パクチー複業化計画
パクチー。
好きか嫌いかがほぼ真っ二つ、と言っていいほどわかりやすい野菜。
好きな人は、パクチニストという言葉が生まれるほどに、本当に熱狂的に好きだから、すぐに仲間になってしまう笑
当然僕もパクチーが大好き。
どれくらい大好きかというと、例えばパスタで食べる場合はこんな感じ。
とにかくたくさん食べたいのだけど、スーパーで買うと非常に高くついてしまうのです。(売っていない時もあるしね・・・)
ということで、今年から畑を借りてパクチー栽培を始めてみました。ただ、僕はパクチー農家を目指しているわけじゃなくて、パクチーを「複業化」して、ゆくゆくは僕の住む佐久地域にパクチーコミュニティを作りたいと思っています。本noteではそれについて綴ってみたいと思います。
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実は僕はパクチー苦手だったのですが、今は大好き。
そのきっかけは、パクチーといえばこの人、パクチー料理というジャンルを世に生み出して、日本のパクチー業界を牽引している佐谷さん。これから綴るnoteの中にもパクチー銀行など関連するワードが出てくるので、最近の記事を張り付けておきます。
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初めてのパクチー栽培
さて、パクチー栽培。上述した佐谷さんの影響もあり、5年位前からパクチー銀行佐久支店として種を融資しつつ、その種採りも含めてほんのちょっとだけ(3㎡くらい)パクチー作っていたわけですが、微々たるもの。たまたま親戚の土地が自宅の近くにあったので、そこを借りて、本格的な栽培を開始します。(といっても家庭菜園がちょっと大きくなった感じですが)
こちらの土地を春先起こして、畝立てしてスタートです。
畝立てして、種まきの2週間くらい前までに、仲間と作っている「竹パウダー」を混ぜ込みます。
そして、4月下旬、初の種まき。その後、約1週間おきサイクルで種をまき続けています。
種を蒔いたら、週2くらい、午前中少し来て草刈りや雑草除去するくらいのペースで農作業。そして、6月上旬には、初の収穫時を迎えることができました。
ちょっと慢心してしまうくらい、とんとん拍子。パクチーもたくさん食べれるし、農作業や朝早く起きる習慣がついたり健康的。パクチーサイコーと、今現在(9月)の自分から「なめすぎですよ、パクチー栽培」と声かけてあげたいほど、浮かれてました笑 まぁ、でも単純に楽しかったし、うれしかったんだと思います。
そして、毎日パクチー料理。
料理するのが楽しくなります。
「まるパ」のパクチー誕生
さて、しかしです。
畑を借りてパクチー作ろう!!と思っただけで、じゃぁ販売どうするのかとか、ホント考えずにスタートしてしまったものだから、6月上旬あたりから焦り始めます。さすがに食べきれないし、捌かなきゃと笑
屋号やロゴなども、4月頃からずっと考えてはいたものの、全然決められずにきていました。でも、やっぱり人間追い込まれると出てくるものですね!(常に頭のどこかにあるのが大事)
今までアイデアとしてはリストアップしていた屋号候補を一切無視して、一瞬で屋号とロゴ決定。
実は、このきっかけになったのは、6月中旬のこちらのイベント。
ちょうどパクチー販売する機会を欲していたので、こんな感じで相乗りさせてもらったのです。(よくこれを許してくれたと、その寛容さに感謝)
このイベントのタイトル、「パ」の発音からインスピレーションを受けて、「まるパ」のパクチーが誕生します。単純に「パ」にまるをしただけ(笑)でも僕の中ではすごくしっくりするロゴになりました。屋号はこのロゴの原型ができたあとに決めたのですが、最終的に「+phakchi(プラスパクチー)」になりました。
当初は、×(かける)とかコラボとか考えていたけど、農業って地道だし、というか、スピード感とか掛け算とかなんか今の世の中ちょっと行き過ぎてる気がするので、あえて+(たす)にしました。ひとつ一つ足していくことが、人生にとって大切だと思うからです。農に触れ初めて、感じ始めていたことでもあります。
イベントはというと、初めて自分で育てたパクチーを販売するわけなので少し緊張しましたが、たくさんの人が買ってくれて、喜んでくれて。それに、パクチー大好きな皆さんとつながれたことがとてもうれしかったです。
今まで間接的な目に見えにくいものを販売する仕事しかしてこなかったから改めて新鮮だったし、何より、自分が本当に大好きなものを販売(というよりは僕の中ではおすそ分け)するわけだから、なんの躊躇もなくお勧めできる。やっぱりこういうのが大切だと感じました。こういうの沢山増やしていきたいなと。
そしてパクチーのコワーキングが始まった
さて、ロゴも屋号も決まって、そして、パクチーがどんどん生長してしまうので、ここからは、なんだか一気にコトが進みました。
まずは、道の駅ほっとぱ~く浅科さんで販売をスタートさせていただきました。
そして、女将さんパクチー苦手だと言っていたのに、、、老舗旅館の野澤館さんに定期的に納品させていただくことになりました。ランチやディナーでパクチーを入れてくれて、とてもうれしいです。(たぶんお客さんに有無を言わさずパクチーを普及してくれたはず!?)
またマルカフェさんの土曜朝市「awai market」に置かせてもらいつつ、時折対面販売でお店に立たせてもらいました。
そうすると、ちらほら、飲食店の方が使ってくれるようになりまして。
佐久穂のpottaさんがガレットに使ってくれたり。
川北ベーグルさんが、ベーグルでのバインミーに使ってくれたりと、なんともありがたい展開に。
そして、マルカフェの零さんが「パクチーソースつくろう!」と声かけてくれて、誕生したのがこちらのソース。
声がかかったのが月曜日、そして、その週の木曜日に完成⇒土曜日販売という、超スピード感で爆誕しました(笑)
冒頭あえて「×じゃなくて+にした」、というくだりに信ぴょう性がなくなりそうですが、零さんとはもうかれこれ7,8年コワーキングしてきたからできたことだと思っています。零さんありがとう。
いろんなものに合うけど、魚にすごく合います。現在在庫ありませんが、そのうちまたつくります。
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さて、販売やプロダクト開発もそうですが、一番僕がやりたかったことが、パクチーを食べながら交流する場(≒コワーキング)を持つことでした。そしてその実験をいくつかしてみました。
まずは、野沢祇園祭にて喫茶あるいはさんと露天出店。
超忙しかったけど、いろんな人といろんは話ができて楽しかったし、そこで生まれた新たな出会いが、今につながっているのがうれしいです。
また、あるいはさんでは、朝活なんかもやったりしました。
そして、中込駅となりの「TonaRide」さんをお借りして、飲食店としてポップアップ出店。パクチーアピリティフ。
初めての飲食店としての出店でてんやわんやで、実は僕はあまり話せなかったけど、ここで初めて出会った人同士が2次会に繰り出してくれたりと、とてもうれしい場になりました。次回は建付けを修正して僕もたくさん交流しながら「コワーキング」できる場にしていきたいと思います。
(あ、一応、食品衛生管理者の資格は飲食提供する前に取得しましたので、念のためご報告しておきます。)
認識を改めて!真夏のパクチーは超貴重
そして、やってみたいなと思っていたことの実験が一通りやれたあたりで、事件は起こります。
今年猛暑と降らない雨で、全国的に真夏のパクチーは不作らしいのですが、僕もその洗礼を受けてしまいます。7月某日、あれだけ順調だったのに、ピークを迎えたパクチーが大量に枯れました。
パクチーって夏のイメージがなぜが定着していますが、実は旬は3月~初夏、そして、秋。ということで、真夏、めちゃくちゃ弱いんです。市販のパクチーのタネ袋にもかかれていますが、発芽適温は20~25度、生育適温は15~25度。そこに、長野県内でも比較的標高の高い佐久地域でも、今年は、6月後半~8月はほとんど真夏日(30度超え)。試練がやってきます。
とりあえず、試行錯誤。
暑さに弱いので、遮光シートを買ってきて貼ってみます。
これによって発芽は良くなったし、生長も悪くない感じでした。
が、、、今度はアブラムシです。7月まではほとんどつかなかったアブラムシが、急に。パクチーに害虫なんかつかない(事実全然つかなかった)と思っていたので、発見が遅れ是非に及ばず状態・・・。対策を試みるも、再生が難しく・・・。
いやー、へこみました。でもこれが現実。調子に乗っていた僕にとっては、良い薬でした(苦笑)
でも、全国的に本当に不作だったらしく、佐久でも常にパクチーがあるタイの素材屋さんでもパクチーが切れました
皆さん、「パクチー=夏」じゃないです。実は、真夏のパクチーって貴重なので、大切に扱ってくださいね!
来年の真夏のパクチー栽培、どうしようかまだ答えはだしていません。でも悔しいので、きっと挑戦すると思うので、備忘記録的に書いておきます。
・遮光
30度越えると、発芽率が著しく今年落ちたので、30度越えそうになったら遮光をスタートする。
発芽してある程度大きくなるまでは今年と同じように行い、その後は天井だけにしてサイドは開けて、風通しをよくする。畝の向きは南北にして、朝夕は除く、ピークの時間帯のみ遮光できるようにして、日差しの弱い時間帯は光が当たるようにする。風通しが悪く、日陰だとアブラムシが発生しやすくなるから。
・水の管理
枯れてしまうんじゃないかと不安で、水を毎日あげすぎてしまった気がする。でも、水のあげすぎは徒長の原因になるらしく、現に初夏に比べて発芽後ひょろひょろだった。あと、土がガッチガチになってしまった(これは水不足か?)のも原因。徒長してしまうと弱々しく育ってしまうので、アブラムシにつかれた原因かも。ガッチガチの土については、土についてもっと学んで、シーズン終わったら土造りしっかりやりましょう。
・間引き
初夏までは一切間引かなかった(間引かなくても元気にグングン育った)けど、間引き作業したほうが良いかも。風通しが悪くなってしまって、アブラムシがついた可能性あり。
・タネ用の畝
タネ用の畝は、シーズンスタート時にすべて蒔いてしまうようにする。今年は第一弾、第二弾、三弾と段階的に収穫できるようにしたけど、第二弾以降の株にアブラムシがつきまくった(シーズン初めの株はつかなかった)。そのアブラムシが隣のパクチーの畝に飛び火した可能性も考えられる。
・アブラムシ対策
そもそも時期じゃない真夏なので、パクチー自体がだめなのかもしれない、というのもあるが、とにかく初期が大切。発見次第駆除できるように常に準備しておく。農薬は使う気はないが、増えてしまった時の対処も。このあたりを参考に。
仮説でしかないけど、現時点では来年こんなことをしてみると良いんじゃないかと思っています。
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さて、パクチー栽培1年目、まだまだ続いておりますが、ようやく、ほんとようやく暑さが和らいできて、パクチーのシーズンが戻ってきます。秋まきのパクチー栽培自体も初ですし、できる限り種をまき続けてみて、どれくらいの寒さまで行けるか実験は続きます。
いざ、パクチー複業化計画
さて、本題のパクチー複業化計画。
パクチー栽培を始めるにあたり、ここ最近僕の中で特に力をいれて取り組んでいる「ローカル複業」を意識しています。
ローカル複業とは
ということを念頭に置いて取り組んでいる活動です。
(詳しくはこちらに綴ってありますので、もしよかったらどうぞ。)
パクチー栽培を半年やってみて、真夏はやっぱり難しさを感じますが、春から初夏にかけては本当に手間もかからず、比較的栽培は簡単だと思っています。
そして、実は美容面や栄養価的にもパクチーは優れていて、ビタミンC(抗酸化、美肌)、βカロテン(抗酸化)、食物繊維(腸内環境)、カリウム(高血圧対策)、鉄(貧血予防)、カルシウム(強い骨)などが高く、それに加えて、重金属(水銀やカドミウムなど)のデトックス効果もあると言われています。特にデトックス効果は、現代の生活を考えると注目すべき所かもしれません。パクチー苦手な方には信じられないかもしれませんが、パクチニストはサラダでバクバク食べるので、それなりに栄養価を摂取できると思います。
ということで、栽培が簡単で栄養価も期待できるのがパクチーなんです。しかも、野菜の中ではそこそこ単価も高い。そして何よりも、パクチー好きには良い人だらけで、素晴らしいコミュニティが創れる可能性がある(事実、冒頭紹介した佐谷さんのパクチーハウスは素晴らしいパクチーコミュニティを形成している)。
となると、パクチーは「複業」にピッタリだと思うのです。
箇条書きにしてみます。
栽培するために体を動かすので健康的。
自然に触れる時間が増えるので精神的にもメリット。
パクチー買わなくてよくなるので、その分食費が減る。
新鮮なパクチーはやっぱり全然おいしい。
上述したように、美容・栄養価でも期待。
「僕パクチーつくってます」というと、パクチー好きが集まってくる。つまりコミュニティを作ることができて、暮らしの安心感が増す。
野菜の中では単価が高いので、余剰分を販売すれば収益につながる。
料理が得意なら、原価率をおさえて提供可だし、楽しい場がつくれる。
休耕地を活用すれば緑が戻るし、CO2も吸収。
更に、パクチー大好きな人がパクチーつくるから、つくる本人も幸福度があがるし、そのパクチーをおすそ分けされる人も喜ぶし、喜びの連鎖で社会にとっても◎。まさしく三方よしなのです。
ね、パクチーって「複業」に良いと思いませんか?
今年は実験の1年と位置付けていますが、だんだんとパクチー複業者を増やす活動もしていきたいと思っています。そして、パクチーコミュニティを広げていき、いつしか、みんなのパクチー余剰分に余裕ができたら「佐久パクチー」として売り出したり、何かに活用したら、すごくおもしろいコトになるんじゃないかと思っています。
「あ、いいかも、パクチー複業」と思っていただけた皆様、ぜひ、とりあえずパクチーの種蒔きましょう。種がなければお声掛けを、パクチー銀行佐久支店、融資いたします!
パクチーサイコー!!
つづく