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世界でひとつの本。

本当は、もっと製本の記事を書くつもりだったんだけど余裕がありませんでした笑

はじめての本づくりの記録として
残しておきます。

本づくりのはじまりは、
友だちのサプライズ結婚式に
「人が幸せになる物語を描いてみない?」
という私の師匠からのひとことでした。

頭の固いわたしは、出版社を通して本をつくることしか頭になく。自費出版をするつもりで、製本も出版社にお願いするつもりだった。

だけど、一冊だけだと高い。
安くつくれる出版社もみつけたけれど。

本当にそれでいいの?

と問いかけてくる自分がいる。

本当にそんなツルツルな表紙で
出来上がった、選ぶだけのデザインでいいの?

2月末のZINEのイベントに行って
『自分でつくれるんだ』
『自分でもつくってみようか』
と思い至ったのです。

師匠は最初から
『私の手』で本をつくって『出版』することを言っていたのだと思います。
お話をいただいてから数ヶ月が経っておりました(……遅い笑)

どのようにして作ろうか。
試行錯誤の日々。
それが4月のお話。

わたしは、どういう本を贈りたいだろう?

渡すのは7月末。
それにも拘わらず6月になっても本文はできておりませんでした。
かなり追い込まれている状況。
それでも、焦るな、絶対できる、と言い聞かせてひたすら本を試作。

糸を綴じたり、紙の質、見返しの色も考えて実際に貼り合わせたりしましたが、こちらも決まりません。

当たり前のことです。
物語ができてないのだから。
どのような物語かによって、表紙の雰囲気や紙の質だって変わる。

もう書けないんじゃないか。
間に合う気がしない……。

そう思いながらも、
無理やり執筆するのではなく
感じて出てくる言葉を待って綴りました。

製本も技術が拙いので簡単に作らせてもらいましたが、続けているとどうにか本に見えるようになってきました。

ぽつり、ぽつりと出てきた言葉を繋いでできた物語は、友だちの幼い頃から友だちが旦那さまと出逢うまで。

「2人の出逢いを祝福したい」
という気持ちと、友だちが生まれてきてから今までの人生はいろんな感情があり、選択してきた結果があり、旦那様と出逢うことができたんだなぁということを感じながら物語を書きました。

たった6ページの物語。

友だちの人生を包み込むような本にしよう。

ということで、和綴じではなくなりました。
和綴じは背表紙がなく、本文が丸見えだから。

ひとつひとつ繋ぎたいので、簡単な糸かがり綴じに。

本文は、1ページ1ページ読んでから思い浮かんだ色をアクリル絵の具で色付け。
と言っても、用紙に直接塗るのでありません。

ボードに、色を落として霧吹きをして色が混ざったところを画用紙に写していきます。

人生を包み込む……イメージとしては、やわらかさとあたたかさ。
手芸屋さんで物語を抱き締めるイメージに似た手触りのリネンの生地を選んで表紙に。

しかし、表紙のデザインは最後まで悩みました。
布だし、文字が刻めない。
字が下手だから書きたくない笑

じゃぁ、刺繍?

気付いていたけど、気付いてないふりをして渡す一週間前までやってきていました。
もう、やるしかない。

それに、本を入れる箱を探しても見当たらない。

じゃぁ、つくる?

気付いていたけど、気付いてないふりをして悪あがきをして探しまくりましたが、結局つくることに笑

つくれると思ってなかったから。
刺繍だって上手にできるとは思えなかったから。

本をつくるにあたって
気付いたことがあります。

私は、綺麗に作らなければと思っていました。
大切な友だちに渡すのだから
プロが作ったものでなければ、と。

だけれど『綺麗』って
そういう『綺麗』じゃない。

どんなに下手くそでも
友だちを想ってつくってみる。
センスがなくても、想いを込めてみる。

わたしの手で綺麗にできるよう
最大限、努める。

YouTubeを見れば刺繍をしているひとや
箱をつくっているひとはたくさんいます。

見よう見まねで練習させていただきました。

完成したのは、本を贈る前日の夜。

安心しました。

師匠は
「当日に渡せなくてもいいから。納得できるものを」と言ってくださっていました。

だけれど、やはり当日に贈りたかった。

師匠の言葉で安心して
間に合わせることができたのかもしれません。

少しではありますが
完成した本と箱の写真を載せます。

こちらは本を入れる箱。

前から紙に刺繍をしたらどうなるんだろうと思ってました。動画を探すと紙刺繍というものがあるそうで。簡単ではあるけれど図案も考えて刺繍しました。

バラの数は5本。
『あなたに出逢えてよかった』

箱を空けるとこんな感じ。

本をつくると決めてからマクラメ編みにチャレンジをした記事を書きましたが、ここで使っています。新たに模様も変えて編みました。本にくっつけてはおらず、結んでいるだけです。

そして、最後まで悩んだ表紙の刺繍。

2つの植物が実を結び、繁栄していくイメージで。
【和】の由来から着想を得て作ってみました。

こちらは花布。
気に入る模様がなかったので刺繍を施しました。クチナシの花言葉に『喜びを運ぶ』があるのでクチナシの色っぽいものを選んで花柄に。

ボンドで半分にしてくっつけたものを切って使用します。本にしてしまうと模様もわかりませんが。
自己満です笑

見返しは、どうしても納得できる色がなくて
2枚合わせて見返しを貼っています。

オレンジ色とピンク色の和紙を合わせています。
見返しと本文の間にはトレーシングペーパーを挟んでます。

本文の色付けはこんな感じ。

塩をつかって、模様を作りました。

師匠に自分で本をつくるというきっかけをいただけなければ本づくりの楽しさに気付けなかっただろうし、感じて、言葉を綴って物語を書くということもしなかったと思います。

そして友だちのウェディングパーティーでは、出席したみんなの夢が叶い、みんなの想いが溢れてとても楽しいひとときとなりました。

師匠夫婦。
出逢ってくれた友だちたち。
本づくりを見守ってくれた家族(家事そっちのけだった…)

本当に感謝しかないです。

また本をつくろうと思っています。
かなりマイペースに。笑

手づくりって大変だけど自分の想い描くものを自由に表現できて楽しい。

こんなことしていいの?
あれも、これも、していいの?

どきどき
わくわく

不安が混じったとしても
『やってみたい』気持ちを大切に。

これにて
はじめての本づくりは完結。

*最後まで読んでいただきありがとうございました*

以上、丸家れいでした。


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