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すべてのグルメサイトを瀬戸内の海に沈めてやる!(高松 うどん遍路)

僕は怒っている。

なにが「うどんの名店ランキング15選」だ。なにが「讃岐うどんの美味しい店23選。絶品店をご紹介」だ。なにが「讃岐うどん、今年人気のオススメ店30」だ。

クソでしかない。

個人ブログじゃない、こういうのってクソでしかないのに検索の先頭をガッチリと占領している。つまり、グーグルもクソでしかない。

だいたい、コレ編集してるヤツらって絶対食べてないし、選出基準も時間帯もサービスも場所もバラバラ。ただ有名そうな店を片っ端から載せてるだけ。全然道知らん人でも周りやすいオススメ・ルートを出せや!瀬戸内の海の底に轟沈するべき金の亡者だ。そもそも、食に対する情熱が感じられない。僕は残りの人生、一回たりとも食事をムダにしたくはないんだ!!

僕もクソグルメサイトを旅先で見たことはあるけど、結局マゴマゴさせられるだけで、重要なことが何も伝わらないんよ。

だから、僕が完璧なる香川のトリップ・アドバイザーになることにした。ストリップ・アドバイザーにもなれるけど、今回はやめておこう。というよりも、やっぱり美味しい店は地元の人が一番知っているからね。

今回は、高松駅周辺に宿とレンタカーを取ったと仮定する。讃岐うどんの朝は早い。起床は5時半だ。問答無用でチェックアウト。南に向かう。高松駅が海沿いの北の端なので、基本的には南下していくことになる。わからなくなったら、平たい屋島を見ればいい。何も遮るものはない。そっちが北だ。

まずは、"手打ち十段 うどん馬鹿一代" に向かう。朝の6時から夜の6時まで、元日以外は無休のまさにうどん馬鹿な店。駅から中央通りをまっすぐ南下して、大きな交差点を左折。踏切を越えた花園の肉屋の道を入っていくだけ。車で5分くらいだ。

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朝の8時くらいになると、もう浦安ネズミの国くらい並び出すので早朝に行くのが正解。ここにきたら、絶対に釜バター。釜玉うどんにバターとコショウを存分に盛った世紀の逸品だ。今、讃岐うどんはコショウがアツい!麺はもう、間違いないからね。あと内緒だけど、この店じつは牛すじ煮込みカレーライスも絶品。

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さて、7時になった。どうすんな?ここはひとつ、西へ進んでうみまち商店街に寄ってほしい。中央通りに戻って一旦北上。中央公園を左に見ながら、ブックオフの看板を左。踏切を超えてすぐに右折で到着。市場に併設された商店街なんだけど、一時期シャッター街になっていたものが、みんなの努力で高松一ナウい場所になりつつある。

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ここで絶対に食べて欲しいのが、浜堂ラーメンだ。今、香川県は空前のラーメン・ブーム。ついに県民は、ラーメンをうどんと認めたようだ。毎週のように新店が乱立し、すべてがかなりの高レベル。このお店は、いりこ原理主義の讃岐ラーメンを確立したはまんどの支店なんだけど、ありがたいことに朝の8時からやっている。優しくも味わい深いチャーシュー、いりこの海を飲んでいるかのような澄み切ったスープ、黄金比を体現した平打ち麺。一度は体感してみてほしい。また、塩気の増したチャーシュー丼が最高なのよ。水曜が休み。

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結構時間があると思うので、ついでにめんめ屋のうどんをひと玉ひっかけておくことをオススメする。もともと、香川西端の名うどん屋上戸うどんの支店だったんだけど、名前を変えたようだ。塩気といりこが非常に濃くて僕は好き。天ぷらを一つ取れば珍しいいりこの天ぷらも一緒にもらえるので絶対に損はない。狂気の朝4時開店。

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さらに余裕があれば、肉蕎麦専門店 "僕が僕であるために2" にも寄っておきたい。Yutaka Ozaki のごとく勝ち続けなきゃならないのかどうかは知らないけど、このつけ蕎麦大盛り肉4倍ネギ2倍牛鶏あい盛りは大勝利だ!アホみたいな量だけど、豊富な味変アイテムを駆使すればペロリ。つけだしがなくても食べられるくらい豊かな味わい。まさに麺王国香川の勝利の証だ!10時半開店、水曜休み。

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まだ4杯だ。序の口だ。次は高松うどんの聖地、竹清に向かう。再び中央通りまで戻り南下。観光通りとの交差点を右折した肉屋の先。駐車場が店の両脇にあるのだが、あまり停められないので近くのコインパーキングでもよいだろう。10時45分開店。月曜が休み。ここも土日祝日はハリーポッターくらい並ぶので、マモーミモーの仮装で訪れるのも一つの手だ。このあたりは、ナンちゃんが空海くらい崇められているので、おそらく「先に行きまい!」と順番を譲ってもらえる。

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竹清では、とにかくセルフうどんの真髄を体験してほしい。店に入るなり、おばあが「ちくわにすんな?たまごにすんな?」と聞いてくるので、「黙れ!」と頭突きを喰らわせたくなるのをがまんして「両方!」と答えよう。自分の名前も伝える。僕はツレといくと、たいてい秋山だ。すると次のツレが清原、最後のツレがデストラーデで落としてくれる。しばらくすると名前が呼ばれ、アゲタテアツアツサクサクの天ぷらがやってくる。

次にうどんの玉数を申告。会計を済ませたら、冷たいうどんが食べたいなら冷たいダシを、アツアツが食べたいならうどんを "てぼ" に入れてそのまま熱いお湯に "静かに" 沈め温める。10秒だ。1秒たりともまかりならん。上げた瞬間、てぼから滴るお湯を器に入れて器も温める。この時、ジャッジャッとてぼを上下に動かすのは素人。自然にお湯が切れるのを待つ。無駄な動きは許されない。そうして熱いダシを投入。ネギと揚げ玉も添える。ネギの入れすぎは禁物だ。おばあにぶん殴られるからではなく、ネギの風味が強くなりすぎるから。そのくらい、竹清のダシは繊細にして奥深い最高の逸品なのだ!

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さて、お昼時だ。どなすんな?ここは、駐車場がやたら広い手打麺や大島を攻める。またまた中央通りに戻りさらに南下。バイパスに突き当たったら左。塩江街道に突き当たったら右。スーパーきむらの直前を左に曲がり、細い道を突き進むと右手に現れる。奇数週の日曜日が休み。10時開店。もともとは馬渕うどんという名前だったんだ。

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ここではぜひ、裏しっぽくをいただいてほしい。様々な野菜と鶏肉をゴロゴロと煮込んだ "しっぽく" うどんという讃岐の郷土料理がある。冬には欠かせない僕たちのソウルフードなんだけど、これを卵と牛肉で仕立てた素晴らしい裏メニュー。冬の平日限定で、おねいさんに「裏…裏をお願い…」と耳打ちしなければ食べられない幻の逸品。まあ普通にこの店は、うどんのコンディションも最高でいつもツヤツヤシコシコ、どでかいアスパラのさぬきのめざめをはじめ天ぷら類も充実。最近、高松のうどんシーンでは最も注目を集めている場所のひとつ。

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ここから西にちょっと行くと、老舗中西うどんがある。若かりしシムケンさんのサインと写真も飾ってある。なぜか西川ヘレンのサインもある。しっぽく発祥の店とも言われている。

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ここでは、おでんとちゃんぽんの正しい食べ方を学んでほしい。香川では、うどんにおでんはつきもの。大晦日の蝶野のビンタくらいかかせないものだ。ここの牛すじがとにかくトロトロで絶品。あとは玉子と天ぷら、それに大根をからし味噌でいただくのが讃岐流。ちなみに、こっちの天ぷらは魚のすり身の練り物のこと。天ぷらにもいろいろあるのだ。

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そしてちゃんぽんね。実はこっちの人は、うどんとそばをひと玉づつ入れた "うそば" を好んで食べる。このうどん屋のおそばが最高なんだよね。中西はうどんも極太の田舎麺なんだけど、そばも完全に田舎そば。手作り感がたまらんのよ。均一でないからこそ、いろんな食感が楽しめるんよね。まあ、僕みたいな猛者は、松下製麺所で中華麺まで放り込んだりする。あ、中西で穴子の一本天は絶対よ。川相のバントくらい鉄板やからね。

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で、お昼最後が瀬戸晴れね。なぜお昼最後かというと、うどん屋はほとんどの店が2時で閉まるから。長くても3時には閉まる。だからこの記事に閉店時間は記していない。加えて午後はうどんのコンディションが落ちる店も多いので、あまりオススメはできないんだ。あと、値段も書いていない。たいてい、500円あれば食べられるから。瀬戸晴れはずっと麺を打っているし、一般店(注文をして席まで運んでくれる店) だからコンディションの問題はない。今、高松で一番人気だろうね。行列ができすぎてだろうけど、ちょうど移転準備中。7月に牟礼で新たなスタートを切るらしい。清廉潔白というか、純白というか…美味しいを超越したとにかく最高のうどんよ。タコの天ぷらとかサイドメニューも料亭並み。

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高松にかんしては、別に観光するところなんて一つもないので、夜は素直に商店街に戻る。瀬戸内の島々は最高だけどね。

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寒川のつけうどん、欽山製麺所の鶏魚チャーシュー、すずむしのフランス料理みたいなラーメンは絶対に抑えておきたいところ。まあ、高松の商店街はブラブラしているだけで結構楽しいと思うよ。特に片原町あたりは、レトロで昭和でワクワクしてしまう。どうよ?音楽雑誌の一人編集長にしては最高のアテンドやろ?別にすべてを失ったりはしとらんけど、うどんのすべてをさらけ出したるわー。死なばもろとも。覚悟しとけよ。よろしゅー。


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