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#17 言葉を浴びれば

職業柄、人前で説明をすることが多い。

あるいは、上司が説明するための資料・台本(カンペ)作りをすることが多い。

最近は、少しずつ台本作りの面で信頼してもらえるようになってきた。




僕は元々、文章を書くのが得意ではない。

ものごとに対して、自分の考えを持つのは好きだけど、それを人に伝えるとなると、途端に味気ない表現になってしまう。

人に伝えるための言葉を持っていなかったのだ。




そんな僕が、台本作りに関して、少しずつ信頼してもらえるようになったのは、読書とYouTubeのおかげだと思う。

この3年間ほど、かなりたくさんの言葉を浴びてきた。

頭に残っているかどうかは別として、本を買ったり、図書館で借りたりして、ガンガン読んでいる。

YouTubeも、いわゆる「ビジネス系YouTuber」の動画を、運転中や家事の傍らにずっと流している。

「仕事のヒントが欲しい」「ものごとを考える視点を増やしたい」といった目的で読書やYouTubeの視聴をしていたので、別に説明の仕方とか、文章の書き方とかを意識していたつもりはない。

だけど、どうやら言葉を浴びれば浴びるほど、自分の言葉も少しずつ磨かれていくようだ。




読書とYouTube。

どちらか片方だけでは不十分だったのではないかと思う。

説明には、ある種のリズムのようなものがあって、書き言葉だけでは固く、味気ないものになってしまう。

この場合のリズムは、ある意味で話し手自身を導くものであり、階段を登るように少しずつ合意に近づいていくためのものである。


反対に、話し言葉だけでは、軽く、威厳のないものになってしまう。

人に説明するにあたって、威厳は大切だ。

内容はどうであれ、「なるほど、そうかもしれないな」と思わせるには、言い切ったり、キャッチーな表現を用いることが必要な場面もある。


だから、相手を納得させる表現を用い、かつ、リズムよく説明していくためには、読書とYouTube(他者の説明を聞くこと)が有効なのだと思う。




年間100冊を3年間続けると300冊になる。300冊を超えたあたりからだったと思うが、自分のなかから言葉があふれ出すようになった。世間のさまざまな事象に接して、自分も何か語りたくなるのだ。

藤原和博『本を読む人だけが手にするもの』

まさに、今の僕はこんな感じだ。

ただ、藤原さんと違うのは、僕には何も実績がないということ。

僕はまだ何も果たしていない。

何も生み出していない。

今はただ、組織の歯車の一つとなって、お金をもらって食べさせてもらっているだけだ。

会社の肩書きが失われた時、僕の話なんて誰も聞いてくれないだろう。




話を聞いてもらうためには、話を聞いてもらうための努力が必要だ。

それは、ビジネス本に書いてある小手先の技術を身につけるということではなく、「話を聞いてみたい」と思わせる、人としての魅力があることだ。

色んなものに触れ、色んなことを感じ、色んなことに挑戦し、色んな言葉を吐き出すことで、人としての魅力をもっと磨いていきたい。

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