは、当時の日本人女性の中では男女平等の意識をしっかり持っている女性だったように思います。そんな姉たちと少年時代を過ごしてきた私は、女性が持つ大きな可能性と女性に対するリスペクトの感覚を当たり前のこととして持っています。

          「女性の持ち味を生かす〈後編〉」~ 男性社会の中の女性たち

          「女性の持ち味を生かす〈前編〉」~ 日本の男女格差とは?

          ドアの前で女性に先を譲ることを身体が覚えているのが欧米の男性。かたや「レディファースト」という言葉だけが独り歩きするのが日本という国。 騎士の精神と武士道は、同じような存在に思えますが、実は似て非なるもの、とくに女性への接し方においてはまったく違うもののようですね。 ■西欧の「騎士の精神」と日本の「武士道」の違い ここで騎士道とはあえて言わず、「騎士の精神」と言っているのには理由があります。 “道”という表現に込められているような、“道を究める”といった日本独特の「ひたむ

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          コロナ禍でも模索し続ける新鮮な近隣コミュニティ

          今回は、私が住んでいる地域での人と人との「つながり」をつくること、について考えてみます。 私が現在住んでいるのは品川区にある静かな住宅街です。約15年前に大田区から引っ越してきました。3人の子供たちがみんな小学校を卒業して、あちこちの私立中高に通い始めたので、みんなが通いやすくて私の会社にも近いところ、という趣旨で今のマンションに移り住んだのです。 ただ当初は、近隣地域の人たちと私たち家族とのつながりはまったくありませんでした。というのも、子供たちが私立中高に通い始めてか

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          柴田昌治へのご相談について

          コンサルティングや講演ご相談・依頼は下記より受け付けております。 また、2021年2月まで『なぜ、それでも会社は変われないのか』読者向けに無料勉強会も開催中です。 詳細は下記よりご確認ください。 ▼お問合せフォームはこちら http://www.scholar.co.jp/inquiry/ ▼講演のご依頼はこちら http://www.scholar.co.jp/seminar/detail.php?id=46 ▼柴田昌治と考える〈挑戦文化づくり勉強会〉※2021年2

          柴田昌治へのご相談について

          自ら選ぶことで人は成長する

          「自らの意志で選ぶ」ということは、人を成長させてくれる人間にとって最も大切にしなくてはならない “ふるまい” である、と私は考えています。 ここ数カ月、コロナの第一波が残した傷跡のせいもあってスケジュールが極めてタイトになり、このnoteも10月に書いたきり少し間が空いてしまいました。 前回書いた「新陳代謝と延命治療」は若い頃からの私の持説だったのですが、今回、久しぶりに書こうと思った内容も、同じように私の若い頃からの持説のひとつです。 「資本主義が発達してきたことによ

          自ら選ぶことで人は成長する

          新陳代謝と延命治療

          激動する世界を生き抜くために、私たち日本人が身に着けなくてはならない考え方のひとつ、それが「延命治療をやめて、新陳代謝を促進する」です。 「世界が急速に動いている」という現実は、今も続くコロナ禍の経験などを通じて、多くの日本人に実感を持って受け止められるようになってきています。このような激動する環境の中で、変化に適応しながら生き抜いていくことが求められてきている今、忘れてはならない基本姿勢、何かを判断をする際にもっとも必要とされている基本姿勢が「新陳代謝」というものなのです

          新陳代謝と延命治療

          〈ご案内〉『なぜ、それでも会社は変われないのか』読者向けセミナー(無料)

          『なぜ、それでも会社は変われないのか』読者向けの、柴田昌治と考える場「挑戦文化」を育てるテーマセミナー(無料)のご案内です。 ニューノーマル時代の挑戦文化創造をリードするための「経営チームビルディング」、そして現場を挑戦文化にシフトしていく「職場コミュニケーション」について実践面から理解し、具体的な進め方をイメージする場です。 【セミナー概要】 日 時:2020年10月1日(木)16:00~18:00 [経営チームビルディング]         10月29日(木)16:0

          〈ご案内〉『なぜ、それでも会社は変われないのか』読者向けセミナー(無料)

          日本のジェンダー格差と日本人が持っている序列感覚

          年々下がっている「日本におけるジェンダー格差」の国際的なポジション、という見逃すことのできない事実に、私たち日本人は気づいていながらそれほど大きな問題にしているようには見えません。それほど騒がれてはいないということです。たぶん、そうした現実があっても、仕方のないこと、として見過ごしているのでしょう。 ■「ジェンダー格差」と「伸びない労働生産性」 今年のジェンダー格差は昨年の110位からさらに順位を下げ、過去最低の121位になってしまいました。G7の中では、ドイツ10位、フラ

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          お金を「稼ぐ能力」と「使う能力」

          自分なりの考えを持つ、ということは大切です。今回は、いつの間にか私の人生観の一部をなしている、生き方にもつながる話、お金を「稼ぐ能力」と「使う能力」という切り口で書いてみたいと思います。 普通、私たちはお金と言えば「それを稼ぐ能力」ばかりに関心が向いてしまいます。しかし、本当のところは、「それを使う能力」が稼ぐ能力以上に必要とされているのです。 もう少し言うなら、お金を稼ぐ能力にカルチャーは特に必要とされてはいませんが、お金を使う能力にはカルチャーが必要とされている、とい

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